使い勝手が格段に向上した注目のニューモデル
なにしろBピラー(前席と後席の間)から後ろを専用設計。ルーフを伸ばし荷室容量も増しているのが特長だ。
もうひとつの特徴はポルシェが「4+1」と呼ぶシートアレンジ。従来のパナメーラ(本社ではパナメーラ・スポーツサルーンと呼ぶ)の後席は左右が完全に独立した2人がけだったのに対して、スポーツツーリスモは3人がけとなっている。
こんなスゴいクルマで“どう? いかない?”と誘われて断れるコはいるだろうか、などと思ってしまう。
ガソリンエンジンのラインナップは3種類。
「パナメーラ4スポーツツーリスモ」は243kW(330ps)の最高出力と450Nmの最大トルクを発生する2995ccV6搭載。
「パナメーラ4Sスポーツツーリスモ」は2894ccV6搭載。こちらはツインターボチャージャーを装着し、324kW(440ps)と550Nmを誇る。
それにもうひとつ。パナメーラ4 Eハイブリッド・スポーツツーリスモが同時発売された。2894ccV6に電気モーターの組み合わせ。システム連繋で340kWと700Nmを誇る。
すべてのモデルがフルタイム4WD搭載。変速機は8段PDK(2ペダルのツインクラッチ仕様)となっている。
このクルマで走ったのはカナダのバンクーバー島。バンクーバー国際空港から小さなターボプロップ機で20分ほど飛行したところにある島だ。
0-100km/h加速3.8秒の俊足、パナメーラ・ターボ・スポーツツーリスモの走りはいかに?
このクルマはかつて見たことがあったが、あらためて引いたり寄ったりして眺めてみると、あきらかにスポーツサルーンとは異なる個性を感じる。
ルーフの前後長が480ミリ伸びたせいもあるだろう。加えてショルダーといってサイドウィンドウ下のボディのふくらみがフロントドアからハッチゲートまで続いているのも目をひく。そのショルダーラインによって後輪の存在感が増し、パワフル感が強くなっている。
まず乗ったのはパナメーラ・ターボ・スポーツツーリスモだ。「クラスで最もスポーティなモデルのひとつ」とポルシェではする。静止から時速100kmまで加速するのに要する時間はわずか3.8秒。最高速度は時速304キロとされる。
メーターまわりも新しい技術が採用されている。「カー&インフォディスプレイ」と呼ばれる液晶モニター画面には車両の情報やカーナビの地図を表示させることができる。
男女ともにポルシェ好きなら思わずニヤリとしてしまうのは、液晶を多用したメーターナセルにおいて、回転計は虚像でなくホンモノを使っていることだ。
じっさいの走りは、その印象を裏切らない。ひとことでいうとよく走る。1960rpmで770Nmの最大トルクを出し始めるV8ユニットは2トンを超える重量などものともしない。うんと軽いスポーツカーを操縦している気分になってくる。
ハンドリングはナチュラルで反応はダイレクトだ。ステアリングは電気式というが、適度な重さといい、握る力をゆるめたときに中立ふきんに戻ろうとするセルフアライニングトルクの出かたといい、みごとな味付け。
Eハイブリッドももうひとつの魅力をもったモデルだ。
リッター40kmをたたき出す、ポルシェ・ハイブリッドの実力
さらにベーシックなパナメーラ4スポーツツーリスモを除くすべてのモデルにはエアサスペンションが標準装備。
「初代パナメーラのエアサスペンションに比べて大幅に改善された」とポルシェが謳う最新のシステムでは空気容量を約60パーセントも増やすことでスポーツから快適まで、より広い範囲でよりよく対応している。
試乗したモデルには、加えオプションの「PDCC(ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール)スポーツが搭載されていた。
これにトルクベクタリングといってコーナリング時にブレーキを使って姿勢を安定させるシステムが組み合わされている。
はたしてコーナリング時のみのこなしはみごと。コーナリング時の姿勢変化が少ないことをオン・ザ・レール、レールの上を走っているよう、と形容することがあるが、まさにそんなかんじだ。
満充電で51キロまでは電気モーターのみで走行するのがデフォルト。ステアリングホイールにはドライブモード切り換えスイッチがある。
操作すると純粋な電気走行の「Eモード」か、加速時などに適切なパワートレインを選ぶ「ハイブリッドオート」モードが設定できる。
加えて「Eホールド」と「Eチャージド」というバッテリー充電のためのモードへも切り替えられる。
