午後に行われたノックダウン方式の予選では黒澤選手がQ1に出走。走行を開始して3周目に1分57秒570、4周目に1分58秒253をマークしたところで他チームの1台がコースアウトしてクラッシュ。その車両を回収するために赤旗が提示されてセッションは一時中断とされた。およそ10分間の中断の後、Q1は残り6分間で再開されたが、黒澤選手はあえてコースインしなかった。タイヤの消耗を防げるうえ、これ以上、記録を更新するのは難しいとの判断からだった。案の定、セッションが再開されてからもLEONチームの記録を上回るチームはなく、14台が通過できるQ1を11番手で突破。続いて行われたQ2では蒲生尚弥選手が1分56秒643の好タイムをマーク。翌日の決勝レースに6番グリッドから挑むことが決まった。
クラスの1台がコースアウトしたため、これを回収するためにセーフティカーが出動。全車、ゆっくりしたペースで周回を重ねることになる。
と、ここでレースが動いた。ペースが遅いセーフティカーの出動中にピットストップを行えばロスタイムを最小限に抑えられ、レースを有利に展開できる。もっとも、スーパーGTではレース周回数の1/3を越えないとルールで決められたピットストップを消化したとは見なされない。その1/3の周回数を間もなく迎えるため、チームによってこのタイミングでピットストップを行うか、当初の予定どおりレースの折り返し付近でピットストップを行うかで判断が分かれた。
結果的にセーフティカーランが終わったのは1/3を迎える直前だったが、この頃から徐々にピットストップを行うチームが現れる。LEONチームもやや早めの18周目にピットストップ。タイヤ交換をフロントの2本にとどめて作業時間を短縮するとともに、給油、蒲生選手へのドライバー交代を済ませてコースに復帰した。この影響で一時20番手以降までポジションを落としたLEON号は、上位陣がピットストップを行うたびに順位を上げ、33周目には元の8番手まで挽回。終盤戦に向けて、蒲生選手の追い上げに期待がかかった。
ところで、GT300クラスのトップを走るチームはタイヤを1本も交換しないタイヤ無交換作戦でピットストップ時間を短縮し、一時的にポジションを上げていたが、タイヤの摩耗が進むに連れてペースダウン。結果的に8番手のLEON号までがひとつのかたまりとなって走行する緊迫した状態となる。その後もトップを守り続けたこのチームが、後方からのプレッシャーに敗れて36周目に首位から陥落すると、まるでドミノ倒しのように次々と順位が入れ替わり、LEON号もレース終盤の48周目にこの車両をパス。7位となってチェッカードフラッグを受けた。
結果的にスターティンググリッドからひとつ順位を落としてのフィニッシュとなったが、ドライバー、メカニックともにひとつのミスもなくレースを戦い終えることができた。しかも今回も4ポイントを追加することに成功。こうした地道のポイントの積み重ねが、シリーズ終盤の順位争いで大きな意味を持ってくるのだ。いっぽうで、チャンピオンを狙うには大量ポイントを獲得する必要もあるのは確か。そのためにも、1戦1戦をミスせず着実に戦い、勝利のチャンスをうかがうことが重要となる。
次の第4戦はシリーズ唯一の海外戦。6月30日〜7月1日に灼熱のタイ・ブリーラムで開催される。現在、シリーズ・ポイントで6位につけるLEON RACING。1位から8位までが僅か10ポイント差という大激戦を抜け出すチームは、果たしてーー。