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メルセデス・ベンツAMG GTが得意とするのはコーナリングやブレーキング。ところが、全長1.5kmの世界有数のロングストレートを誇る富士スピードウェイでは最高速度の伸びが勝負を大きく左右する。しかも、富士は標高が高いのでターボエンジンにとって有利となるにもかかわらず、LEONレーシングが走らせるAMG GTの心臓部はV8 6.2リッターの自然吸気エンジン。平地であれば目が覚めるようなパワーを生み出してくれるが、ルールによってエンジン吸気量が絞られることもあってライバルにリードされることが少なくない。正直、苦戦してもおかしくない状況だ。
さらにチームを苦しませるのが、スーパーGTでお馴染みのウェイトハンディ制である。これは、チャンピオンシップ・ポイントに応じた重さのハンディウェイトを積むことで上位チームの独走を防ぐ規則だが、LEONチームはここまで着実にポイントを勝ち取ってきたため、第5戦を迎えた段階でランキング3番手にあたる29ポイント・58kgもの“重り”を積んでこの1戦に臨むことになっていた。
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スタートドライバーに蒲生選手を起用したのも、LEONチームにとっては新たな挑戦といえた。しかし、蒲生選手はこの期待によく応え、ひとつポジションを上げた8番手でオープニングラップを終えると、前を走るライバルに食らいつくような走りで猛然と周回を重ねる。前述のとおり8周目にピットストップした際には一時的に順位は下がったものの、その後もミスのない走りでジワジワと挽回し、レース中盤には6番手前後のポジションを確実なものにするようになっていた。
しかし、これで満足するようなLEONチームではない。123周目にこの日最後となる4回目のピットストップを行うと、それまでの黒澤選手から蒲生選手に交代し、さらに追い上げに有利なソフト・タイヤを装着。この時、蒲生選手には「マキシマム・アタック!」の指示が飛んだという。この言葉に応えるかのように、蒲生選手はラストスパートを開始。ピットアウトした時点では直前のドライバーとの間に10秒近い差があったにもかかわらず、これを1周につきコンマ数秒ずつ削り取る正確な走りでライバルを追い詰めると、153周目の最終コーナーでオーバーテイクに成功。4番手に浮上した。
蒲生選手はその後も時にトップを上回るペースで周回。3番手のマシンに次第に迫ったが、9.8秒差まで追い上げたところでチェッカードフラッグが降られ、4位でレースを終えた。しかし、スタート時点から実に5つもポジションを上げてのフィニッシュは目覚ましい戦績といっていい。これはふたりのドライバー、エンジニア、そしてメカニックが総力を挙げて戦った結果といえるだろう。
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