モンクレールやハンティング・ワールドともコラボを実現させ、さらに今季は待望の「LARDINI BY YOUSKE AIZAWA」をローンチするなど、ファッションシーンを牽引する人物でもあります。
探し続けて出会えた理想の964
相澤陽介さん(以下 相澤) 「実はこの964を手に入れる前も(現行の水冷)911に乗っていたんです。ただし、空冷時代のポルシェは、かねてから独特の味わいが強いと聞いており、気にはなっていました。とはいえ、僕はそこまでエンスージアストでもないので、便利な現行モデルにある程度満足していたんです」
しかし、カエル目のスタイリングやコンパクトなボディ、それに特別なハンドリングやドライビングフィールが楽しめるという空冷ポルシェを諦めきれず、相澤さんは探し続けていたと言います。
相澤 「多くのファンを持つ964のステアリングを一度は握りたいと思い、懇意の業者さんにリクエストを出し続けていたんです。ただし、空冷時代のポルシェは現行品にはない難点も多いので、であれば理想の一台に巡り合えたら乗り換えようと決めていたんです」
走ることの本質をいま一度見つめ直して
相澤 「依頼していた業者の方には“964のカレラ2、そしてシルバーカラーにして低走行。できれば屋内保管のノーマルモデル”をとリクエストしており、まさに思い描いていたもの。これこそ僕が子供時代から抱いていた“ドイツの純正スポーツカー”のイメージ通りの一台です」
相澤 「まだ手に入れて半年ですし、昨今は非常に忙しく運転もほとんど自宅と仕事場の往復がメイン。30分ほどのドライビングですが、ソリッドな乗り味を自分なりに楽しんでいます。確かに現行モデルに比べてステアリングは重いしインテリア的にもプアであり、バッテリーがすぐ上がってしまうなどの不満はあります(笑)」
「快適な移動手段、という意味では時代に逆行した乗り物と言えるでしょう。しかしそれらも含め、ドライブすることの意義がこの一台にはあるように感じています」
「40歳を越えた年齢と言うのも964を選んだひとつのポイントです。走る・曲がる・止まるという行為の本質を、いま一度ダイレクトに味わい直したい。機械式時計やクロモリ鋼の自転車を手に入れることと、どこか似ている部分があるように感じます」
● 相澤陽介
1977年生まれ。多摩美術大学染織科を卒業後、2006年にWhite Mountaineeringをスタート。これまでにMoncler W、BURTON THIRTEEN、adidas Originals by White Mountaineeringなど様々なブランドのデザインを手がける。2019年からは、北海道コンサドーレ札幌のディレクターにも就任。また、2020年春夏よりLARDINI by YOSUKE AIZAWAをスタートする。その他、多摩美術大学の客員教授も勤める。