2018.04.11
自動車ジャーナリストが選ぶ、美しいクルマ【3】
最高に美しいクルマは、この世に一台のマッハ号のようなデザイン
業界屈指のスーパーカー通として知られる西川淳氏。最も美しいクルマとしてリコメンドしてくれたのも、この世にたった1台しか存在しないスペシャルなモデルだ。
- CREDIT :
文/西川淳 ©FCA
生産台数、わずかに18台。そのうちの10台近くは実際にこの目で見たことがある。日本でも2台、見た。奇才フランコ・スカリオーネの手になるスタイリングは、美しさと獰猛さ、つまりは静と動という背反する二律の同時表現であり、自動車そのものの本質的な魅力を体現していると言えそうだ。
当時のアルファロメオは、まだ国営企業だったせいか、たいへんに大きな政治力をもっていた。ほとんどレーシングカーというべきティーポ33をベースにしたコンセプトカーの習作を、イタリアの著名なカロッツェリアのスタイリストたちに依頼し、そのアイデアをモーターショーで競わせる、なんていうお大尽な企画をばんばん打っていた。
「ムゼオ・アルファロメオ」に行けば実車を間近に見ることができる
見飽きるということがない。ぐるぐると、何周もクルマのまわりを練り歩く。運転できるのだろうか? と心配になってしまうほど、車高が低い。それがいい。
美しき文化へと昇華したモデルたち
たとえ運転できなくても、感じることのできる魅力がクルマにはあるものだ。否、だからこそ、ある種類のクルマたちは単なる移動のツールではなくなり、ミュージアムに並んで、ボクたちの目を楽しませてくれている。
20世紀の人類が生んだ最高の文明であるクルマ。そのうちの何モデルかは、美しき文化へと昇華したのだった。
■ この記事が気になった方は、こちらもどうぞ。
『自動車ジャーナリストが選ぶ、美しいクルマ』
ピニンファリーナとイタルデザイン。イタリアを代表する二つのカロッツェリアの作品が好きだと語る大谷達也氏が、美しいクルマに選んだのは、ピニンファリーナがデザインを手がけたモデルの中で、唯一所有したことがあるプジョー306だった。
【2】あらゆる無駄を削ぎ落とした、いまもっともスタイリッシュでクールな1台
昔のクルマを美しいと感じるのはノスタルジーに過ぎないと語る金子浩久氏が美しいクルマとして選んだのは、スタイリッシュなSUVの代表ともいえるレンジローバー「ヴェラール」。