旧車ならではの魅力を引き出すために心がけていること
「そのクルマやオーナーさんにとって、いちばん素敵なところを撮りたいですから、とにかく色々な視線を考えること。上がったり下がったり、左右から覗き直したり」
具体的に、カッコよく見える視点とは?
「今は雑誌の屋外ロケでもストロボが案外使われることが多いようですが、自分自身が元々スタジオマンだったせいか、ただ光を当てただけとか、影の部分を起こしただけという感じの点光源は、暴力的で好きではありません。
もちろん、硬めの光で撮る表現はありますし、その手法そのものを否定するわけではありませんが。でも、僕はできるだけ面光源に近づけることで、ヒストリックカー独特の丸いボディだからこそ現れるグラデーションや映り込みを大切にしています。
ただその一方で、凝り過ぎたライティングの写真は、飽きるのも早いんですね。そこは旧いクルマと一緒で、眺めて飽きの来ない自然なライティングを意識しつつ、かつワンパターンに陥らないことを目指しています」
ラテン系デザインから来る、南国の空気感を演出
あえて画面をグリーンで統一しました
フロントスクリーンのハイライトと木のラインを活かしました
ラリー仕様風のオースチンA35を春先の半逆光の春の光で優しく
クルマを表現するために小道具に語らせました
当時のレースシーンを現在に再現してみました
自然に見える光をストロボ3灯で作りました
街灯にストロボ光を被せて色調整をしています
貴重な当時のタイヤのトレッドをポイントに
バウンスで光を集める場所を変えてます
凝った造形を引き立てるためのライティング
ボディラインを強調するためのグラデーション
● 奥村純一
「ティーポ」や「オクタン・ジャパン」といった専門誌で作品を発表するカメラマンである一方、シトロエン「SM」など不動車を含め10数台を所有するコレクターでもある。日本中のイベントやクラブ、ガレージを取材し、最近は季刊誌「ヴィンテージ・ホイールズ」の責任編集も務める。