ボルボの考える最良のセダンとは?
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日本における最新のボルボモデルは、2019年11月5日に発売になったばかりのセダン新型「ボルボS60」。ここでは何度か書いてきたと思うけれど、セダンは、じつはクルマの原型ともいうべきもの。そのよさは、乗り心地とフォーマル性にある。S60は、それにスポーティなテイストが加わっている。
2018年に日本に導入されたのがステーションワゴンの「ボルボV60」で、今回のS60はそのセダン版。全長4760ミリと伸びやかなボディに、最新のボルボ車のアイデンティティといえる、ちょっとアグレッシブなフロントマスクの組合せ。セダン=保守的というイメージなんて吹き飛ばしてくれる。
思い返すと、スウェーデンは優れたスポーツギアの国だった。フィッシング好きには「アブガルシア」のリールとロッド。スノースポーツを楽しむひとは「POC」のヘルメットや「ホグロフス」のウェアを知っているはず。
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実際にボルボも、クルマの宣伝にはセーリングなどのアクティビティのイメージをよく使う。イメージするオーナーの生活といえば、普段は仕事をバリバリしていても、休日をしっかり取って、彼女とか乗せて、海や山や野原へと出かける(おそらくゴルフも)。
新型S60だって、そういうひとに向けて開発された、疲労しにくく、快適で、それなりに速くて、かつ安心感が高いクルマというのがセリングポイントなのだ。
ボディサイズは、全長4760ミリ、全幅1850ミリ、全高1435ミリで、ホイールベースは2870ミリと長い。競合のひとつになりそうなメルセデス・ベンツCクラスを比較に持ち出すと、こちらは全長4690ミリ、全幅1810ミリ、全高1445ミリで、ホイールベースは2840ミリと少しずつ短い。
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走りは、1500rpmから4800rpmにかけて最大トルクが出る、いわゆるフラットトルクのエンジン特性を利用して、市街地ではゆったりいい気分だ。いっぽう高速では加速性能に秀でている。アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、間髪入れずにというかんじで、クルマは加速体勢に移る。
コーナリング性能もよい。ステアリングはダイレクト感が強くて、切り込んだときの車体の反応速度もけっこう速いのだ。ウルトラスポーティではないけれど、トルクのあるエンジンとともに、かなりいいペースで山道を走れる。姿勢だって安定しているので安心感は高い。
感心したのは、乗り心地のよさ。じつはV60はリアサスペンションが少し硬すぎかなと気になっていた。いっぽうS60の足回りは、しなやかに動く。
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インテリアは、ボルボ車の最大の魅力のひとつだ。S60でもそこはしっかり作りこまれている。ダッシュボード中央にインフォテイメントシステム用の縦型液晶モニタースクリーンを備える、ダッシュボードの基本的なレイアウトは、V60をはじめ、昨今のボルボ車と共通だ。
そのモダンで少々ハイテクな雰囲気と、シートをはじめドアやセンタートンネルのアームレストなどを、ソフトなタッチのレザーやファブリックでくるんだかんじが、他車にはなかなか見当たらない。誰かを乗せるときは、もてなし感覚ばつぐんといえる。
日本のラインナップは4つの車種で構成。ガソリンエンジン車は「T4モメンタム」と「T5インスクリプション」。1968cc4気筒ターボエンジンに8段オートマチック変速機の組合せは共通。出力ちがいだ。T5が187kW(254ps)の最高出力と350Nmの最大トルクを持ついっぽう、T4は140kW(190ps)と300Nmとなる。
安全性はもちろん、運転支援技術もかなり充実
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ポールスターとはボルボ傘下の会社。自社ではパフォーマンスEVを手がけ、並行して、ボルボのツインエンジン車(ハイブリッドのこと)やEVのチューンナップを担当する。
チューンナップというと、従来は内燃機関(いわゆるふつうのエンジン)搭載車両の専売特許と思っていたけれど、ボルボカーズではいち早く代替燃料車も対象にしているところが、ユニークではないか。
安全と運転支援技術は、かなり充実している。たとえば、パイロットアシストを使って時速130 キロまで車線維持走行が出来るようになった。そして、「インテリセーフ」機能はさらに増えている。
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価格は「T4モメンタム」の489万円にはじまり、今回の「T5インスクリプション」の614万円、プラグインハイブリッドの「T6ツインエンジンAWDインスクリプション」の779万円、そしてトップモデルである「T8ポールスターエンジニアード」(30台限定)の919万円までとなっている。
セダンはじつはドイツ車をはじめ輸入車のなかでは、けっこう重要なポジションを占めている。S60の競合も多い。
メルセデス・ベンツC200ローレスエディション(586万円)、BMW320i Mスポーツ(594万円)、アウディA4 40TFSIスポーツ(566万円)、さらにアルファロメオ・ジュリア2.0ターボベローチェ(589万円)もある。
冒頭の話に戻るが、やっぱりセダンと、セダンに乗ることというのは、かっこがいいものだ。スーツにも似ているかもしれない。でも、形式的というのではなくて、乗り心地のよさではSUVはかなわないなど、ちゃんと実もある。いい選択だと思う。
T5インスクリプションのホイール径は標準で18インチでオプションで19インチが用意される
ボリューム感を感じさせる曲面が美しい
「センサス」のモニタースクリーンをダッシュボード中央に据え、最近のボルボ車に共通するテーマでまとめられている
T5インスクリプションにはパンチングレザーのシートがそなわる
ブラックと「アンバー」(写真のシートの色)というコントラストを活かした室内
選ぶ色でだいぶ雰囲気が変わる
T5インスクリプションでは後席のためにはシートヒーターも
セダンのトランクは広い
自然がゆたかな国で設計されただけあって緑が似合う
オプションで用意されるバウアーズ&ウィルキンズ(B&W)のハイファイシステムは15スピーカー(写真はダッシュボード上のトゥイーター)で1100ワットの出力
T5インスクリプションのホイール径は標準で18インチでオプションで19インチが用意される
ボリューム感を感じさせる曲面が美しい
「センサス」のモニタースクリーンをダッシュボード中央に据え、最近のボルボ車に共通するテーマでまとめられている
T5インスクリプションにはパンチングレザーのシートがそなわる
ブラックと「アンバー」(写真のシートの色)というコントラストを活かした室内
選ぶ色でだいぶ雰囲気が変わる
T5インスクリプションでは後席のためにはシートヒーターも
セダンのトランクは広い
自然がゆたかな国で設計されただけあって緑が似合う
オプションで用意されるバウアーズ&ウィルキンズ(B&W)のハイファイシステムは15スピーカー(写真はダッシュボード上のトゥイーター)で1100ワットの出力
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。