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2023.01.30

大人なら知っておきたい!? 永遠の名品、“スタジャン”のルーツと基本

軽快感を求める時代の空気が加速するとともに、どこかアメリカ〜ンな気分が再燃する今日この頃。なにやら無性にスタジャンが着たい! というアナタのために、今回はその生い立ちを振り返りつつ、知れば知るほどハマるスタジャンの魅力と深淵に迫っていきます。

CREDIT :

文/竹内虎之介 イラスト/Isaku Goto 編集/長谷川茂雄

そもそもスタジャンのルーツとは?

改めてスタジャンって良いな〜と思いませんか? アイテム自体の魅力はもちろん、何はともあれ背景を含む全体像が良いんですよね。まずスタジアムジャンパーという名前がなんとも魅力的です。

実はこれ、和製英語。発祥地たるアメリカではヴァーシティジャケットやアワードジャケットの名で親しまれています。

が、それだとネイティブスピーカーではない我々には、いまひとつピンときませんよね。その点、“スタジアムジャンパー”ですよ。

ベースボールやアメリカンフットボールのプレイヤーが、グラウンドで颯爽と纏っている情景が目に浮かぶじゃありませんか!
MLB黎明期のウォームアップアウターは、チーム名のレターを配したローゲージニットのショールカラーカーディガンが最もポピュラーなスタイル。これが後にスタジャンへと進化を遂げます。
▲ MLB黎明期のウォームアップアウターは、チーム名のレターを配したローゲージニットのショールカラーカーディガンが最もポピュラーなスタイル。これが後にスタジャンへと進化を遂げます。
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ニット製“ベースボールジャケット”が原型です

実際スタジャンのルーツはベースボールのウォームアップアウターと言われており、ざっくりとしたローゲージニットのカーディガンがその原型。

それが1930年代頃に現在のようなブルゾン型へと進化しました。なので、アメリカでは“ベースボールジャケット”という名称も一般的です。

ちなみにスタジャンという和製英語は、「ヴァンヂャケット」の創設者である石津謙介氏による命名。ほかにも“トレーナー”や“スイングトップ”など、日本ではアイテム名代わりに広く普及した数々の名称も石津氏発明の和製英語。

その絶妙のセンス、そして一世を風靡したブランド「VAN(ヴァン)」を牽引した威力たるや恐るべしです。
1930年前後には、身頃と袖が異素材コンビになったブルゾン型のウォームアップアウターが登場。これぞスタジャン誕生の瞬間です。かのベーブ・ルースが左胸にNYのレターを配したスタジャンを纏っている写真も残っています。
▲ 1930年前後には、身頃と袖が異素材コンビになったブルゾン型のウォームアップアウターが登場。これぞスタジャン誕生の瞬間です。かのベーブ・ルースが左胸にNYのレターを配したスタジャンを纏っている写真も残っています。

カレッジリーグでその魅力が一気に開花

スタジャンのファッションアイテム化を語るうえで、アイビーリーグを頂点とするカレッジスポーツの世界を避けて通ることはできません。

プロスポーツの現場におけるウォームアップアウターは、あくまでも防寒用のギアであり、基本的にはグラウンドの外に持ち出されることはありませんでした。

その点、カレッジへと飛び火したスタジャンは、スウェットやレタードカーディガン同様、母校のイニシャルを身に纏うことが許された代表選手のための制服的なアイテムとして定着。

それを彼らがキャンパス内で身に着けることで、一気に憧れのアイコンとなったのです。そこからバーシティ(代表チーム)ジャケットという呼び名が誕生しました。
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そしてファッションアイテムとして定着

さらに1970年代に入ると、この流儀が全米のカレッジに拡大。

ジャケットを飾るレターも学校のイニシャルだけでなく、チームマスコットやスローガン、さらには優勝年度などの成績をも加えることで、いわゆるフルデコレーションのスタジャンが完成したのです。
アイビーリーグに象徴されるアメリカのカレッジカルチャーこそ、スタジャンをアスレチックギアからファッションアイテムへと押し上げた立役者。誇らしげにスタジャンを着た代表チームのスタープレイヤーたちは、誰の目にも明らかなキャンパス内の憧れの的となりました。
▲ アイビーリーグに象徴されるアメリカのカレッジカルチャーこそ、スタジャンをアスレチックギアからファッションアイテムへと押し上げた立役者。誇らしげにスタジャンを着た代表チームのスタープレイヤーたちは、誰の目にも明らかなキャンパス内の憧れの的となりました。
これはもうギアというより一種の履歴書であり勲章。そして若者たちは、このアイテムを羨望の眼差しとともにアワード(賞)ジャケットと呼んだのです。

ひとつのアイテムがここまで光輝けば、ファッション街道をひた走ることはもはや誰にも止められません。

結果、1980年代には海を渡り、日本の大学や高校の小さなクラブでさえ、お揃いのフルデコスタジャンをオーダーするというスタイルが流行しました。あの熱狂、凄かったな〜。
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改めてスタジャンの王道デザインとは?