メーカーの参考値によると100キロ走るのに消費するガソリンの量はわずか2.5リッター。日本式にいうとリッター40キロという驚く数値だ。走行キロあたりのCO2排出量は56グラムと、規定される95グラムをはるかに下回っている。
じっさいに今回の試乗中、ビクトリア島の公道上で信号待ちをしているあいだ、「コンコン」と窓をノックされ、「これはハイブッド?」とカナダ人バイカーに尋ねられたジャーナリストもいたようだ。
ユーザーからの希望が多かったという3人がけ後席シート「2+1」を採用したことと、荷室容量拡大。これらはファミリー層を意識した結果ですか? 開発担当のドクター・ゲルノート・デルナーに尋ねると、「パナメーラの持ついろいろな可能性を追求した結果です」という返事だけ戻ってきた。
内装は例によっていい雰囲気で、やはり最強のデートカーの1台であることは間違いないようだ。
全長5049ミリ、全幅1937ミリ、全高1428(ターボは1432)ミリ(欧州値)
16色のボディカラー、12色のインテリアカラーパレット、6つのパッケージが用意される(欧州)
電子制御マルチプレートクラッチを備えたアクティブ4WDシステムであるポルシェ・トラクション・マネージメントシステム搭載
オプションでリアアクスルステアも用意される
サスペンションは前がウィッシュボーン、後ろがウィッシュボーンを使ったマルチリンク
デジタル式ポルシェ・アドバンストコックピットを備えたインテリアは居心地がよい
電動開閉式テールゲートを備え、63センチの低いロワーシル、さらにホイールハウス間は92cmの幅が確保され荷物の積み降ろしが楽とポルシェではする
後席の快適性もデジタルのタッチスクリーンによるさまざまな調節機構で保証されている
中央の回転計いがいはデジタル表示で、とくに右側はナビ画面にも切り替えられる
アダプティブスポイラーは速度域によって角度を自動的に変えリアアクスルに50キロのダウンフォースを与えるという
LEDデイタイムランニングランプを備えた3つの異なる仕様のLEDヘッドランプが用意される(写真はパナメーラ4 Eハイブッドのもの)
ルマン24時間レースでの勝利といいポルシェはハイブリッドに力をいれ着実に成果を出している
空力的な造型のドアミラー
横基調のLEDランプがスポーツツーリスモの特徴になっている
アシッドグリーンのブレーキキャリパーはポルシェのEハイブリッドの一族であることを示している
システム全体で324kW、550Nmものパワーを発生するEハイブリッド
全モデルにアクティブ4WDシステムと8段PDK標準装備
中央にもひとが座れるようにした「2+1」シートがスポーツ・ツーリスモの特徴
全長5049ミリ、全幅1937ミリ、全高1428(ターボは1432)ミリ(欧州値)
16色のボディカラー、12色のインテリアカラーパレット、6つのパッケージが用意される(欧州)
電子制御マルチプレートクラッチを備えたアクティブ4WDシステムであるポルシェ・トラクション・マネージメントシステム搭載
オプションでリアアクスルステアも用意される
サスペンションは前がウィッシュボーン、後ろがウィッシュボーンを使ったマルチリンク
デジタル式ポルシェ・アドバンストコックピットを備えたインテリアは居心地がよい
電動開閉式テールゲートを備え、63センチの低いロワーシル、さらにホイールハウス間は92cmの幅が確保され荷物の積み降ろしが楽とポルシェではする
後席の快適性もデジタルのタッチスクリーンによるさまざまな調節機構で保証されている
中央の回転計いがいはデジタル表示で、とくに右側はナビ画面にも切り替えられる
アダプティブスポイラーは速度域によって角度を自動的に変えリアアクスルに50キロのダウンフォースを与えるという
LEDデイタイムランニングランプを備えた3つの異なる仕様のLEDヘッドランプが用意される(写真はパナメーラ4 Eハイブッドのもの)
ルマン24時間レースでの勝利といいポルシェはハイブリッドに力をいれ着実に成果を出している
空力的な造型のドアミラー
横基調のLEDランプがスポーツツーリスモの特徴になっている
アシッドグリーンのブレーキキャリパーはポルシェのEハイブリッドの一族であることを示している
システム全体で324kW、550Nmものパワーを発生するEハイブリッド
全モデルにアクティブ4WDシステムと8段PDK標準装備
中央にもひとが座れるようにした「2+1」シートがスポーツ・ツーリスモの特徴
ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。