突然ですが、クラシックカーラリーを知っていますか? ってLEON読者の方はもちろんご存じですよね。
イタリアのミッレミリアの模様はいつもお伝えしてますしネ。
ご存じない方のためにちょっとだけ説明すると、ラリーといってもWRCのようにカリカリにチューンされたマシーンで走りを競うわけでも、パリダカールのように道なき道を走破するわけでもありません。
大切にメンテナンスされたクラシックカーを愛でながらも、しっかりと長い距離を安全かつ正確に走る、という競技というより、エキシビションに近い大人のイベントなんです。
そのクラシックカーラリー、日本でも先述のミッレミリアの日本版ラフェスタはすでに10数年の歴史があり、最近ではラリーニッポンをはじめ各地で開催されるようになっています。
そのなかでも小規模ながら、注目されている「クラシックカーラリー沖縄」に参加してきました。

というわけで、2019年春に開催された「クラシックカーラリー沖縄」を実体験リポートさせて頂きます!

DAY1
相棒はTOYOTA スポーツ 800 !?
というかモータースポーツ全般に自ら参加したことはありません。つまりど素人。
というわけで、レース前日に沖縄入りした、なにも分かっていないタカハシは、まずは初心者ブリーフィングに参加しました。
そのブリーフィングによると、どうやら、ただ決まったルートを走るだけではなく、PC競技なるコンペティションもあるよう。
PC競技とは、200メートルぐらいの区間を50メートル、60、40、50と任意で区切り、その区切り目にあるセンサーになっているライン上を指定された秒数で踏み、その正確さを競うというもの。
なんとなく分かるけど、やったことないのでどんな感じかはまったく分からないまま、ブリーフィングは終了。
とにかく、事故らないように走ることだけを肝に銘じて、明日からの相棒にご対面。
地元で様々なクラシックカーをレストアしてギャラリーで展示しているという比嘉さんの所有する、67年製のトヨタスポーツ800、通称ヨタハチ!コレが今回私がハンドルを握らせて頂くマシンです。

いきなり乗ってレースというのも怖すぎるので、主催者の宮下さんにお願いし、ちょっと練習をさせて貰いました。初日はぶっちゃけエンストはしなかったものの、久しぶりのマニュアルでかなり微妙な運転に。
助手席の宮下さんも苦笑い。でもちょっとしたアドバイスを頂き、それでふっと昔の感覚が蘇りました。
なにを言われたかはナイショですが(笑)
というわけで、その日の感想は「なんとかなりそう」。
で、夜は前夜祭。もうみなさん顔なじみのようでアットホームな雰囲気。前回チャンピオンにして、国内のクラシックカーラリー界では知らない人はいないという岡野さん兄妹の音頭で乾杯。
お酒が進んじゃう〜なパターンでしたが、明日のレースが不安なのでそうそうに撤収したのでした。

DAY2
ラリースタート! PC競技に初挑戦
そうそう、ラリーのことをまったくご存じない方のためにちょっとだけ解説その2。
通常ラリーではドライバーとナビ役のコドライバーの二人で参加します。で、コドライバーの方はコマ図と呼ばれるコースのガイド見ながら、ドライバーに指示を出し、ドライバーはその指示通りに運転する、というスタイル。
WRCのオンボード動画なんかでせわしなくコドライバーが指示を出し、ドライバーがドリフトさせながら指示通りに爆走させている映像、見たことありますよね? あれです。そんな走りはできませんが。
で、今回私のコドライバーをして頂いたのはオクタンの湯淺さん。オクタンといえば英国発のめちゃ濃いクルマ雑誌です。そんな方をコドライバーに据えて、生意気にもドライバーという、もういろんな意味で後に引けない状況。

その会場の光景がまたクルマ好きならたまらない! 私の乗るヨタハチの横にはホダンのS800やら、アルファロメロのSZ!やら、タルボットやら、ヒーレーやら、すごいクルマだらけです。
スタートは1台づつ、パネルの前からでその気にさせられます。
実行委員長の宮下さんからは「スターになったつもりで、オーディエンスの方に手を振ってくださいね」というコメントもあり、ど素人であることを一端忘れて、参加するからには楽しむぞ〜とアクセルを踏んだのでした。

