従来とはひと味違うその内容とは?
行く前に知っておいてほしいのは、第46回を数える2019年のショーでは、東京ビッグサイトにおける会場が大きく二つに分かれていること。電車だったら、りんかい線かゆりかもめの駅を使うので都心からのアクセスも悪くないけれど、「青海(あおみ)展示棟」と有明の「西・南展示棟」に分かれての展示なのだ。
でもって、ぜひ観ていただきたいのは、もちろん両方の展示棟でのクルマの展示(青海の乗用車メーカーは、トヨタ、ダイハツ、SUBARU、有明はLEXUS、マツダ、メルセデス・ベンツ、アルピナ、Honda、日産、ルノー、スズキ、三菱)。
仕事のあと、ゴハン前に彼女を誘って行く場所として、欧米では美術館を使うひとは多いけれど、いまだけ(会期は2019年11月4日まで)スペシャルとして、「今日はちょっとクルマの世界をのぞいていこうよ」なんて誘い文句もおおいにアリではないかと思う。
ショーの目玉は「電気」。なかでも、Honda、マツダが2020年発売予定のEVを揃って発表したのが、大注目だ。先んじて欧州で予約を介した、航続距離200キロていどの通勤など街乗り中心の使用を想定した、ちょっとスポーティなスタイルのコンパクトモデルである。
フロントマスクの造型も従来のマツダとひと味ちがっている。これまでのマツダ車は大きなフロントグリルとバンパーレス(内部にはあるけれど)のフロントマスクを特徴としてきたけれど、MX-30はエアダム一体型の大型バンパーが目をひく。
「親近感のあるたたずまいや、心が自由になる開放的な空間、がテーマでした」とは、主査の竹内都美子さんが言っていたこと。都会型のEVだけれど、たしかに物欲を刺激するモデルであることまちがいない。欧州では受注がスタートしているとのことで、日本でも早く!と言いたい。
上記2社の展示は有明の会場で観ることが出来る。もうひとつ注目はLEXUS。「LF-30 Electrified」と名づけられた、ギョギョッとするぐらいぶっとんだスタイルのEVのコンセプトモデルなのだ。
車名のLはLEXUS、Fは(ひょっとしたら)フューチャー、そして30は、LEXUSとトヨタ自動車が掲げる「2030年までにEV・FCV合わせて100万台以上を目指す」という目標をイメージさせる。
「EVになったらクルマはコモディティティ(家電)化するという意見もありますが、逆に、従来のクルマでは出来なかった技術で、さらに運動性能を高められる可能性もあります。そこに注目したコンセプトです」
そう語ってくれたのは、LEXUS INTERNATIONAL(これが正式社名)で技術開発を統括する立場にある佐藤恒治エグゼクティブバイスプレジデントだ。ショー会場で話をしたとき、「我われはクルマをあきらめていないということです」なんて頼もしいひとことを付け加えてくれた。
東京モーターショーではもうひとつ、フロントマスクが一新された「メルセデス・ベンツVクラス」も公開された。スポーティな見た目になっている。2.2リッター4気筒ツインステージターボエンジン搭載で、内装はエクスクルーシブシートパッケージの設定などで、より豪華に。
パーソナルなモビリティ、ロボット、それに(あらゆるものが通信技術でつながった)コネクテッド社会の展望を、テーマパークのノリで楽しませてくれていた。体験プログラムが組まれているので、ここは多少時間に余裕を持って訪れてみるのもいいのでは。
斬新なのはスタイルだけでなく近未来の先進技術が盛り込まれた「レクサスLF-30 Electrified」
全長5.3メートルの余裕あるサイズの高級バン「トヨタ・グランエース」は19年中に発売予定 写真=東京モーターショー事務局
クーペライクなスタイルが魅力的な「マツダMX-30」
欧州でも早くも人気というピュアEV「Honda e」
三菱のガスタービンによるEVの提案「MI-TECH」
日産のEVのコンセプトモデル「アリア」と、その説明をするグローバルデザイン担当専務執行役員アルフィオンソ・アルバイサ氏 写真=日産自動車
「TOYOTA e-RACER」では専用のデジタルグラスを装着して好みの走行シーンを現実世界に重ね合わせられる
トヨタ自動車が出展した「MIRAI Concept」は2020年発表予定の次期MIRAIのコンセプトモデル 写真=東京モーターショー事務局
メルセデス・ベンツのVision EQS
SUBARUによる次期レヴォーグのコンセプトモデル 写真=東京モーターショー事務局
スズキの「ハスラー・コンセプト」はまもなく登場といわれる人気の軽SUV「ハスラー」の次期型がベース
「レクサスLF-30 Electrified」はステアバイワイヤなどの技術を使うが、実用化も意外に早いかも
ホンダが世界で初公開した新型「フィット」は問題だったブレーキの改良にもめどがたち2020年2月の発売予定という
東京ビッグサイトを使った東京モーターショー
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ホンダが世界で初公開した新型「フィット」は問題だったブレーキの改良にもめどがたち2020年2月の発売予定という
東京ビッグサイトを使った東京モーターショー
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。