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昨日の公式予選で20番グリッドに沈んだLEONチームは、菅波冬悟選手にスターティング・ステアリングを委ねて決勝レースに臨んだ。スタート直後、菅波選手は一時的にポジションを落としたものの、3周目までには20番手に挽回。続く3周で18番手へと浮上する力強い戦いぶりとハートを示した。
そして19周目には、15番手まで順位を上げたところでチーム戦略によりピットストップ。いつセーフティカーが出動してもいいように、早めにピットストップを行ういつもどおりの戦略だ。しかも、今回はタイヤ無交換作戦。
このため蒲生尚弥選手へのドライバー交代と給油を済ませるとLEON号は素早くコースに復帰した。あとは蒲生選手の奮闘に期待するとともに、レースの推移を見守るだけだ。
第5戦富士に続く大逆転への筋道が見えたことで、チーム内に一瞬、明るい空気が広がった。
セーフティカーランは5周ほどで終わってレースは再開。この時点でピットストップを行っていなかったチームが続々とピットロードに滑り込んできた。本来であれば、ライバルたちがピットストップするたびにLEONチームの順位も上がるところだが、タイミングモニターを見ていても順位は20番手前後のままで一向に上がらない。
それどころかタイヤ無交換作戦を選んだ影響もあって30周目までには22番手へと後退していた。いったい、LEONチームに何が起きたのだろうか?
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第5戦鈴鹿ではピットストップを行っても周回遅れにはならず、そこにセーフティカーが出動したのでトップとの間隔を一気に詰めることができた。しかし、今回はピットアウト時点でトップのほうを走っていたマシンの前に出られず周回遅れになってしまったので、1周の差が残ったままとなり、セーフティカーランに伴う劇的な追い上げは実現できなかった。つまり、同じ戦略でも周回遅れになっているかどうかで、結果はまったく異なるものになるのだ。
「これはいまだから言えることですが、今回に関していえばあのタイミングでピットストップを行うのは正しくなかった。ただし、我々にはいつセーフティカーが出動するかわからないから、定石に従って早めにピットストップを行うしかなかったのです」。チームが選択したレース戦略について黒澤監督はそう説明した。
「ただし、これも元を正せばスターティンググリッドが20番手だったから起きたこと。後ろからスタートしたからレース序盤にトップとの差が広がり、ピットストップしたことで周回遅れになった。だから、レースはやっぱり前のグリッドからスタートしないとダメなんです。そうしないと、状況はどんどん悪くなってしまう。今回のレースは、ここにポイントがあったと言えるでしょう」
今回のレースの結果、チームランキングで1位チームは77Pt、2位LEON RACING70Ptとその差は7点差。2018年に次ぐ、最終戦での大逆転シリーズチャンピオンの座を手に入れることができるか——。11月28日・29日に開催される第8戦から目が離せない。