セダンは古い? いえいえ、実はすご〜く進化しています
かつてアルファロメオというだけで、絶大なステイタスがあった。なぜかというと、スポーティで、ラグジュアリアスで、官能の国イタリアで愛されているという他に類のないブランドイメージに溢れていたからだ。
おとなのクルマと書いたのにはわけがある。自分の欲望をコントロールするすべを知っているひと向けのモデルだからだ。ウルトラとつけたいほどクイックなギア比をもったステアリング、アクセルペダルへの踏み込みにすぐ反応するエンジン、そしてコーナリングを最優先で開発されたようなサスペンション設定が、2.0ターボQ4ヴェローチェの真骨頂だからだ。
2250rpmで400Nmの最大トルクを発生する2リッターユニットによる加速性はかなりのものだ。あっというまに速度が上がってしまう。無理なく曲がれるのはこのぐらいかな?と考えながら、速度を調整して、コーナーを回っていく。ステアリングホイール操作も的確を旨とし、出来るだけ正確な舵角でぴしっと決めて、そのあとはアクセルペダル操作で速度と姿勢を調整してコーナリングを行う。
圧倒的にスポーティな4ドアセダン
いまどきのスポーツカーには、これよりもっとずっとマイルドでフールプルーフな操縦性をもつモデルがあるぐらいだ。それに較べると、2.0ターボQ4ヴェローチェはもっとピュアなスポーツカーのようである。
ジュリアのラインナップは多岐にわたる。ベースは受注生産の「2.0ターボ」で、同じく200馬力の「2.0ターボスーパー」、出力が280馬力にあがる「2.0ターボヴェローチェ」、フルタイム4WDが組み合わされた(今回の)「2.0ターボQ4ヴェローチェ」、510馬力の2.9リッターV6搭載の「2.9V6バイターボクワドリフォリオ」だ。
ジュリアの頂点には2.9リッターV6搭載のクワドリフォリオがあるが、2.0ターボQ4ヴェローチェは4気筒のメリットをちゃんともっていて、コーナリング時など鼻先の軽さゆえ、旋回性能が高いのだ。
8段オートマチック変速機をもち、基本は後輪駆動で、グリップ力が必要になると前輪へもトルクが配分されるオンデマンド型4WDだ。必要になると、としたが、最大で前輪に60パーセントものトルクがかかるという。フロントの左右輪別々にトルクをかけていく凝ったシステムである。積雪路などでも頼りになりそうだ。
ボディ全長やホイールベースは、先代BMW3シリーズとほぼ同じである。おとなが4人乗るのに不足ないパッケージングだ。ラグジュアリーセダンに慣れたひとによっては、コンパクトすぎると思うかもしれない。でもこれは繰り返しになるが、4枚のドアをもったスポーツカーなのだ。
価格は597万円で、ライバルを見ると、メルセデス・ベンツC200 4MATICアバンギャルド(588万円)や、BMW320i M Sport(583万円)といったドイツ勢とぶつかる。ただスポーティさでいうと、圧倒的にジュリアに軍配があがる。
全長4655ミリ、全幅1865ミリ、全高1435ミリのボディ
楯型のグリルとそれを挟むようなエアインテークなどアルファロメオの伝統的なモチーフがフロントマスクを特徴づけている
発表されたときはドイツ車的と思ったがキャラクターラインも整理されていてクリーンでエレガントなスタイリングだ
Q4は4WDのドライブトレインゆえ左ハンドルになってしまう
後席はスペース的に充分で着座位置はやや低め
エンジンのスターターボタンはステアリングホイールに備わる
ジュリアの名は1962年に最初のモデルが登場した
18インチホイールを履く
フードの長さが目立つ均整のとれたプロポーション
ハーマンカードンによる14スピーカーのオーディオシステム標準装備
かつて黄金のスポーツブランドだったアルファの名に恥じない出来
全長4655ミリ、全幅1865ミリ、全高1435ミリのボディ
楯型のグリルとそれを挟むようなエアインテークなどアルファロメオの伝統的なモチーフがフロントマスクを特徴づけている
発表されたときはドイツ車的と思ったがキャラクターラインも整理されていてクリーンでエレガントなスタイリングだ
Q4は4WDのドライブトレインゆえ左ハンドルになってしまう
後席はスペース的に充分で着座位置はやや低め
エンジンのスターターボタンはステアリングホイールに備わる
ジュリアの名は1962年に最初のモデルが登場した
18インチホイールを履く
フードの長さが目立つ均整のとれたプロポーション
ハーマンカードンによる14スピーカーのオーディオシステム標準装備
かつて黄金のスポーツブランドだったアルファの名に恥じない出来
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。