2020.12.04
美味しいと話題の「アイリッシュ ビーフ」。何がどう違うのか?
近年、日本への輸入が急速に増えているアイリッシュ ビーフ。赤身でも細やかなサシが入り柔らくて美味しいと肉好きの間でも評判です。人より牛が多い島国で優しく育てられた育ちのいいお肉、その美味しさの秘密とは?
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文/森本 泉(LEON.JP)
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皆さん、アイルランドと聞いて何を思い浮かべるでしょう? 音楽好きならU2、文学に詳しければジェイムズ・ジョイスかイェイツか。スポーツ好きなら昨年のラグビーW杯で日本が勝利した試合を思い出すかもしれません。しかし、一般的にはイギリスの隣の小さな島国、ぐらいの認識の方が多いのではないでしょうか。
かく言うワタクシも失礼ながら深く興味をもったことはなく、しいて言えばアイリッシュウイスキー。フルーティで飲みやすく、たまにバーで「ジェムソン」を頼んでみたり……。
そんなアイルランドですが、実は世界第8位の牛肉輸出大国でもあったんですね。昨年は牛肉65万トンを世界に輸出し(ちなみに同年の日本の和牛輸出量は0.4万トン)、そのほとんどがイギリスとEU向けで、現地では高品質な牛肉として人気が高いのだそうです。
そして日本のアイルランドからの食糧輸入量は近年目立って伸びているのですが、中でも牛肉は昨年から輸入量が急増しておりまして。そんな話題のアイリッシュ ビーフの魅力を広く知ってもらおうと、先日、アイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)が関係者向けに試食会を開催。美味いものなら何でも食べたい編集代表として伺ってきたのでご報告いたします。
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ボード・ビアの方の説明によると、アイルランドは北海道程度の広さの国内に650万頭の牛が飼養されていて、人口は500万人弱なので、文字通り人よりも牛が多いのだそう。そして「アイルランドは1日に四季がある」と言われ、ほぼ毎日雨が降るため、牧草が良く成長し、1年のうち10カ月は牧草が茂っているのだとか。
なので年間の3分の2は牛を放牧しており、飼養されている牛の餌も95%が牧草とのこと(こういう主に牧草で育つ牛をグラス・フェッドと言うそう)。しかも小規模家族経営の農家が多く、大自然をそのまま生かした広大な牧場で、牛を一か所に詰め込むことなく、負担をかけずゆったり育てているのだそうです。
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この日はアイルランドで50年以上の伝統を誇るドライエイジングビーフのブランド「ジョン・ストーン」のプレミアムビーフを使った料理を頂きました。ジョン・ストーンビーフの大きな特徴は、ドライエイジングで、1カ月程度ドライエイジングをするそう。
通常、牧草だけを食べたグラス・フェッドはしっかりした歯ごたえが特徴と言われていますが、こちらの牛肉は赤身でも細かなさしが入って肉質がきめ細やか。ドライエイジングでさらに肉は柔らかくなり、ステーキにしてもとても柔らかく、しかもあっさりした品質に仕上がるのだそう。
また、生の牧草を多く食べることで、健康と美容に良いと言われるオメガ3脂肪酸の配合が多くなることも特徴なのだとか。なんかいいことばかりじゃないですか(笑)。
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と、これからますますお目にかかるチャンスも多くなると思われるアイリッシュ ビーフですが、もしめぐり逢いの機会がありましたら、ぜひ一度ご賞味あれ。