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2023.10.07

顔にはどんな意味がある? SMBCグループによるアート展「Portraits – Obayashi Collection」が開催中

大林組会長/大林財団理事長の大林剛郎による「大林コレクション」のうち33点とSMBCコレクションの3点を展示する「Portraits – Obayashi Collection」が、東京・丸の内の三井住友銀行東館 アース・ガーデンで開催中です。会期は10月20日まで。私たちは人の顔から何を感じ取るのか、また、アーティストは人の顔をどのように表現してきたのか、を考えさせられる展示です。

CREDIT :

岸澤美希(LEON.JP)

▲ ドイツ出身の作家・ハンス=ペーター・フェルドマン(1941〜2023年)の「無題」(2点とも同題)。一見、上流階級の夫婦を描いた肖像画に思えるものの、二人にはピエロのような付け鼻が……。この鼻が付くだけで、厳かなはずだった肖像画が剽軽な印象へと変わります。ですが、彼らが実在する人物だったとしたら、厳かな人だったのでしょうか、剽軽な人だったのでしょうか。私たちは顔からついつい、どんな人かを勝手に想像してしまいますね。
▲ ドイツ出身の作家・ハンス=ペーター・フェルドマン(1941〜2023)の「無題」(2点とも同題)。一見、上流階級の夫妻を描いた肖像画に思えるものの、二人にはピエロのような付け鼻が……(笑)。この鼻が付くだけで、厳かなはずだった肖像画が剽軽な印象へと変わります。ですが、彼らが実在する人物だったとしたら、厳かな人だったのでしょうか、剽軽な人だったのでしょうか。私たちはつい、顔から人柄を勝手に想像してしまいますね。
こんにちは、LEON.JPの岸澤です。今回は、東京・丸の内の三井住友銀行東館 アース・ガーデンで開催中の「Portraits – Obayashi Collection」のご紹介です。

本展示は、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)によるアート事業のひとつ「SMBC ART HQ」の第2弾。Portraits=肖像画ということで、人物像を主題とした作品が36点が並びます。
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▲ こちらも前出の油彩と同様に、ハンス=ペーター・フェルドマンの作品「100年」。0歳から100歳までの101人の写真がズラリと並ぶこの作品は、被写体は違うものの、100年の人生に思いを馳せずにはいられません。ちなみに、作者の依頼で、この作品を展示する際には被写体への思いを込めて花を必ず飾って欲しいとのこと。そこもまたコンセプチュアルです。
▲ こちらも前出の油彩と同様に、ハンス=ペーター・フェルドマンの作品「100年」。0歳から100歳までの101人の写真がズラリと並ぶこの作品を前にすると、被写体はそれぞれ違うものの、100年の人生に思いを馳せずにはいられません。ちなみに、作者の依頼で、この作品を展示する際には被写体への思いを込めて花を必ず飾って欲しいとのこと。そこもまたコンセプチュアルです。
私たちは顔から様々な情報を読み取ります。第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの「40歳過ぎたら自分の顔に責任を持て」という有名な言葉があるように、顔にはその人の生き様や考え方やクセが刻まれていくもの。だから、初対面でも顔を見ただけで「やさしそう」とか「頑固そう」とか色々な印象を抱くのですね。

また“人の顔”は、昔から現代まで描かれる対象でもあり続けています。ただ、肖像画にも変遷があって、14〜5世紀のヨーロッパでは王侯貴族が画家に制作を依頼するものでしたが、時代が下ると一般の人々も描かれるようになっていきます。さらに現代では、“どう描くか”や“どんなコンセプト(概念やテーマ)が込められているか”が重視されるようになってきました。人の顔も、情報を伝える媒体だということです。

この「Portraits – Obayashi Collection」では、18世紀から現代にいたるまでの肖像画や人をモチーフにした写真が展示され、“人の顔”を描いたアートの多様性と、表現の可能性を感じることができるはずです。
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▲ アメリカ出身のアーティスト、クリスチャン・レックス・ヴァン・ミネン(1980〜)による「アイドル」(2021)。一見して、驚いたのはその確かな画力。ですが、不思議なモチーフが散りばめられた絵でもあります。リアルな質感の皮膚の上にはエスニックな男性のタトゥーが描かれ、置かれているのはカラフルなグミ。肌の色がグリーンなのも意味がありそうです。
▲ アメリカ出身のアーティスト、クリスチャン・レックス・ヴァン・ミネン(1980〜)による「アイドル」(2021)。一見して、驚いたのはその確かな画力。ですが、不思議なモチーフが散りばめられた絵でもあります。リアルな質感の皮膚の上にはエスニックな男性のタトゥーが描かれ、置かれているのはカラフルなグミ。肌の色がグリーンなのも意味がありそうです。
さて、現代における“人の顔”の意味を考えてみると、多様な価値観がありますね。ルッキズム(外見至上主義)は差別だという認識も定着してきました。

個人的には、現代では情報としての顔の価値は減退しつつあるように思います。オンラインのやり取りではアバターを使うことができ、歌手のAdoやVtuberのように顔を出さずに活躍する若者も増えています。顔はパーソナリティーを担うものではなくなりつつあるのかもしれません。

ただその一方で、可愛い/カッコいい俳優やモデルへの人気は健在ですし、彼らはCMなどで企業や商品のイメージを担う存在としても大きな役割を果たしていますね。そんな現代を生きる作家が描く“人の顔”にはまた、深い意味が込められているように感じられました。
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▲ 加藤 泉(1969〜)による「無題」(2020)。2枚のキャンバスがつながった本作は、上は女性の顔、下は赤ちゃんを抱く身体のように見えます。でもこの絵、実際に見ると、顔が荒野や崖のようにも見えてきます。そして、赤ちゃんを抱いているのに物悲しくも見えるのはなぜなのでしょう……。
▲ 加藤 泉(1969〜)による「無題」(2020)。2枚のキャンバスがつながった本作は、上は女性の顔、下は赤ちゃんを抱く身体のように見えます。でもこの絵、実際に見ると、顔が荒野や崖のようにも見えてきます。そして、赤ちゃんを抱いているのに物悲しくも見えるのはなぜなのでしょう……。
アートを鑑賞し慣れていない方は、「そもそもどう観れば良いの?」と心配に思われるかもしれません。ですが、まずは絵をよく観て、“自分にはこう見える”とか“◯◯が描かれていると感じる”ということから始めればOKです。誰かと一緒に、自分の感じたことを(小声でですが)話しながら鑑賞すると、見え方の違いも感じられてきっと楽しいはずですよ。

本展示は無料で見られますし、会場の三井住友銀行東館は、アマン東京やパレスホテル、フォーシーズンズなどからもすぐ。ぜひ、デートでも立ち寄ってみてくださいませ。

SMBC ART HQ Part2 「Portraits – Obayashi Collection」

会期/〜2023年10月20日
会場/三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン
住所/東京都千代田区丸の内1-3-2
開館時間/9:00〜18:00(土日祝13:00〜)
料金/無料

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