クラシックカーラリーの認知度は年々上がっていると伺っていましたが、本当にうれしそうにみなさん手を振ってくれます。クラシックカーを走らせ、地元の方にも喜ばれるなんて、これ最高じゃないの?
と、そうそうに調子に乗りだしたタカハシでした。
そうこうしているうちに、最初の集合ポイントに。
オクタン湯淺さんの的確なナビでトリップメーター不動にもかかわらず、誤差ナシで到着!
ラリーってコドライバーの腕次第なんだなぁといきなり実感。
ただ、やっぱりクラシックカーラリーです。
走り出してそうそうにエンジントラブルで止まっている方をお見かけして、シビアな一面もあることが分かりました。どんなに完璧にメンテナンスしていても、古いクルマで走る以上アクシデントはあるんですね。

初の競技らしい競技への参加です。
いきなり7連続PC。最初の区間は50mを12秒、そのまま40mを10秒、さらに60 mを12秒と刻んでいきます。まったく未経験の私たちは、シンプルにコドライバーがストップウォッチを読み上げ、それに合わせてそろそろりと走らせる。他の方を見ると、ボードの上にストップウォッチをいくつも貼り付けて、区間ごとに押して読み上げる、なんてスゴイ人もいらっしゃいます。


そんな初日は、宜野湾マリーナをスタート後、与那原マリーナ、くぅーすの杜 忠孝蔵からまた宜野湾マリーナへ戻り、そこからシークレットロケーションを超え、琉球村、大保ダムでロングなPCを経て、ザ・リッツカールトン沖縄へという結構たっぷりなコースでした。
いきなりだったのでかな〜り不安でしたが、初日を走り終えての感想は「楽しい!」のひとこと。
他にも結構初挑戦の方がいたみたいですが、みなさん総じて「楽しい!」と仰ってました。
まぁ、聞かなくてもその表情を見ればわかるぐらい、笑顔に溢れていたんですが。
でも、コドライバーの湯淺さんとは明日のPCをどうするか、を打ち合わせしたりと結構本気モードになりつつもあったのでした。

DAY3
沖縄の景色を堪能しながらゴールへ

前日の宿泊はなんとリッツカールトン。で、素敵なパーティーも開催されて、優雅な夜を堪能。
う〜ん大人なイベントって感じで、いいですね。ちなみにこのラリー参加費用1台2名で23万円。
それでリッツの宿泊、パーティーなども込みと、かなり良心的なんです。
さてさて、そうして2日目です。この日の午前中はリッツをスタートしてから古宇利島の大橋で沖縄らしい景色を堪能したあとに八重岳桜の森公園でPC競技、そして美ら海水族館で有名な海洋博公園で昼食というコース。
前日にヨタハチの運転にも慣れたので、ちょっとペースアップしながら道に迷うこともなく順調にチェックポイントを通過していきました。

とはいえ、他の方たちを見てると本気度が違います。みなさん身を乗り出して路面を確認しながら慎重にクルマを操作していて、その様子はまさに競技! 毎年優勝しているという岡野さん兄妹は、クルマの操作もさすがな感じで、傍目にみていてもビシっとキメています。

慣れきってきた私たちは実はほぼ最後に到着。といってもラリーの順位はそこで決まるわけではありません。
そう、PC競技の成績が大事。
もう、やりきった感のあった私たちは表彰式ではほろ酔いでオーディエンスとしてみなさんの結果に拍手を送っておりました。と、そのときふと私たちの名前が呼ばれました。
「え?」となる私たち。なんと、2日目で奇跡の追い上げをしていたようで、クラス6位に入賞したのでした。

実際に体験して強く感じたのは、参加者も観客もみんながほっこりした気持ちになれるイベントだった、ということ。クラシックカー ラリーというとすごく敷居が高く感じるし、実際レギュレーションの厳しいイベントも多くおいそれとは参加しづらいのは事実。
そういう意味で、このクラシックカー ラリー沖縄はちょっと興味があるんだけど、クルマはそこまで古くないんだよなぁという人や、古いクルマを持っているけど二の足を踏んでいた人には絶対お勧め。
気軽に沖縄旅行に行く感覚で参加して欲しいなぁと思います。
きっとこれからもっと知名度も上がっていくはずなので、参加するなら今!ですよ。

■ お問い合わせ
クラシックカーラリー沖縄
HP/https://www.ccr-okinawa.jp/index.html