発表会の冒頭でフェラーリ・ジャパンのフェデリコ・パストレッリ社長は次のように語った。「SF90スパイダーは、スーパースポーツカーの概念を根本的に書き換える存在です。とりわけ、フェラーリが誇るテクノロジーの頂点にあたるパフォーマンスに加え、ルーフを開けて走る喜びも味わいたいと望むオーナーにとって理想的なモデルといえます」
このエンジンに組み合わされるのが3モーター式ハイブリッドシステム。3基のうちの1基はエンジンとギアボックスの間に位置するリアセクションに搭載されるが、残り2基は左右の前輪を独立して駆動する。左右のモーターが発生するパワーを制御することにより、ドライバーがハンドルを切らなくてもクルマが右に曲がろうとしたり左に曲がろうとしたりする力を発生することができる。これによりハンドリングの俊敏性をさらに向上することが可能となり、体感的には車重が200kg軽くなったような感覚でドライビングできるそうだ。
いっぽう、エンジン音はフェラーリらしく細心の注意を払ってチューニングされている。なかでもエグゾースト・サウンドをダイレクトにコックピットに伝達するホットチューブ・システムを採用することで、全周波数域でいっそう豊かで朗々とハーモニーが響き渡るという。
ところで、ここまでの内容は基本的に昨年発表されたクーペ版のSF90ストラダーレと同様だが、SF90スパイダーはルーフを折り畳んで収納できるコンバーチブルモデルである。しかも、この折りたたみ式ルーフは金属製のメタルトップで、閉めればクーペ並みの静粛性や耐候性が得られる模様。
つまり、SF90はV8エンジンを搭載したカタログモデルとして初めてフェラーリ・ラインナップの最高峰に位置すると同時に、カタログモデル初のプラグインハイブリッド・モデルでもある。すなわち、SF90はフェラーリの新時代を切り拓くニューモデルという重要な役割を担っているといっても過言ではなかろう。