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2021.10.17

VOL.04「電動車ってなんだ?」

日本は電気自動車の先進国だった!?

実は日本は、そもそもEVの先進国。2010年、世界で初めてリチウムイオン電池を積んだ量産型の電気自動車が三菱自動車から発表されたのだ。あれから約10年。環境問題を伴う世界のEV事情は、もの凄い早さで進化を遂げているのに対し、国産車ブランドはどうか。モータージャーナリストの藤野太一がリポートする。

CREDIT :

文/藤野太一 構成/近藤高史(LEON)

リチウムイオン電池を使った世界初の量産EVは、2010年に登場した三菱i-MiEVだったし、同年には初代日産リーフも登場している。しかし、世界に冠たるトヨタのハイブリッド技術がプリウスやアクアを筆頭として安価に提供されている日本において、軽自動車ベースでありながら約300万円という価格で、一充電走行距離が164kmというスペックのi-MiEVは売上げ面において苦戦を強いられ……。現在、三菱が販売しているEVは、軽商用電気自動車のミニキャブMiEVのみだ。
▲ 日産「アリア」
日産リーフも同様に初代モデルは苦戦していたが、2017年に2代目へとモデルチェンジを行い性能向上を果たした。最新モデルでは標準仕様で40kWhを、上級のリーフeプラスは62kWhリチウムイオンバッテリーを積み、一充電走行距離はWLTCモードで標準仕様で322km、eプラスは458kmを達成している。そして、いま注目の新型EVアリアの予約注文が始まったばかり。66kWhと91kWhというふたつのバッテリー容量と、2WDと4WDの2つの駆動方式を設定。一充電走行可能距離は430~610km(WLTCモード)。価格はグレードによって660万〜790万200円から、となっている。
昨年から今年にかけて各社から一気にEVが登場しているのは、欧州のCO2規制の動向を受けてのものだ。乗用車からの排出CO2について2021年の目標値を平均95g/kmとする規制を実施。メーカー毎の平均燃費が算出され、クリアできなければ罰金が課されることもあり、欧州の各メーカーはもちろん、欧州市場でビジネスを行っている日本メーカーもやっきになっているというわけだ。
▲ ホンダ「ホンダ e Advance」
そうした中でホンダが投入した初のEVがホンダe。プラットフォームは既存品の流用ではなく、この車種のために新規開発されたものだ。バッテリーを床下に低く配置し、前後重量バランスは50対50に、そして小回り性能を追求するために駆動モーターをリアに搭載した。そうすることでフロントの舵の切れ角が大きくとれる。結果として最小回転半径4.3mとフィット(4.7m)のみならず、軽自動車のN-BOX(4.5m)をも凌ぐ小回り性能を手に入れた。
 
さらにポルシェ911にも通じるRR(リアモーター・リアドライブ)の駆動方式は、小回りの良さだけでなく、運転する楽しさも倍増させている。バッテリー容量は35.5kWhで、ベースモデルは最高出力136ps、最大トルク315Nm、一充電走行距離283km(WLTCモード)、これが上級グレードのAdvanceだとバッテリー容量は同じながら最高出力を154psにまで引き上げたことで、一充電走行距離259km(WLTCモード)と少し短くなる。価格はベースが451万円、Advanceが495万円。
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▲ マツダ「MX-30 EV MODEL」
一方でマツダも同社の初のEVモデルMX-30 EV MODELを投入した。マイルドハイブリッド仕様のMX-30に続くモデルで、フリースタイルドア、いわゆる観音開きのドアを採用したクーペライクでスポーティなスタイリングが特徴だ。
 
バッテリー容量はホンダeと同じく35.5kWhで、最高出力145ps、最大トルク270Nm、一充電走行距離256km(WLTCモード)。前輪駆動方式を採用する。バッテリーを床下にバランスよく配置したことによる低重心化やマツダ独自の車両運動制御技術などにより、気持ちのよいハンドリングマシンに仕上がっている。価格はベースが451万円〜。
▲ レクサス「UX300e」
企業平均燃費が極めて優れていることもあり、EVの動向に関しては静観していたトヨタが、昨年日本市場にトライアルで投入したEVが、レクサス UX300e。2020年度に限定135台で販売をスタートし、現在はカタログモデルとなっている。バッテリー容量は54.4kWhで、最高出力203ps、最大トルク300Nm、一充電走行距離367km(WLTCモード)。前輪駆動方式を採用する。車両価格は580万円〜。

プジョーがいち早くコンパクトEVを投入!

前回の記事でご紹介したように、これまで欧州メーカーからは、大容量バッテリーを搭載したプレミアムモデルばかりが日本へ投入されてきた(2012年にスマートのEV版「フォーツーエレクトリックドライブ」が発売されたが、現在国内では終売)が、昨年コンパクトセグメントでいち早くEVを投入した欧州ブランドはプジョー。

コンパクトハッチバックのe-208は容量50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。最高出力136ps、最大トルク260Nmを発揮。航続距離は340km(欧州WLTPモード)。車両価格は396万1000円〜と、日本車に比べてもリーズナブルな価格設定も魅力的。同じパワートレインを使ったSUVモデルのe-2008もラインアップしており、こちらの価格は433万2000円〜となっている。
また同グループ傘下のDSオートモビルもEVのDS 3 CROSSBACK E-TENSEを国内導入している。パワートレインはプジョーと同様で、容量50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。最高出力136PS、最大トルク260Nmを発揮する。DSならではの独創的な内外装と、軽快なドライブフィールが何よりも魅力的で、車両価格は534万円〜となっている。
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今後も欧米各ブランドから続々とニューモデルが日本へ上陸してくる。2030年までにEV専業メーカーになると発表したボルボのEV、XC40 リチャージが、今秋よりサブスクリプション・プログラムの注文予約を開始するとアナウンスされているし、フィアットも500のEV版である500eを年内に導入する計画を明らかにした。さらに2022年以降には、フォルクスワーゲンが社運をかけて開発しているEVシリーズのハッチバックID.3をはじめ、SUVのID.4やミニバンのID.BUZZなど、続々と導入が予定されている。
現在の日本の充電インフラ等を考慮すれば、航続距離を稼ぐために大容量のバッテリーを搭載したモデルで、急速充電をつなぎながらロングドライブに出かけるような使い方はあまりオススメできない。一方で、家庭や職場に普通充電の環境があって、近場への通勤、通学や買い物などがクルマの主な使用用途であれば、こうしたコンパクトなモデルがぴったりだろう。現にプジョーなどは、ここに来て地方でのEVのセールスが伸びているという。ガソリンスタンドの過疎化が進んでいる地域では、家庭で給電できるEVのほうが便利というわけだ。おそらくこうしたコンパクトモデルの動向が、今後の国内EV市場の鍵を握ることになりそうだ。

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