その貫禄、高級リムジン級!

パワートレインのラインナップにはV8もディーゼルもあるが、2019年3月に米国で試乗したのは、日本にも導入される3リッター直列6気筒ツインターボ搭載の「BMW X7 xDrive 40i」だ。ご存知のように、車名にあるxDriveはフルタイム4WDシステムのことである。

私がドライブしたのは、ルートの中間パートである。メキシコ国境の町、テキサス州エルパソをスタートした。アリゾナ州ツーソンを経由して、サグアロ(背の高いサボテン)で知られるフェニックスまでの約800キロを一日でというコースだった。

待望の3列シート仕様の大型SUV
3列シートを備え、最大で7人乗れる大型SUVは、BMWのファンが待ち望んでいたものといえる。米国ではキャデラックのエスカレードやメルセデス・ベンツのGLSが市場での競合になると、BMWの開発者は教えてくれた。ようやく、ガチで競えるモデルの登場である。

最高出力250kW(340ps)と最大トルク450Nmというデータの数値もさることながら、体感的にもシビれるような魅力をもったエンジンだ。上の回転域までいっきに回る。
電子制御の8段オートマチック変速機もドライバーの気持を読み取ってくれるかんじで、アクセルペダルの踏み込み量が多いときはシフトアップを遅らせ高めの回転域での、アクセルペダルとエンジンが直結したような太いトルクを味わえる。

その乗り味は高級セダンだった
ライバルの1台はエスカレードと書いたが、乗り味はまったく異なる。ペリメターフレームを持つキャデラックがふわりとしたかんじで走るのに対して、乗用車とおなじモノコックボディのX7の操縦感覚は、剛性感のかたまりというかんじなのだ。同社のセダンとあまり変わらない。

通常このジャンルではSUV(スポーツユーティリティビークル)というのだが、BMWはあえてSAV(スポーツアクティビティビークル)と自車を定義している。スポーティなライフスタイルを楽しむためのクルマという意味で、そこにはドライビングも含まれているのだ。

多く売れるのは7人乗り仕様かもしれないが、6人乗り仕様の、独立したアームレストを備えたシートはぜいたくで、X7に合っていると思う。とくに試乗車ではBMWインデビデュアルによる凝った仕上げのメリノレザーシートというオプションを搭載していたので、居心地のよさが際立っていた。
「オーケイ、ビーエムダブリュー」と発語すると起動する会話型のボイスコントロールシステムも備わる。「暑い」と言うと、「何度に設定しますか?」と訊いてくる。視線を一瞬移動させるだけでもリスクが高まるハイウェイではとくにありがたい装備だ。

「BMW史上もっとも大きなフロントグリルです」というBMWの言葉にうそはない。フロントグリルは巨大だ。そばにいるとラジエターファンに吸い込まれそうな迫力がある。そこに上下幅の狭いヘッドライトが組み合わされて、見た目の印象も新しい。新しい生活のスタイルを運んできてくれそうなX7である。これを使い倒せる生活が送れるひとはうらやましい。
長いルーフの3列シートといかにもアメリカで人気が出そう
250kWの最高出力と450Nmの最大トルクを持つ2998cc6気筒エンジンにフルタイム4WDシステムの組合せ
エアサスペンションを備えていて快適な乗り心地とスポーティなハンドリングを両立させてい
3105ミリのロングホイールベース
液晶TFTを使った計器盤にインフォテイメントシステム用のモニターと最新のBMWのテクノロジー搭載
写真の内装は「Design Pure Excellence」というパッケージ
6人乗り仕様は2列めが独立したコンフォートシート
3列めにも2人ぶんのシートが備わる
荷室からボタンでシートアレンジが操作できる
荷室容量は3列めを使った状態で326リッターで、最大2120リッターまで拡大できる
クルーズコントロールをはじめ車線逸脱防止機構やウィンカーレバー操作による自動車線変更など、運転支援システムは最新のレベル
アクティブX7 xDrive40iは静止から時速100キロまでを6.1秒で加速と速い
車高調節システムなどオフロード用の装備も充実(オフロードパッケージも本国仕様には用意されている)
写真の車両はオプションの22インチホイール装着
長いルーフの3列シートといかにもアメリカで人気が出そう
250kWの最高出力と450Nmの最大トルクを持つ2998cc6気筒エンジンにフルタイム4WDシステムの組合せ
エアサスペンションを備えていて快適な乗り心地とスポーティなハンドリングを両立させてい
3105ミリのロングホイールベース
液晶TFTを使った計器盤にインフォテイメントシステム用のモニターと最新のBMWのテクノロジー搭載
写真の内装は「Design Pure Excellence」というパッケージ
6人乗り仕様は2列めが独立したコンフォートシート
3列めにも2人ぶんのシートが備わる
荷室からボタンでシートアレンジが操作できる
荷室容量は3列めを使った状態で326リッターで、最大2120リッターまで拡大できる
クルーズコントロールをはじめ車線逸脱防止機構やウィンカーレバー操作による自動車線変更など、運転支援システムは最新のレベル
アクティブX7 xDrive40iは静止から時速100キロまでを6.1秒で加速と速い
車高調節システムなどオフロード用の装備も充実(オフロードパッケージも本国仕様には用意されている)
写真の車両はオプションの22インチホイール装着
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。