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2017.07.31

話題のポルシェ・パナメーラ・スポーツツーリスモに乗った

荷室を拡大し、後席が2+1になったパナメーラの注目モデルを徹底リポート。

取材・文/小川フミオ
パナメーラの荷室を大きくしたスポーツツーリスモが登場。話題のこのニューモデルにカナダ・バンクーバー島で試乗した。
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使い勝手が格段に向上した注目のニューモデル

2017年3月に発表されて大きな話題を呼んでいたパナメーラ・スポーツツーリスモ。アクティブな男だったら荷室だって有効に使いたい。そんなニーズにぴったりのモデルだ。
 
なにしろBピラー(前席と後席の間)から後ろを専用設計。ルーフを伸ばし荷室容量も増しているのが特長だ。
 
もうひとつの特徴はポルシェが「4+1」と呼ぶシートアレンジ。従来のパナメーラ(本社ではパナメーラ・スポーツサルーンと呼ぶ)の後席は左右が完全に独立した2人がけだったのに対して、スポーツツーリスモは3人がけとなっている。
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リアシートのバックレストはしかも4対2対4の割合で分割可倒式。スポーツサルーンより20リッター増え520リッターにもなった荷室とともに、サーフィンだろうがゴルフだろうがキャンプだろうが誘うのにももってこいに。
 
こんなスゴいクルマで“どう? いかない?”と誘われて断れるコはいるだろうか、などと思ってしまう。
 
ガソリンエンジンのラインナップは3種類。
「パナメーラ4スポーツツーリスモ」は243kW(330ps)の最高出力と450Nmの最大トルクを発生する2995ccV6搭載。
 
「パナメーラ4Sスポーツツーリスモ」は2894ccV6搭載。こちらはツインターボチャージャーを装着し、324kW(440ps)と550Nmを誇る。
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パワー的に頂点に位置するのはパナメーラ・ターボ・スポーツツーリスモだ。404kW(550ps)と770Nmの3996ccV8を搭載している。
 
それにもうひとつ。パナメーラ4 Eハイブリッド・スポーツツーリスモが同時発売された。2894ccV6に電気モーターの組み合わせ。システム連繋で340kWと700Nmを誇る。
 
すべてのモデルがフルタイム4WD搭載。変速機は8段PDK(2ペダルのツインクラッチ仕様)となっている。
 
このクルマで走ったのはカナダのバンクーバー島。バンクーバー国際空港から小さなターボプロップ機で20分ほど飛行したところにある島だ。
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0-100km/h加速3.8秒の俊足、パナメーラ・ターボ・スポーツツーリスモの走りはいかに?

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「いままでにないクルマが欲しいひとにはぴったりだと思います」。パナメーラ・スポーツツーリスモの試乗会が開かれたバンクーバーアイランドで開発を担当したドクター・ゲルノット・デラーはそう語ってくれた。
 
このクルマはかつて見たことがあったが、あらためて引いたり寄ったりして眺めてみると、あきらかにスポーツサルーンとは異なる個性を感じる。
 
ルーフの前後長が480ミリ伸びたせいもあるだろう。加えてショルダーといってサイドウィンドウ下のボディのふくらみがフロントドアからハッチゲートまで続いているのも目をひく。そのショルダーラインによって後輪の存在感が増し、パワフル感が強くなっている。
 
まず乗ったのはパナメーラ・ターボ・スポーツツーリスモだ。「クラスで最もスポーティなモデルのひとつ」とポルシェではする。静止から時速100kmまで加速するのに要する時間はわずか3.8秒。最高速度は時速304キロとされる。
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運転席のかんじは2016年にフルモデルチェンジを受けたスポーツサルーンと同じだ。「ポルシェ・アドバンストコクピット」と名づけられた液晶パネルが備わるのは新しい感覚だ。
 
メーターまわりも新しい技術が採用されている。「カー&インフォディスプレイ」と呼ばれる液晶モニター画面には車両の情報やカーナビの地図を表示させることができる。
 
男女ともにポルシェ好きなら思わずニヤリとしてしまうのは、液晶を多用したメーターナセルにおいて、回転計は虚像でなくホンモノを使っていることだ。
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ポルシェではこれを「356(という50年代のポルシェのスポーツカー)へのオマージュ」としている。回転計におけるレブリミットは7000rpmの少し手前。このスポーティな感覚を目にすると、全長5メートルを超える高級セダンじゃなかったっけ?と声に出したくなる。
 
