Q4 e-tronは、コンパクトSUVセグメントに属するモデル。ボディタイプは、SUVモデルのQ4 e-tronと、クーペライクなQ4 e-tron Sportbackで、バッテリー容量は52kWh (総容量55kWh)と77kWh(総容量82kWh)の2種類がある。
ボディ骨格には、フォルクスワーゲングループのEV専用モジュラープラットフォーム「MEB」を採用。全長4.59mでオーバーハングを切り詰め、ホイールベースは2.76mと長く、センタートンネルなどの張り出しもないため、インテリアの有効長は1.83mと、フルサイズSUVに匹敵する室内空間を確保している。
エクステリアは、2019 年初頭に発表されたショーモデル、Audi Q4 concept および Audi Q4 Sportback e-tron concept のデザインを踏襲。短いオーバーハング、エッジの効いたプレスライン、大径ホイールなどスポーティなスタイリングを実現している。
グレードは3種類の設定がある。
「Q4 35 e-tron」はバッテリー容量52kWh、1基のモーターで最高出力170psを発揮。後輪を駆動する。
「Q4 40 e-tron」はバッテリー容量77kWh、1基のモーターで最高出力204psを発揮。後輪を駆動する。一充電航続可能距離はこのグレードがもっとも長く、520km(WLTPモード)を達成する。
最上位のモデル「Q4 50 e-tron quattro」は、バッテリー容量77kWh、前後に2基のモーターを配し、4輪を駆動。最高出力299psを発揮する
欧州では今夏より販売が開始される。ドイツにおける Q4 35 e-tronのベース価格は 41,900 ユーロ(日本円で約550万円)。日本への導入時期、価格などは未定。
「アウディの電動化攻勢は、2021年にさらに勢いを増していきます。今年1年間に発売されるニューモデルの半数以上が電動化モデルとなり、電気自動車のモデル数は3車種から 7車種へと倍増します。持続可能性は、私たちにとって非常に重要な課題です。 そのため私たちは、Q4 e-tron の生産に起因して発生する CO2 排出量をゼロにしたいと考えています。つまりこの車両を、カーボンニュートラルな方法でお客様にお届けすることを意味しています」
Q4 e-tronを生産するツヴィッカウ工場をはじめバッテリーセルのサプライヤーは、生産プロセスにおいてグリーン電力を使用。現時点で回避できないCO2排出に関しては、ドイツ技術検査協会(TÜV)によって認定された気候保護プロジェクトによって相殺するという。
アウディは、2018年に初の電気自動車Audi e-tronを投入して以来、約3年でEVモデルのラインナップを着実に拡充している。
e-tron SUVおよび e-tron Sportbackに続き、2021年2月にデビューした e-tron GTはポルシェとの共同開発による「J1」プラットフォームを採用したスポーツモデルであり、ポルシェタイカンとの姉妹車にあたるものだ。
続いて4月の上海モーターショーでは、Audi A6 e-tron conceptを発表した。これはアウディとポルシェが共同開発してきた新世代の電気自動車用プラットフォーム「PPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)」をベースとしたモデルだ。
PPEは、これまでに例のないほど幅広いモデルに対応できるよう設計された最初のEV専用プラットフォームだ。Audi A6シリーズといった車高の低いモデルをはじめ、背の高いSUVにも対応。今後はミッドサイズからラージサイズまで、フォルクスワーゲングループに属するすべてのブランドをカバーする主要骨格となる。ちなみにポルシェでは次期型マカンが、このPPEを使ったモデルになるとアナウンスされている。
電気自動車製造においてコストのかさむプラットフォーム、バッテリーなど、フォルクスワーゲングループは一丸となって、それらの量産効果を最大限に発揮する戦略をとっている。そして、その電動化攻勢の急先鋒となるブランドが、アウディということのようだ。
藤野太一(ふじの・たいち)
モータージャーナリスト。大学卒業後、中古車情報誌「カーセンサー」、カーセンサーエッジの編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。国内および海外での新型車試乗はもとより、自動車関連をはじめさまざまな分野のビジネスマンを取材する機会も多く「日経ビジネス」などにも寄稿。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属