2020.01.27
オヤジの魂を洗ってくれる銀座の小さな和食屋さん
外食の多いオヤジとしては、たまに美味しい家庭料理が食べたくなるんです。そんな時に行きたくなる店が銀座の「みな美」。旬の野菜や魚を中心に、とにかく魂が洗われるようなご馳走が食べられますよ。
- CREDIT :
文/森本 泉
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必ずしも職業(編集者)のせいだけではないかもしれませんが、ワタクシ、社会人になってウン十年、ほとんど晩メシを家で食べた記憶がありません(一応既婚、子あり)。ほぼ100%外食。もちろん毎日フレンチやら寿司やらステーキやらを食べてるわけじゃないのですが、それでも、いわゆる「外食」っぽいメニューが延々続いていく日々……。
さすがに最近は、歳のせいか「生きてる間に、あと何回メシ食えるのかな?」などと考えることも多くなり、そうすると、できるだけマズイものは食いたくない。そして何より食事の時間を自分のために楽しみたいと思うようになりました。
で、「あ~美味いもん、食いたい」とひとりつぶやく。この場合「美味いもん」のイメージは自分の家では食べ(られ)ない家庭料理なんですけど。
「みな美」は女将さんがひとりで切り盛りしている和食の店ですが、懐石のような改まった感じではなく、家庭料理に近いもの。でも、おふくろ感を醸し出すアットホームな作りではなく、あくまでお洒落で凛とした高級感漂う設えです。
実は元フレンチレストランのマダムという経歴をもつ女将さんが作る料理は、一皿ずつ運ばれてくるのを見ただけで、どれも間違いなく美味しいことがわかります。先付にお造りに焼き物、煮物などコースは料理が6品ぐらい。それにごはんと椀と水菓子。かなりのボリュームです。
料理は産地や作り手にもこだわった旬の食材をできるだけシンプルに美味しく味わえるように、どれも繊細な調理が施されています。
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女将さんは客同士の時間に無粋に割って入ることはありませんが、実はお話好き。こちらから振るといろいろな話をしてくれます。先日は今観たい映画の話で盛り上がりましたっけ。そういう時の女将さんはすごくチャーミングです。かと思うと、お行儀の悪いお客さんに対してはビシッと説教することも。
例えばワイワイ騒いで他の客に迷惑をかけるような行為には容赦しません。客は丸の内あたりの一流企業の社員も多いようですが、どこの会社だろうがお構いなし(笑)。
こういう店があると外食もいいもんだなぁと思うのです。女将さん、勝手に書いてゴメンなさいね。