老舗メーカーのUチップが再注目されているワケ

今も快進撃を続けるスニーカーですが、その裏でじわじわとレザーシューズに注目が集まっているようです。着こなしが大きくカジュアル化した今、コーディネートにドレスアップの要素を加味するという意味でレザーシューズが見直されているというわけです。

とはいえ、どんなレザーシューズでもよいわけではなく、着こなしに取り入れやすいのが、程よくボリュームのある靴。なかでも甲部分に走るステッチがインパクトを放つUチップは、多くの業界人が注目する一足。丸みを帯びたトゥ回りに加え、厚手のソールをあしらったUチップ型は、カジュアル化している着こなしをドレスアップしてくれる一足として再び評価されているのです。

そんなUチップシューズといえば、老舗の革靴メーカーを中心に、受け継がれる名作が揃っています。今回はぽってり顔Uチップの盛り上がりを牽引する実力派ブランドから、人気モデルに絞ってご紹介しましょう。

言わずと知れた英国ドレスシューズの最高峰であるエドワード グリーン。こちらの「ドーヴァー」はカジュアルな外羽根Uチップモデルの名作と言われるもの。甲のステッチも一般的な合わせモカなどではなく、熟練の職人しかなしえない高度なスキンステッチにて縫い上げられています。

ただしラスト（木型）はほどほどにスマート。合わせるパンツはプリーツ入りのスラックスを中心とした、ほんのりワイドモデルが、ドーヴァーの品格にもマッチするのです。

米国ドレス靴ブランドの横綱として世界に君臨するオールデン。モデル「54038」は同社を代表するUチップ型の逸品です。スキンステッチによる摘みモカがアランセーターのごとき温かみを感じさせる外羽根タイプ。

今では貴重なコードバン･レザーを奢りつつ、オールデン独自のモディファイドラストを使用しているところもポイントです。ググッと土踏まずをえぐった木型により、着用時の安定感と同時にぽってり顔が際立つ仕上がりも見逃せません。

フレンチアイビーの代表格ブランドとして人気を博すジェイエム ウェストン。なかでもこの「ゴルフ」は別名”エディターズシューズ”と呼ばれ、同社のなかでも特に履きやすくタフなシューズの筆頭です。

ラバーソールの一種である厚手のリッジウェイソールを擁しており、ぽってりとした木型と相まって足下に存在感を加えてくれるところも特徴。フレンチらしい気品と機能性をバランス良く備えた一足です。

ジェイエム ウェストンと並んで昨今注目を浴びるフレンチシューズの雄。特に「シャンボール」はより昨今のぽってりトレンドにマッチする一足です。

と言うのも、ボリューム系ラストのみならず登山靴にも使用される堅牢なノルベジアンウエルトと呼ばれる底付けや、たっぷりオイルを含ませた不敵な艶を発するリスレザーの組み合わせが何とも今風の存在感を発するから。特に黒色モデルはスラックスはもちろんモードなパンツやジーンズにもマッチする万能型です。

フレンチの第三勢力としてジワジワ人気を得ている「エシュン」。1920年創立の老舗にして、かつてフランス代表スキーチームのブーツを手掛けた経歴を持つ実力派です。そんな名門のUチップは、ぽってりした木型に加え長めのスプリットトップ（つま先）を持つところ。

剛健かつ防水性にも優れたノルベジアンウエルト製法も相まって、エキゾチックな顔立ちが足下に個性を添える仕上がりです。アッパーやライナーにも上質なレザーを用い、タングにもクッションを仕込んでおり、足馴染み抜群の仕上がりが特徴です。