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2022.01.09

ウィーン、パリ、ロンドン……海外旅行の夢は膨らむばかりです

海外旅行好きにとって長引くコロナ禍により国内に留まったまま過ごすのはなんともつらいもの。無類の旅好きである筆者が外国に行かないのは半世紀ぶり以上とのこと。自然と夢は膨らむばかりで……。

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第176回

「2022年、妄想の旅!」欧州編

一昨年暮のウィーンが最後。以来、海外には出ていない。2年続けて、、、。これは57年ぶりのこと。初めて海外に出た1964年以後、少なくとも1~2年に1度、80年代からは1年に1度のペースで、プライベートな海外の旅を楽しんできた。

そんなことだから、当然海外に出たくて仕方がない。ウズウズしている。なので、コロナが終わったらどこに行こうか、なにをしようか、、、などと、日々、妄想が渦巻いている。行く先の候補は、ウィーン、ミラノ、パリ、ロンドン、ミュンヘン、、、と続く。

では、「妄想の旅、欧州編」、、まずはウィーンに向かうことにしよう。

前々回、「クリスマスシーズン」の話でもウィーンは最初に触れたが、今回もトップバッターにする。最近、いちばんお気に入りの街だからだ。

このところ、ヨーロッパに行くのはクリスマスシーズンがほとんどだが、ウィーンであれば国立歌劇場や楽友協会ホールでのコンサートにも行きたい。となれば秋がいい。10月なら気温も下がり、ヒンヤリして気持ちがいい。それに、大好きな落ち葉の季節でもある。落ち葉で黄色く染まった遊歩道や公園を歩くのは気持ちのいいものだ。

国立歌劇場や楽友協会ホールは、そこに身を置くだけで特別な気持ちになる。ハプスブルグ王朝のきらびやかな繁栄が伝わってくる。ホテルは、国立歌劇場を部屋から眺められる「ブリストル」もいいが、やはり華やかで上質、そして立地のいい「ザッハー」にする。
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ウィーン随一の繁華街、ケルントナー通りの散策を楽しむのは当然だが、秋は観光シーズンなので混雑する。混雑に疲れたら、ホテルで過ごせばいい。そんな過ごし方にもザッハーは心地よく応えてくれる。

公園で過ごすのも好きだ。落ち葉に埋まる公園のベンチに腰掛け、iPhoneでモーツアルトを聴くのもいい。もちろんイヤフォーンで、、、。こんな怠惰な時を旅先で過ごすのが、僕も家内も好きなのだ。

ミラノはパークハイアットに泊まる。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアまで、徒歩10秒?の立地は最高。

クリスマスシーズンなら、ほとんど中央エリアで時を過ごす。とくに、ファッションブランドが軒を連ねるモンテナポレオーネ通りやスピガ通り辺りの散策は楽しい。クリスマスイルミネーションにもワクワクする。

クリスマスシーズンなら、遠出してもヴェローナを訪れるくらい。、、、が、例えば秋なら、レンタカーをピックアップしてコモ湖(コモの街も)を訪れるのもいい。

距離にして80kmほど。時間にして1時間半ほどのドライブ。東京~箱根といった距離感だが、きれいな景色が続くので退屈することはまずない。

雨が降ろうと(たぶん、霧がかかろうと)、コモ湖は美しい。でも、往復のドライブの楽しさをも含めて、晴れた日に行きたい。朝起きて、天気が良ければ決行ということだ。

コモ湖の自然が美しいだけではない。石畳の続くコモの街並みにも心惹かれる。

かつての王侯貴族が遺した湖畔の瀟洒なヴィラ(邸宅)も、遠出して観るに値する。湖畔に点在するヴィラを、もっともいい距離感で眺められるクルーズ船にも乗りたい。
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コモ湖畔といえば、メルセデス・ベンツのデザイン・スタジオがある。由緒ある建物を使ったものだろうが、建物の美しさ、スタジオの美しさは強く心に残っている。

ちなみに、欧州でもっとも格式ある自動車エレガンス・コンクール、「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」の「ヴィラ・デステ」はコモ湖を見下ろす立地にある。日帰りでも十分だが、せっかくの名勝をゆっくり味わうため、できれば、1泊コースをオススメしたい。コモ湖にはいいホテルもいろいろあるし、、、。

