さて、秋といえば飲兵衛にとっては「ひやおろし」の季節です。
「ひやおろし」とは、江戸の昔、冬にしぼられた新酒が劣化しないよう春先に火入れ(加熱殺菌)したうえで大桶に貯蔵し、ひと夏を越して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の加熱殺菌をしない「冷や」のまま、大桶から樽に「卸(おろ)して」出荷したことからこう呼ばれ、秋の酒として珍重されてきました。(「日本名門酒会」HPより)
9月10月11月にしか売られない、季節限定の日本酒。街の酒屋には旬の「ひやおろし」をうたった酒が並び始めました。そこでさっそく、最新の「ひやおろし」を手に入れるべく、清澄白河にある酒屋「かねゑ越前屋」さんを訪ねました。こちら知る人ぞ知る地酒とワインの専門店。希少酒を多数仕入れた圧倒的な品揃えと、酒に対する愛情で、遠方よりはるばる通う客も多いと評判のお店です。
実は右側に並んだ瓶はすべて空。見せ瓶とでもいいましょうか、こちらのお店で扱いのあるお酒を展示しているのです。そして売り物のお酒はすべて左の冷蔵庫に入っています。
それはもちろん、お酒を最良の状態でお客様に渡したいから。お酒は光を嫌います。ゆえに大抵のお酒は色のついた瓶に詰められているわけですが、それでもより完璧を期すために、特に繊細な扱いが必要と判断したお酒については、こちらのお店で1本1本新聞紙にくるんで保冷しているのです。そういった細かな気遣いが店主の日本酒に対する深い愛情を感じさせます。
1本目は「山廃純米吟醸 加賀鳶 冷やおろし原酒」(石川県 福光屋)
http://www.fukumitsuya.com/category/SAKE_CATEGORY/28811.html
2本目は「純米酒 酒一筋 秋あがり」(岡山県 利守酒造)
http://www.sakehitosuji.co.jp/goods/d/?c=15
3本目は「純米吟醸 小左衛門 ひやおろし」(岐阜県 中島醸造)
http://www.kozaemon.jp/kozaemon_list.php
「ひやおろし」は夏の間の熟成を経たお酒なので、舌触りは滑らかでも濃厚なとろりとした味わいが特徴。お店の方にうかがうと、その特徴を楽しむには、あまり冷やすよりも常温とかぬる燗ぐらいでいただいた方がより美味いですよとのこと。飲む30分ぐらい前に冷蔵庫から出して、瓶の肌に水滴がたまるぐらいのタイミングがベストだとか。
あわせる料理はやはり旬のものがオススメ。たとえばサンマを焼いて、そのワタをちびちび舐めながら、とか。松茸なんかも最高ですし、あとジビエも合いますね。今晩はちょっと贅沢しちゃいましょうか。
◆ かねゑ越前屋
住所/東京都江東区三好1-8-3
営業時間/10:00~20:00
定休日/日曜
URL/http://rise-information.com/web/echizen-ya/
(Facebook)
お問い合わせ/☎03-3641-2190