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新Z4とスープラの関係は?
クルマ好きならなんとなく聞いたことがあるかもしれないが、いまBMWはトヨタと一部のクルマを共同して開発する協業体制をしいている。
第一弾がBMWはZ4、トヨタは次期スープラと言われてきたが、スープラが2019年初頭の発表というのに対して、半年も早くZ4は路上を走り出したのだ。
BMWは、とはいえ、Z4とスープラは姉妹車ではない、と言う。2013年からこの2台は並行して別々に開発が進められてきたというのだ。「トヨタの影響? もちろん、ぜんぜんありません」。BMWでZ4を担当したプロダクトマネージャー氏はそう言いきっている。
なにはともあれ、新型Z4にポルトガルで試乗したところ、本当に驚くほど、すばらしいクルマだった。Z4はこれまでスポーティクーペと思われてきたかもしれないが、新型はそこから大きく飛躍しているのだ。
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M40iのエンジンは250kW(340ps)の最高出力と500Nmの最大トルクを発生する。それが8段オートマチック変速機を介して後輪を駆動するのだ。オーソドクスな成り立ちだが、そこがまた、自動車好きにとっては魅力ともいえる。
基本に忠実なスポーツカーは、ほかのものでたとえると、質のいいウールで織ったスーツ、単一畑で育ったブドウで作ったワイン、大きなエンクロージャーを持つスピーカーシステムで聴くレコードなど、純粋なクオリティの魅力があるといっていいのではないか。
スタイリングはより大胆になっている。後輪の存在感が大きく、ボディ側面は複雑な面形状で筋肉が表現されているようにも見える。フロントはBMW初という縦型タイプのヘッドランプに、縦格子でなく「ナゲット」(塊)とBMWのデザイナーが表現するメッシュタイプが採用されたのも新しい。
先代より85ミリ延びた全長をはじめ、全体にひと回り大きくなったのは歩行者安全など、世の規準に適合させたためだろう。いっぽうで前後トレッドも拡大。こちらはハンドリングをよりよくするためだ。
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気になるその走行性能は?
軽快に速度をあげていけるばかりでない。スポーツカーはとりわけ「走る・曲がる・止まる」に秀でていなくてはいけないが、すべてにおいて高得点を献上したいのである。
ブレーキングはドライバーの意思にしっかり対応してくれる。見事なストッピングパワーを持つうえに、減速時の微妙な踏み加減に応じて、繊細なコントロールが可能なのだ。
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後輪が車体を押し出していくときに、長めのノーズを持った車体がすーっとコーナーの内側を向いていく。この感覚は、ミドシップのポルシェ718などともまた違う。そこまでのシャープさはないが、気持よさでは(おそらく速さでも)負けていない。Z4ならではのものだろう。
M40iには専用の電子制御ダンパーを組みこんだ「アダプティブMサスペンション」と、やはり後輪左右の駆動トルクを走行状況に応じて電子制御する「Mスポーツディファレンシャル」が備わる。
バリアブルレシオのステアリングシステムも走行状況に応じて操舵力と切れ角が変化する。これらが奏功して、スポーティな走行性能を実現しているのだろう。
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走ったコースはリスボン郊外の山岳路だ。適度な道幅も確保されており、大小の曲率を持つカーブが組み合わさったいいコースで、片側には海が見えるシャープな操縦感覚とともに、フルオープンの爽快さを持つZ4でのドライブにはよく合っていると思えた。
ソフトトップは時速50キロまでなら走行していても約10秒で開閉が出来る。クローズしている状態だと”ほんとうにソフトトップ?”と思えるほど静粛性が高いのに驚くが、やっぱりオープンエアドライブを、と思いたったら、少し速度を落としてスイッチ操作で幌を開けばよい。
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日本への導入は2019年になるだろう。導入されるのは今回乗った3リッター6気筒の「M40i」と、新開発の2リッター4気筒(190kW、400Nm)の「M30i」になるそうだ。
2リッターエンジンはべつのモデルで試したことがある。こちらもパワフルであり、ウルトラスムーズな回転マナーが印象的だった。どちらも日本で乗るのが楽しみになるモデルだ。
先代よりホイールベースは26ミリ短くなったいっぽうトレッドは拡大している
全長は4324ミリ、全幅は1864ミリ、全高は1304ミリと外寸は従来より大きい
時速50キロまでなら走行中も幌の開閉は自動で行え、ドライブは爽快だ
ヘッドレストレイント一体型のハイバックシートは専用で、ダッシュボードの意匠は8シリーズや新型3シリーズといった新世代のモデルと共通
シートの背後にはものを入れるスペースが確保され、ロールオーバーバー(写真は「スポーツライン」専用のアルミニウム仕上げ)の間には風の巻き込み防止用のスクリーンが取り付けられる
荷室は先代より50パーセント容量が拡大し281リッターとなった
速度計と回転計は間にインフォテイメントのモニターをはさむため独特なデザインになった
ふたつのかたまりが前後から組み合わさったような力強いボリュウム感をもつボディ
メッシュタイプのフロントグリルにタテにLEDが並んだヘッドライトが特徴的
先代よりホイールベースは26ミリ短くなったいっぽうトレッドは拡大している
全長は4324ミリ、全幅は1864ミリ、全高は1304ミリと外寸は従来より大きい
時速50キロまでなら走行中も幌の開閉は自動で行え、ドライブは爽快だ
ヘッドレストレイント一体型のハイバックシートは専用で、ダッシュボードの意匠は8シリーズや新型3シリーズといった新世代のモデルと共通
シートの背後にはものを入れるスペースが確保され、ロールオーバーバー(写真は「スポーツライン」専用のアルミニウム仕上げ)の間には風の巻き込み防止用のスクリーンが取り付けられる
荷室は先代より50パーセント容量が拡大し281リッターとなった
速度計と回転計は間にインフォテイメントのモニターをはさむため独特なデザインになった
ふたつのかたまりが前後から組み合わさったような力強いボリュウム感をもつボディ
メッシュタイプのフロントグリルにタテにLEDが並んだヘッドライトが特徴的
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。