じっさいの走りは、その印象を裏切らない。ひとことでいうとよく走る。1960rpmで770Nmの最大トルクを出し始めるV8ユニットは2トンを超える重量などものともしない。うんと軽いスポーツカーを操縦している気分になってくる。
 
ハンドリングはナチュラルで反応はダイレクトだ。ステアリングは電気式というが、適度な重さといい、握る力をゆるめたときに中立ふきんに戻ろうとするセルフアライニングトルクの出かたといい、みごとな味付け。
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試乗コースはビクトリア島の山のなかが中心だったが、ワインディングロードのこなしかたはすばらしい。気持ちよくクルマが向きを変えるとともに、敏感なアクセルと、強力なストッピングパワーによって意のままにクルマを操れる。さすがポルシェであり、ターボという名前への期待は1ミリたりとも裏切られない。
 
Eハイブリッドももうひとつの魅力をもったモデルだ。
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リッター40kmをたたき出す、ポルシェ・ハイブリッドの実力

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パナメーラ・スポーツツーリスモは路面状況や走りに応じて電子制御ダンパーの減衰力を無段階に調節する「ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメント」を標準装備する。
 
さらにベーシックなパナメーラ4スポーツツーリスモを除くすべてのモデルにはエアサスペンションが標準装備。
 
「初代パナメーラのエアサスペンションに比べて大幅に改善された」とポルシェが謳う最新のシステムでは空気容量を約60パーセントも増やすことでスポーツから快適まで、より広い範囲でよりよく対応している。
 
試乗したモデルには、加えオプションの「PDCC(ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール)スポーツが搭載されていた。
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電気機械式スタビライザーの統合によってドライビングダイナミクスを最適化するというのが「PCCDスポーツ」のふれこみ。ポルシェによると、油圧アクチュエーターを使うシステムよりはるかに迅速に反応するそうだ。スタビライザーを硬くすることでコーナリング時に車体のロールを防ぐのが目的という。
 
これにトルクベクタリングといってコーナリング時にブレーキを使って姿勢を安定させるシステムが組み合わされている。
 
はたしてコーナリング時のみのこなしはみごと。コーナリング時の姿勢変化が少ないことをオン・ザ・レール、レールの上を走っているよう、と形容することがあるが、まさにそんなかんじだ。
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パナメーラ4 Eハイブリッド・スポーツツーリスモは3リッターV6に電気モーターの組み合わせ。システム合計で340kWの出力と700Nmのトルクと数値だけみてもパワフルだ。
 
満充電で51キロまでは電気モーターのみで走行するのがデフォルト。ステアリングホイールにはドライブモード切り換えスイッチがある。
 
操作すると純粋な電気走行の「Eモード」か、加速時などに適切なパワートレインを選ぶ「ハイブリッドオート」モードが設定できる。
 
加えて「Eホールド」と「Eチャージド」というバッテリー充電のためのモードへも切り替えられる。
 
メーカーの参考値によると100キロ走るのに消費するガソリンの量はわずか2.5リッター。日本式にいうとリッター40キロという驚く数値だ。走行キロあたりのCO2排出量は56グラムと、規定される95グラムをはるかに下回っている。
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アシッドグリーンに塗られたブレーキキャリパーといい、延長された車体のスタイルとともに、街ではかなり目をひくモデルだ。
 
じっさいに今回の試乗中、ビクトリア島の公道上で信号待ちをしているあいだ、「コンコン」と窓をノックされ、「これはハイブッド?」とカナダ人バイカーに尋ねられたジャーナリストもいたようだ。
 
ユーザーからの希望が多かったという3人がけ後席シート「2+1」を採用したことと、荷室容量拡大。これらはファミリー層を意識した結果ですか? 開発担当のドクター・ゲルノート・デルナーに尋ねると、「パナメーラの持ついろいろな可能性を追求した結果です」という返事だけ戻ってきた。
 
内装は例によっていい雰囲気で、やはり最強のデートカーの1台であることは間違いないようだ。
● 小川フミオ 

ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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