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2018.10.24

ありがたや〜な出張編@イタリア・ソロメオ村 

ファッション界の哲学者ブルネロ クチネリの頭の中身とは?

それは9月初旬のこと。カシミアニットを筆頭にファッションの本質を追い求めるブランド、ブルネロ クチネリさんからお声がけをいただき、本社のあるイタリアはウンブリア州ペルージャ県ソロメオ村に伺ってきました。それは、2014年に発表された同村の修復事業「A Project for Beauty」の完成イベントに出席するためだったのですが、なんだかとても考えさせられたのですね。

CREDIT :

文/石井 洋(LEON編集長)

ブルネロ クチネリは、1985年に本社をソロメオ村に移転。本社機能を充実させながら、古城や教会の修復、劇場やライブラリーの創設など、村全体のデザインを推し進めてきました。今回の「A Project for Beauty」は、その第二期プロジェクトとも呼べるもので、それぞれ広大な「農業公園」「産業公園」「スポーツ・運動公園」が完成(そのあたりの詳細は10/25発売のLEON12月号に掲載されていますので、チェックを!)。記念式典、と相成ったわけです。
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世界各国のエディターやジャーナリストが詰めかけるなか、ソロメオ村の広大な自然を背に、CEOのブルネロ・クチネリ氏はこう語りました。「人が人でいられる“道徳的尊厳”と、倫理に基づいた正当な利潤を人々が手にする“経済的尊厳”という目的をここで達成できた」と。そしてそれは、ここソロメオ村だけでなく、イタリア全土、ヨーロッパ、あるいは世界中で試せるのではないか、とも。地方再生のロールモデルとして世界から注目されているこうした取り組みについて、実はワタクシ、その源をブルネロ・クチネリ氏の社長室に感じ取ったのですね。
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こちらは本社の心臓部とも言える建物。整然とした佇まいと温かみのある色合いが同居していますが、この2階部分のテラスのある場所が、社長室。早速中に入ってみましょう。
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工場全体もそうですが、常に外光が差し込む作り。当日はあいにくの曇り空でしたが、それでも白を基調とした空間ゆえ、自然な明るさに包まれています。奥の黒い椅子が、いわゆる社長の椅子。開放感に溢れたこうしたスペースでミーティングが行われるそうです。
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まさにブルネロ・クチネリ!な白、グレー、ブラウンの色彩。書類や書物の類も美しく整頓されています。椅子の座面や額縁など、ナチュラルな素材がこれまた温かみを感じさせてくれて。
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トランクいっぱいに詰め込まれたサッカーボールたち。奥に見えるのは社長室からひと続きとなっている工場。中庭の噴水やベンチも素敵です。今回完成した「スポーツ・運動公園」の中には、地元の青少年に解放されるサッカー場も併設されているのですが、氏がスポーツを通じて、精神の解放と教育の大切さを思い描いたことがわかるコーナーになっています。
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こちらは社長室のまた別のコーナー。壁に飾られているのは、ブルネロ・クチネリ氏が敬愛する歴史上の人物の写真です。ジョン・F・ケネディ、エイブラハム・リンカーン、ガンジー、キング牧師といった面々。中には日本の宮沢賢治も!

自分の信念に従って、大きなことを成した偉人たちーー。もしかしたらブルネロ・クチネリ氏は、時に彼らに自己を投影し、時に鼓舞され、大義に向かって突き進んでいるのかもしれません。

いわゆる“ブランド”の概念を超越し、新たな地平を創造するブルネロ・クチネリ氏。本社、とりわけ社長室を訪れた時、氏の頭の中を覗けたような、そんな気がしたのですね。

ブルネロ クチネリ

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