羽田を出発する飛行機に搭乗する時、フランクフルトでの乗り継ぎ時、ベルギーへの入国時、ベルギーからの出国時、スペインへの入国時、日本への帰国時……。その都度で必要な書類が違ったり、手続きが異なったりする。
しかも、それらをすべてひっくるめて「こうすれば安心、確実に入国できます」と説明された資料はどこにもないし、航空会社に問い合わせても「おそらくぅ、これでぇ、大丈夫だと思いますがぁ……」と心許ない返事。最後は腹をくくり「この30年間で何度海外に出かけ、何度修羅場をくぐってきた? きっとなんとかなる」と自分に言い聞かせて羽田空港に向かった。
そもそも食事できるところがほとんど開いていない。ラーメン屋さん、牛丼屋さん、ハンバーガー屋さんが1軒ずつ営業している程度。そして2週間日本を離れる私は、出国メシとして「牛丼、アタマの大盛」を胃袋に掻き込んだ。
日本のように「通常2週間、自費でPCR検査を受けたら10日間に短縮」なんて隔離期間を設定している国は、極めて例外的なのだ。よく、テレビのワイドショーで「日本は水際対策が甘い!」なんて主張しているコメンテーターがいるけれど、それは海外の事情を知らない人の戯れ言に過ぎない。ヨーロッパ各国で暮らす人々の表情も、少なくとも10月の段階ではコロナ前とあまり変わらなかった。
こんなことを受け入れてくれる検査場が滅多にないことは、みなさんご想像のとおり。私の場合も、これに対応してくれる検査場をマドリードで見つけるために、マクラーレン関係者をずいぶんと煩わせることになった。
しかも、3日ごとにPCR検査を受けなければいけないとか、人と会うにも制約があるとか、まあ現実的でないこと甚だしい。あの制度を考えたのはおそらくお役人だろうが、ひょっとして彼らはそんなに規則正しい毎日を過ごしているのだろうか?
だとしたら、うらやましいを通り越して気の毒になる。
感動と官能を満喫できるスーパースポーツカー!
そんな時の反応も「レーシングカーもかくや」と思わせるほど俊敏だから、たとえリアタイヤがスライドしても修正するのは簡単だし、そもそもそんな走り方をしなくてもスポーツカーを操縦する感動と官能を満喫できる。しかも、765LTはベースとなった720Sよりさらに高性能でサーキット向きのセッティングが施されているのだから、走り屋さんにはたまらないはずだ。
それに万一ミスをしても、マクラーレンご自慢の高精度なスタビリティコントロールがアナタをスピンから守ってくれる。ちなみに765LTスパイダーは765台の限定販売だ。直前に発売された765LTクーペも同じ765台の限定販売で、こちらはとっくに完売しているそうだから、興味をおもちの方は早めにマクラーレン正規ディラーを訪ねることをオススメしておく。
◾️ 大谷達也
自動車ライター。自動車専門誌を経てフリーランスに。語学力を生かした取材力で、自動車ブランドの本国エンジニアたちからの信頼も厚い。LEON本誌の連載等でもおなじみの評論家。
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