2018.04.11
女房は質に入れずに「初鰹」を食べに行ってきた
最近、飲み屋の貼り紙で目につくようになった「初鰹」の文字。その昔は大変高価に取引されていた旬の味覚を「土佐料理 祢保希(ねぼけ)」で味わってきました。
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文/森本 泉(LEON.JP)
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」は江戸時代の俳人、山口素堂の有名な句ですが、この句、「目には青葉」と字余りしておいて、(耳には)ほととぎす、(口には)初鰹、と耳と口を暗示しながら初夏の三福を謳っているのですね。「青葉」「ほととぎす」「初鰹」と、ほぼ夏の季語3つだけで出来ているという点でも珍しい句です。
こんにちは、LEON.JPのモリモトです。今回は、そんな旬を味わうべく、「土佐料理 祢保希(ねぼけ)」の日本橋店にお邪魔しました。
脂が乗った戻り鰹とは違う、身が締まったプリプリが魅力
ところで鰹について皆さんはどの程度ご存知でしょう?
鰹は太平洋に生息する回遊魚。春になるとエサの小魚を求めて黒潮に乗って北上し、九州~四国~本州~三陸沖辺りまでやってくる。この北上する鰹を水揚げしたのが「初鰹」です。
九州では2~4月、本州で4~6月、三陸沖で7~9月ぐらいが水揚げ時期だそうです。そして夏が過ぎて水温が下がってくると、今度は産卵のために逆のコースで南下する。これを水揚げしたのが「戻り鰹」というわけです。
味で言えば「戻り鰹」は脂がのって、マグロのトロにも負けない濃厚な味が楽しめる。対する「初鰹」は身がしまってさっぱりとした食感が魅力ということになります。
こちらの「鰹たたき」は伝統の一本釣りにこだわった新鮮な鰹を炭火焼したもので、肉厚で噛み応えのある一切れ。確かに濃厚な味ではないのですが、単にさっぱりしているのでもなく、とても香り高く、しかも繊細な味わいで噛むたびに笑顔になるような一品です。
その昔は初鰹1本に20万円を支払った男もいた
江戸時代に「初鰹」は「女房を質に入れてもでも食え」と言われ、高値で取引されたと言います。当時は「初物は縁起がいい」「初物を食べると長生きする」という信仰もあり、1812年に歌舞伎役者の中村歌右衛門が初鰹1本に3両(現在のお金で20万円ほど)を支払ったという逸話も残っています。そんな「粋」な習慣が今も続いているのが日本の面白いところですよね。
栄養価は高いのに脂分が少ないのでヘルシー=女子の味方
鰹は元々栄養価の高い魚で、貧血予防に効き(ビタミンB群や鉄分)、血をサラサラにし(DHAやEPA)、疲労軽減の効果(アンセリン)もあるのですが、更に初鰹にはカリウム、カルシウム、葉酸が豊富で、しかも戻りガツオに比べて脂肪量が圧倒的に少ないことで、ヘルシーでもあるのです。
美味しくて健康にもよい初鰹、女性に喜んでもらえること間違いなし。是非、彼女と一緒にご賞味くださいませ。
●祢保希(ねぼけ) 日本橋店
住所/東京都中央区日本橋室町2-4-3 日本橋室町野村ビル YUITO 3階
営業時間/月~金11:30~15:00(LO14:30)、17:00~22:30(LO21:30)、土日祝11:30~21:30(LO20:30)
定休日/年末年始、不定休あり
URL/www.katsuo.co.jp
予約・問い合わせ/☎03-3275-9640