パリは、これまた立地最高の「パリ・マリオット・ホテル・シャンゼリゼ」に泊まる。凱旋門とコンコルド広場のほぼ中間地点に位置し、地下鉄駅も目の前。大好きなモンテーニュ通りも、オランジェリー美術館もラクラク徒歩圏内だ。

グランパレ、プチパレを横に見ながら歩く遊歩道も好き。この遊歩道からイメージを膨らませたのだろう絵を居間に飾ってある。たしか20年ほど前、パリの蚤の市で出会い、ビビーッとくるものがあって即決した。

蚤の市は楽しく過ごす最高の場所のひとつだが、けっこうあれこれ買ってしまう。ほとんど小物だが、、、。仕事部屋に置いてある古い灯油ランプも、パリの蚤の市で買った。火屋が壊れていたので、日本で作り直した。

プレミアムブランドのブティックが「静かに」軒を並べるモンテーニュ通り、、、ここの散策も、パリを訪れる楽しみのひとつ。

オランジェリー美術館にも必ず行く。自然光が差し込むパノラマ展示場の「モネの睡蓮」を見るために。そして、ここには必ず朝一に行く。そうすれば、素晴らしい空間を独占できる確率大だからだ。
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ルーブル美術館に行く時は、必ず「Le Cafe Marly」に立ち寄る。美術館をパスし、Cafeだけに行くこともある。ガラスのピラミッドを眺められる席が、わが家の指定席だ。  

老舗カフェと、モダンかつラグジュアリーなラルフローレンのカフェがある、サンジェルマン・デプレも欠かせない。前者でカフェを、後者でランチかディナーを、、というパターンでほぼ定例化している。

セーヌ川沿いの古書店巡りも楽しいし、フォーブル・サントノーレ通りのウィンドウショッピングも楽しい。、、、そんなことで、パリでは、いつも時間が足りなくなる。

ロンドンの最近の定宿は「ル・メリディアン・ピカデリー」(最近、「THE DILLY」という名に変わったようだ)。ピカデリーサーカス直近にある便利さが選ぶ最大の理由。ランクの高いホテルではないが、広い部屋を選べば快適に過ごせる。

ソーホー地区は目と鼻の先。個性的なファッションブティックが立ち並ぶカーナビーストリート(歩行者専用)の散策も楽しい。買うものはまずないが、、、。

カーナビーストリートとは真逆の雰囲気だが、歴史ある高級店の並ぶバーリントンアーケードにも必ず立ち寄る。ここでの要注意はカシミア専門店。とくに、セーター辺りにはついつい手が出てしまう。

もうひとつの要注意はアンティークものを扱う宝石店。わりに気になる質なので、どうしても足を止めてしまう。大抵は自制心が勝つが、ときには負けることもある。

アンティークといえば、土曜日ならポートベッロのマーケットに行く。グリニッジのマーケットも出店数が多い週末に行くが、ポートベッロとハシゴをするのもいい。
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アンティークマーケットの話は、また改めて書くことにする。高価なアンティークなど当然手が出ない、、、が、家に置く小物やアクセサリーなどとの出会いの場としては、けっこうワクワクする。

ランチはハロッズで食べることが多い。レストランは軽い店から重い店までいろいろある。なので、その時々のお腹の具合と気分で選べばいい。

ハロッズといえば、フードホールの一角にあるオイスターバーには必ず行く。少々高価だが満足度には最高ランクをつける。

アフタヌーンティーはフォートナム&メイソンが好き。だが、とくに歳をとってからはそのボリウムに手こずっている(これに比べると日本のホテル等のアフタヌーンティーはおつまみレベル)。でも、行きたい。

ディナーは、ホテル直近のソーホーで気軽に済ませることが多い。ソーホーには、外から中が見えるレストランも多いが、客がいっぱい入っている店を選べばまず間違いない。美味しくて値段も手頃ということだ。

イギリスは食事が不味い、、、などとよく言われるが、不思議でならない。僕はいつも美味しい食事にありついている。

ミュンヘンも大好きな街だし、頻度の高い妄想対象のひとつだが、紙数は尽きた。妄想の旅がいつ現実になるのか。1日でも早く現実になることを願っている。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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