ここで、改めてスタジャンの基本デザインをおさらいしておきましょう。

スタジャンは襟、裾、袖口にリブニットを配したスナップボタンフロントのショート丈ブルゾンで、身頃にウールメルトン、袖にレザーを用いた異素材コンビというのが王道スタイル。

この素材使いが、他の短丈ブルゾンとは一線を画すスタジャンらしさの象徴です。

デコレーションは、左胸にあしらわれた大きなイニシャルのシニール製レターが主役。ここまでの要素が揃えば、まず誰の目にもそのブルゾンはスタジャンと映ります。
胸や袖をさまざまなパッチで飾った“フルデコレーション”のスタジャン。母校のイニシャルは左胸が定位置。その他このイラストの一着は、イニシャルの下にゼッケン、右袖に所属種目であるフットボールヘルメットのアイコン、左袖に優勝年度を記したアワードパッチが施されています。こうしたパッチを“読み解く”作業もスタジャンの楽しみ方のひとつ。
▲ 胸や袖をさまざまなパッチで飾った“フルデコレーション”のスタジャン。母校のイニシャルは左胸が定位置。その他このイラストの一着は、イニシャルの下にゼッケン(ナンバリング)、右袖に所属種目であるフットボールヘルメットのアイコン、左袖に優勝年度を記したアワードパッチが施されています。こうしたパッチを“読み解く”作業もスタジャンの楽しみ方のひとつ。
また、袖がレザーでないバージョンも存在しますが、その場合は身頃と袖の切り替え部分にレザーのトリミングが施されているのが一般的。

このコンビネーションもスタジャンのもうひとつの定番デザインです。さらにレザー袖のモデルにもセットインスリーブとラグランスリーブが存在します。

で、これが意外や異なる印象ゆえ、自分に似合うほうを知っておくとアイテム選びの一助となります。
リブニットの襟が王道スタイルのスタジャン。ですが、よく見ると同じリブにもシングルとダブルがあったり、なかにはシャツ襟のタイプがあったりと細かなディテールの違いが存在します。このへんを深掘りするのも面白いのです。
▲ リブニットの襟が王道スタイルのスタジャン。ですが、よく見ると同じリブにもシングルとダブルがあったり、なかにはシャツ襟のタイプがあったりと細かなディテールの違いが存在します。このへんを深掘りするのも面白いのです。
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大人には大人の作法があるのです

とはいえ、スタジャンは格好良いけど、若々しすぎて大人が着こなすのはちと難しい……とお感じの方もおられるでしょう。

実際のところ、派手色の身頃×白やアイボリーの袖といったハイコントラストのスタジャンは、着れば一発で若々しさを演出できる若さのアイコン。

それがスタジャンを着ることの最大の魅力ではありますが、不用意に大人が手を出すと無理のある若づくりに見える危険性も孕んでいます。

そこで提案したいのがダークトーンのスタジャンです。最たるカラーは、黒身頃×黒袖の一着。

これなら王道の異素材コンビであってもクールな印象ゆえ、我々大人も革ジャン感覚ですんなりと着こなせます。
ダークカラーの身頃に黒レザーの袖を備えた無地の一着こそ、大人が最もすんなりこなせるスタジャンの代表格。また、スタジャンならではのデコレーションが施された一着でも、黒×黒のオールブラックモデルならとってもクール。アイコニックな若々しさをあえて遊んでいる大人、と映るはずです。
▲ ダークカラーの身頃に黒レザーの袖を備えた無地の一着こそ、大人が最もすんなりこなせるスタジャンの代表格。また、スタジャンならではのデコレーションが施された一着でも、黒×黒のコンビネーションならとってもクール。アイコニックな若々しさをあえて遊んでいる大人、と映るはずです。
またオールブラックでなくとも、袖を黒レザーにするだけでグッと落ち着いた雰囲気となります。

そういったスタジャンを渋いオヤジが着ていたら、タダモノでない雰囲気が滲み出ること請け合いです。
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グリーンのメルトンボディに黒レザー袖のスタジャンなんて、むしろ不良っぽささえ漂う配色。
▲ グリーンのメルトンボディに黒レザー袖というデザインは、不良っぽさ漂う絶妙な配色の一例。

スタジャンマスターになるために……

最後に。「スタジャンはダークトーンが大人の選び」と言っておきながら恐縮ですが、筆者個人的にはハイコントラストのフルデコスタジャンを、貫禄たっぷりにこなすオヤジこそ最強と考えます。

原風景は高校生の頃、とある雑誌で見たアメリカオヤジの堂々たるスタジャン姿。
カレッジテイスト剥き出しのハイコントラストなフルデコスタジャンを大人が堂々と着こなす。これがスタジャンマスターの究極の姿。ここまで来ると、こなしのテクニックなんて関係なし。オヤジ自身の貫禄こそが格好良さのすべてです。
▲ カレッジテイスト剥き出しのハイコントラストなフルデコスタジャンを大人が堂々と着こなす。これがスタジャンマスターの究極の姿。ここまで来ると、こなしのテクニックなんて関係なし。オヤジ自身の貫禄こそが格好良さのすべてです。
その強烈な格好良さに、自分も40歳になったらフルデコの新品を着ようと誓ったものですが、40歳はおろか50歳を過ぎたいまでもまだまだ貫禄不足。あのオヤジさんの足元にも及びません。

というわけで、目標を「還暦でフルデコ」に変更した次第ですが、はたして数年後どうなりますやら……。

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