2018.06.13
ナチスの強奪を逃れた65年熟成のコニャック原酒ってどんな味!?
超絶コニャック『カミュ キュヴェ3.140』発売を記念して行われた、長期熟成原酒を味わうセミナーに参加してきました。
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文/森本 泉(LEON.JP)
皆さん、コニャックはお好きですか? 私は飲めるすべてのアルコールを愛する者ですが、今回は希少なコニャック原酒を試飲させていただきましたのでご報告をば。
伺ったのは世界最高級のコニャックの造り手であるカミュ社のセミナー。今回はこちらのグローバル・ブランド・アンバサダーを務めるフレデリック・ドゥゾジエさんから、コニャックの魅力を作り出すブレンディングについてのお話を伺いつつ、希少原酒をテイスティング&ブレンディング体験させていただいたという次第です。
1本65万円のコニャックは希少な3種の長期熟成原酒をブレンド
その最新作『カミュ キュヴェ3.140』は厳選された希少な3種の長期熟成原酒をブレンドして造られたコニャックで、世界でわずか950本、日本では60本のみが販売されるという超レア酒。お値段は1本65万円(参考小売価格・税別)というのですから目の玉が飛び出ます!
3種類の原酒の熟成年数を合わせると、なんと140年! 最長は65年、そして39年、36年の3種の長期熟成原酒が使われているのです。実はこの3種の「3」と140年の「140」という数字が、そのまま名前となって「カミュ キュヴェ3.140」となっているのですね。
65年、39年、36年熟成させた3種の原酒を味わうと
まずはグランド・シャンパーニュ地区産の65年熟成原酒から。この地区の地質は石灰質で、酸が乗って特に長期熟成に向いているそう。ぶどうはフォル・ブランシュ100%。長期熟成の割に色は淡いです。でも香りをかいでみると。あ~なんという芳醇なかぐわしさ。口に含むとまろやかでバランスに優れた実にエレガントな味わいです。
ちなみにこちらの原酒が蒸留されたのは1945年のこと。まだ第二次世界大戦が完全に終結する前。1940年以降、フランスは長らくドイツの占領下にありました。各地で物品の強奪を繰り返していたナチスの目から逃れるため、当時の醸造家は、ブランデーの入った熟成用の木樽を家の壁と壁の間に隠し、上から石を積んで目隠しして保管していたのだとか。そんな時代の原酒が今もこのように美味しくいただけるなんて凄くないですか?
そして最後はボン・ボア地区の36年熟成原酒。ぶどう種はこちらもユニ・ブラン。この原酒がブレンドの中心的存在で、もっとも多い量でブレンドされているそう。力強くフルーティでナッツ系のフレーバーも感じられます。
マスター・ブレンダーの妙技に感嘆の『カミュ キュヴェ3.140』
私は何といっても最初の65年熟成原酒に惹かれていたので、こちらを「4」、39年熟成酒を「2」、本来の中心的原酒である36年熟成酒は「1」だけの割合でブレンドしてみました。
ン~。非常に華やかな香りが鼻をくすぐります。なんともエレガント! ひと口、口に含んでみると、もちろん美味しい……のですが、それ以上の評価はこの時点ではできません。
そして最後に、カミュ社のマスター・ブレンダーの手による今回発売の『カミュ キュヴェ3.140』をいただきます。
すると……あああああ。何、この素晴らしさは! 口の中に広がって鼻に抜けるプルーンや柑橘系のフルーツのような華やかでリッチな香り! オーク樽を感じさせる甘くて芳醇な味わい! バランスがいいのに、とても力強く、深み、厚みを感じさせる複雑な味わい。これは天にも昇る美味しさです。
ちなみにこちらのキュヴェ、デキャンタ(ボトル)がまた素晴らしい。フランス人彫刻家セルジュ・マンソーがデザインしたバカラ社製のクリスタルデキャンタはコニャック地方に伝わる火打石をモチーフにしたのだそう。造形の斬新さと美しさは非常に印象的で、まさにアート!
また、デキャンタは天然皮革張りの木製ギフトボックスに入っているのですが、こちらの革はベントレーの内装を手掛けるメーカーのモノだそう。
と、すべてに超絶なコニャック。どこかで運よく出会うことがあれば、ぜひお試しくださいませ。
● カミュ キュヴェ3.140
容量:700ml アルコール度数:43%
参考小売価格:65万円(税別)
お問い合わせ/アサヒビール(株)お客様相談室 ☎0120-011-121
※コニャックとは、フランス西部コニャック地方産のブランデーです。