
このサーキットは直線と直線をコーナーが繋げる、いわばストップ&ゴーの多いコース。勝敗のカギはブレーキング性能と立ち上がりのスピードに勝るチームが勝つか、直線の速さに勝るチームが勝つか。そして、気温とともに上昇する路面温度に悲鳴をあげるタイヤマネジメントが握っている。

また各チームが思うところにあるのは“タイまで遠征してきて……”という心理。マシンの輸送に約1ケ月ずつかかるタイへ遠征し、ポイントを獲得するのとしないのとでは、精神的なダメージの差が大きい。
そんな思惑がレースにどう影響するのか、興味深い戦いの火ぶたが切って落とされた。

そんななかLEONレーシングは早々に好タイムを計測。だが、あれよあれよという間に第二次予選進出のカットライン、16位圏外まで落ちてしまった。これを見越した黒澤選手はタイヤに再び入念に熱を入れ、アタック終了直前の周回でタイムを短縮し、見事、13位でQ2進出を決めたのだ。
Q2を受け持った蒲生選手はいまや、スーパーGT300クラスの中で、ライバルチームもその実力を認めるドライバー。予選での一発の速さも、そして決勝後半の粘り強い速さも合わせもつ。そんな蒲生選手がアタックしたQ2。好タイムではあったものの、全体6位という結果に。そこそこの上位ではあるが、翌日の決勝が厳しい戦いになることが予想された。
そして迎えた決勝。スタート時には気温33℃、路面温度48℃というコンディションに。暑くアツい戦いは始まった。

レースは序盤から3台の日産GT-Rがワン・ツー・スリーを独占というレース展開に。直線もそこそこ早く、ストップ&ゴーに強いマシン特性が見事に結果に表われた。それをアストンマーティン、メルセデスが追うかたちとなった。
そして他チームに先んじて、LEONレーシングは早めのピットイン。タイヤはフロントのみ交換、ガソリンは満タンにし、ドライバーを蒲生選手に交代してコースに送り込んだ。
迅速なピット作業により、5位をキープし続けるLEONレーシング。タイヤが摩耗してきたアストンマーティンをかわして4位に浮上するも、GT-Rの3強は崩せない。そのままフィニッシュかと思われたその時、ファイナルラップで前をゆく11号車のGT-Rをパスに成功。見事3位でフィニッシュすることができたのだ。

昨シーズンのチャンピオンチームとして意地を見せたかたちとなったLEONレーシング。次戦は今季2度目の富士。後半戦も、まだまだ目が離せない ── 。