ボクシーなスタイルは初代そのまま
初代の特徴だったテールゲート上のスペアタイヤケースを脇目に見ながらボディのかたわらに立つと、こちらもよく見慣れた形状のドアハンドルが目に飛び込んでくる。ちなみにこのドアハンドル、形状がよく似ているだけでなく、前述のスペアタイヤケース同様、旧型のパーツをそのまま流用しているという。
リモコンキーでロックを解錠すると、耳に届くのは、あの懐かしいパシャっという音。この瞬間、いま自分が乗ろうとしているSUVが、40年近くの長きにわたって作り続けられてきたメルセデス・ベンツ「Gクラス」であることを思い知らされる。
ドアを閉めた際のカシャンという音も初代を彷彿
運転席から前方に目をやる。大型のデジタルディスプレイを2枚組み合わせたメーターパネルは最新の「Sクラス」と共通するものだが、なぜか不思議な既視感を覚える。
最新モデルであれば、強く傾斜したフロントウィンドウ、それにエアバッグを始めとするさまざまな装備を盛り込んだ影響で、ダッシュボードは奥行きの深い形状となるのが当たり前だが、Gクラスのそれは伝統にのっとって奥行きが浅く、コンパクトな大きさに仕上げられている。
奥行きが浅いダッシュボードも初代を踏襲
そこから視線をややセンター寄りに移すと、センターコンソール上に並んだ3つのスイッチに気づくはず。これは、フロント、センター、リアの各ディファレンシャルギアをロックさせるためのもので、初代Gクラスのオフロード性能の高さを示すと同時に、インテリアデザインの象徴ともなっているもの。
その隣に並ぶパッセンジャー用のアシストグリップも、Gクラスで見慣れた装備のひとつ。つまり、Gクラスは新型に切り替わってもあるべきものがあるべきところにとりつけられているのだ。
1979年にデビューして以来、初のフルモデルチェンジ
このためメルセデスとしても慎重にフルモデルチェンジを行わざるをえなかった。デザインやさまざまな印象は、できれば誰にも気づかれないくらい初代に近く。しかし、走行性能、環境性能、安全性は最新モデルと同じ水準に……。開発陣は極めて困難なチャレンジに立ち向かうことになった。
ちなみに、本稿の前半部分は、私がこれまで取材した内容をもとに、新型Gクラスに乗り込む印象をシミュレーションしたものだ。
乗り心地と操縦性を最新モデル並みにまで一気に進化
さらに磨きがかけられたオフロード性能
もうひとつ見逃せないのは、足回りのいかにも堅牢な作りが引き継がれたことだ。サスペンション構造が変わっているために一概には比べられないものの、フレーム、サスペンションアーム、ディファレンシャルギアなどは、最新SUVでは滅多に見られないほど太く、大きくて、いかにも頑丈そうだ。
最新の運転支援装置も漏れなく装備
3個のデフを独立してロックできる機構が新型にも採用されていることは前述のとおり。そのほか、新型はダイナミック・セレクトと呼ばれるドライビングモード切り替えを搭載。コンフォート、スポーツ、インディビジュアル、エコのほか、オフロード専用のGモードが用意される。
さらに、自動ブレーキやアクティブレーンキーピングアシストに代表される最新の運転支援装置も新型には漏れなく装備されるといって間違いない。
日本では2018年中に発売される予定
見た目はそのままに、中身を一新させた新型Gクラス。日本でも2018年中に発売される模様だ。
初代そのままともいえるボクシーで無骨なエクステリアが最大の特徴
ボディサイズは現行型に比べて全長が53mm長く、全幅は121mm広くなった
インストルメントパネルの造形も先代を踏襲するが、大型ディプ例を2枚組み合わせたメーターパネルなど、中身は最新型
ホールド性の高いバケットシート装備
フロントサスペンションをダブるウィッシュボーン式とすることで乗り心地や操縦性が大きく向上
オフロードでの走破性も高められた
最新の運転支援装置も採用されている
ボディサイズが大きくなったため車内空間も拡大した
初代そのままともいえるボクシーで無骨なエクステリアが最大の特徴
ボディサイズは現行型に比べて全長が53mm長く、全幅は121mm広くなった
インストルメントパネルの造形も先代を踏襲するが、大型ディプ例を2枚組み合わせたメーターパネルなど、中身は最新型
ホールド性の高いバケットシート装備
フロントサスペンションをダブるウィッシュボーン式とすることで乗り心地や操縦性が大きく向上
オフロードでの走破性も高められた
最新の運転支援装置も採用されている
ボディサイズが大きくなったため車内空間も拡大した