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AMG GTに搭載されているエンジンはもともとパワフルだが、コーナーの速さを相殺するために主催者からエンジンパワーを絞り込むデバイス(エアリストリクター)の装着を義務づけられているため、本来の力強さを出し切れない。
そんなことから今回は苦戦が予想されていたのだが、チーム全員の奮闘により事前の予想をいい意味で裏切る結果を残すことができた。
イベント初日の午前中に行われた練習走行では29台中17番手という順位。トップのチームとも1.2秒のタイム差があり、事前の予想どおりの厳しい結果に終わった。
しかし、2段階で行われる予選では、最初のセッションであるQ1で蒲生尚弥選手が13番手タイムをマーク。16台が出走できる第2セッションのQ2に進出できる切符を手に入れた。
そのQ2に挑んだ黒澤選手は、Q1の成績をひとつ上回る12番手のタイムを叩き出したものの、気合いが入りすぎて走行中に4輪がコースから逸脱するミスを犯し、ベストタイム抹消のペナルティを受ける。それでもLEONチームは13番グリッドを確保。決勝での追い上げに期待がかかった。
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このため主催者はセーフティカー・スタートの実施を決定。この場合、セーフティカーに先導されている間は追い越しが禁じられるため、より安全に競技を始められるスタート方式として知られる。
LEON号はウェットタイヤを装着してスタート。ドライバーは蒲生選手だ。セーフティスタートのおかげで無事にレースは始まり、2周を終えたところでセーフティカーがコースから退去。あわせて本格的な競技が始まった。
しかし、チームが想定していたよりも雨量が多く、硬めのウェットタイヤをはいていたLEON号のペースは伸び悩む。その後、さらに雨脚が強まったために赤旗が提示されてレースは一時中断。コンディションの改善を待つことになった。
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LEON号は41周目にピットストップ。黒澤選手へのドライバー交代を済ませ、4番手となってコースに復帰した。この時点では路面はまだ湿っていたにもかかわらずドライタイヤを装着したのは、雨がすでに止んでいて路面がほどなく乾くのは確実と思われたからだ。
しかし、LEONチームが履いたタイヤは、このようなコンディションを苦手としていた。このため、74周目に2度目のピットストップを行ったとき、LEON号のポジションはひとつ後退して5番手となっていた。
2回目のピットストップで再び蒲生選手が搭乗。ピットストップを短縮するためにタイヤは敢えて交換せず、7番手でコースに復帰。ただし、先行する6台のうちの2台はまだピットストップを行っていなかったため、彼らがピットストップすればLEON号が5番手に浮上するのは確実な情勢。しかも、直前を走るライバルとのタイム差は2秒を切っているので、追い上げ次第では4位も狙える展開だ。
ここでも蒲生選手は懸命の追い上げを敢行するが、ライバルのペースも侮りがたく、結果的にLEON号は5位でフィニッシュ。貴重な6ポイントを持ち帰ることに成功した。
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「2回目のピットストップでタイヤを交換しなかったのは、タイヤの寿命に問題がないことをテストで確認していたから。これで、少しでも前を走るライバルに迫りたかったのですが、いろいろあって追いつけませんでした。それでもしっかりとポイントを取れたのはよかったと思います。優勝できるチャンスが巡ってくるまで、今回のように着実にポイントを積み重ねていけるように努力します」
いっぽうの黒澤選手は悔しそうな表情を浮かべていた。
「(レース前半に)尚弥があそこまでいってくれたので、僕がもっと前のクルマに食らいついていけば、レース終盤に尚弥が抜き返すチャンスもあったはず。ところが、僕自身のペースが思うように上がらなかった。そのことがとにかく悔しいですね。今後は、自分がもっとスピードを磨いていきたいです」
次戦は鈴鹿サーキットで5月25~26日に開催される。LEONレーシングのアツい走りに応援よろしくお願いします。