アメリカンSUVでしか味わえない、唯一無にな味わいがイイんです
日本で発売されたキャデラックXT6は、2019年に米国で発売された最新モデル。メルセデス・ベンツGLEより少し大きい、余裕あるボディサイズで、3列7人乗りというのが、まず大きな特徴。
米国でSUVは3列シートがないと売れない、と言われているぐらいニーズが高いのです。キャデラックはもっと大きなサイズのSUVであるエスカレードでも3列シートを採用しているので、手慣れたもの。
スタイルは、さきに日本市場に導入されているスポーティなルックスのXT5ともまた違い、ルーフの前後長をたっぷりとった機能主義を感じさせます。見た目からして広そう。ウィンドウグラフィクスを工夫したりして、妙にスタイリッシュさを狙うような、あざとさがないのは、逆に好感もてちゃいます。
それでいて、フロントマスクといい、リアのコンビネーションランプといい、しっかりキャデラックファミリーであることをアピール。とりわけフロントマスクは、縦型のLEDによるシグネチャーランプと、幅の狭いヘッドランプのケースとで、ちゃんと”ひと味ちがう”ってアピールが効いているではありませんか。
考えてみたら、米国にだって、カーブの多い道あるんですよね。有名なところではロサンジェルス近郊のマローランド(マルホランド)ドライブ。あんな道もOKでしょう。
3649ccV型6気筒エンジンは、最高出力231kW(314ps)と最大トルク368Nmを発生。四輪を駆動します。小さくないボディですが、充分なパワーで、出足もいいし、追い越し加速もかったるさは一切ありません。
最近SUVの世界ではクロスオーバーというジャンルが出てきて、セダンのような操縦感覚をウリにしているモデルもあります。それはそれでいいのですが、XT6の、セダンともクロカン(クロスカントリー)型4WD車とも違う、この独特の”味”は貴重です。
変速機は9段オートマチックです。7速でようやく直結なので、低めのギアを使ってパワーを引き出すのが得意です。特にドライブモードセレクターで「スポーツ」をセレクトすると、アクセルペダルへの反応が速いトルクバンドをしっかりキープしてくれます。
快適でラグジュアリーなキャビンはロングドライブにぴったり
もうひとつ、大事なのは、安心して、信頼して乗っていられるか、ということです。XT6のびしっとした剛性感の高い車体には、ユーザーの期待をしっかと受け止める能力が感じられるんです。
室内は雰囲気よくデザインされています。キャデラックのプレミアムセダン、ダッシュボードはCT6などにも通じるテーマでまとめられています。ダッシュボード、ドアトリム、すべてが立体的な造型で、有機的につながっていているんです。
キャデラックでは、ホンモノに見える、ではなく、ホンモノを使う、ということを素材選びのポリシーにしていると説明しています。トゥルートゥマテリアルという、クルマの内装デザインの考えかたが採用されているのですね。
レザー、クロームの金属パーツ、数種類のレザーといった素材が、他に類のない世界観を実現しています。シート背もたれの模様はキャラデラックの「クレスト」というエンブレムの輪郭をモチーフに。各部に凝っているのも、オーナーには嬉しい点であります。
そして第3列にもちゃんとシートが。爪先が前の席の下に入らないので、おとなには脚まわりがすこし窮屈かもしれません。でもそんなに長い時間でなければ、充分乗っていられます。
そしてこの第3列のシートを使っている状態でも、荷室容量は357リッターが確保されているから大したもの。キャリーオンなら2つ楽々積めます。ゴルフに行こうよって誘うときは、第3列のシートを折り畳めば荷室広大です。4人で楽々なのですよ。
実は非常に先進的な技術が搭載されています
メーカーが、この道なら手放しで走っても大丈夫だろうか、とすべて事前に調査してオーケイを出した道だったら、ステアリングホイールから手を離したまま、どこまでも走れるシステムが搭載されているんです。
日本ではあいにく衛星システムが使えないため、残念ながら、同じようにはいきません。でもきっちり新しくて、ゼンリンの市街図とオンラインVICSのデータを組み合わせた、クラウドのマップを使ったナビゲーションシステム搭載です。
電子技術といえば、キャデラックが2015年発表のセダン、CT6で早々と実用化したリアカメラミラーも、これ、便利です。画像のクオリティも上がっています。
カメラは外に向かって付いているわけですから、後席に何人座ろうが、何を積もうが、後方視界がまったく影響されないのが大きな利点であります。それに室内の物理的な鏡面ミラーより映し出される範囲が広いし、夜間見やすいので、たいへんありがたい装備です。
価格は870万円。オプションはペイントだけ、というのがキャデラックのマーケティングです。カメラ、グラスルーフ、BOSEの「Performance Series」サラウンドサウンド 14スピーカーシステム、「DR(自律航法)マップマッチング対応クラウドストリーミングナビ」、20インチホイールなど、ほぼすべてが標準装備。
一見安いと思っても、ほとんどの装備がオプションで、結局予想以上に高くなってしまった。そういうことがないように、というのが、キャデラックを輸入している日本ゼネラルモーターズのポリシーなのですね。これも評価したいポイントです。
全長5060ミリ、全幅1960ミリ、全長1775ミリ
キャビンが大きくて見るからに実用性が高そう
ドライバーズシートは目線も高いし居心地がいい
独特の形状のリアコンビネーションランプでキャデラックとわかる
最高出力231kW(314ps)@6700rpm、最大トルク368Nm@5000rpmとV6エンジンは高回転型
アダプティブクルーズコントロール、前後歩行者対応オートマチックブレーキ、レーンキープアシストなど安全装備も豊富
3列および2列目シートのバックレストを倒せるので荷室容量は大きい
6名乗車
4 種類のドライブモード(ツーリング、AWD 、スポーツ、オフロード)が選択できる
CT6日本仕様につづいて「DR(自律航法)マップマッチング対応クラウドストリーミングナビ」標準装備
室内照明の色調がドラマチックなのでもてなし感も充分
第2世代を謳われるリアカメラミラー(自動防眩ミラー機能/リアカメラウォッシャー付)標準装備
全長5060ミリ、全幅1960ミリ、全長1775ミリ
キャビンが大きくて見るからに実用性が高そう
ドライバーズシートは目線も高いし居心地がいい
独特の形状のリアコンビネーションランプでキャデラックとわかる
最高出力231kW(314ps)@6700rpm、最大トルク368Nm@5000rpmとV6エンジンは高回転型
アダプティブクルーズコントロール、前後歩行者対応オートマチックブレーキ、レーンキープアシストなど安全装備も豊富
3列および2列目シートのバックレストを倒せるので荷室容量は大きい
6名乗車
4 種類のドライブモード(ツーリング、AWD 、スポーツ、オフロード)が選択できる
CT6日本仕様につづいて「DR(自律航法)マップマッチング対応クラウドストリーミングナビ」標準装備
室内照明の色調がドラマチックなのでもてなし感も充分
第2世代を謳われるリアカメラミラー(自動防眩ミラー機能/リアカメラウォッシャー付)標準装備
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。