2023.08.05
寺島進が着る、“いなせ”なオトコのスタイル PART2
時代のエッジを凝縮させたモードスタイルには、大人の色気とエレガンス、そしてファッションの楽しみがつまっています。そんなモードのポテンシャルを、著名人が華麗に披露するこの連載。第6回目のゲストは、強面だけどその瞳の奥底に優しさがにじむ、いぶし銀俳優、寺島進さんです。
- CREDIT :
主演/寺島 進 写真/前田 晃 スタイリスト/久修一郎 ヘアメイク/Hanjee 文/安岡将文 編集/高橋大(LEON.JP) 協力/たん鬼、辻屋本店、中村屋本店
大人なモードの遊び方 第6回 主演 寺島 進
“いなせ”なオトコ PART02「揃い」
上下揃いの装いは着ている本人も、それを見る人も背筋が伸びる感覚を覚えますよね。
揃いとは少々異なりますが、上下続きの着物で装っている人を見ると、その中身まで芯の通った印象を受けるのも同じ。その装いからは、芯の通ったオトコというイメージを抱かせるんですよね。
俳優・寺島進さんを迎えて、三回に渡ってお送りする今回の「モードの遊び方」。
というわけで第二回のキーワードは「揃い」。
確固たる信念に従って生きる、寺島さんの佇まいをより引き立てるその“いなせ”な着こなしをご覧あれ!
Giorgio Armani
ちょいワークなセットアップを品よくこなす
しかし、薄手ながらハリのあるコットン生地、しかもホワイトにネイビーのストライプを走らせることで、一転して爽やかな印象に。パンツはドローストリング仕様のワンタック入り。ゆったりとしたシルエットゆえ、足元はスリッポンで抜け感を。
オトコらしくも、爽やかで上品。そんなスタイルは、肩の力が抜けて自然な所作が身についたオヤジにこそ似合うんです。
versace
装いの中にさりげなく偲ばせる心意気
しかしよく見れば、全体には同色ステッチによるジャカード織りで、バロッコ シルエット柄があしらわれています。さらに目を配れば、ゴールドの枠に白蝶貝をはめ込んだスナップボタンなど、さりげないけど、らしさが細部まで貫かれています。
それでも、コットンのナチュラルな風合い、ゆったりしたサイジング、そしてライトベージュカラーも相まって、大人のリラックス感を漂わせているのがポイント。
着物の羽織りが裏地にこだわるように、さりげないところにこだわる。
その心意気をアップデイトするとこうなるということなんです。
■ interview
伝統って、結局人と人とのつながりの中で受け継がれてゆくんだよね
今の自分に辿り着くまで、どんな経験をしてきたのでしょうか。そして、そこから得た考えとは、美学とは。
── 駆け出しの頃の俳優業界は、どんな感じでしたか。
「まぁ、とにかく厳しかったね。先輩も怖い人ばかりだった(笑)。でも、その中にも面倒見の良さがあって、カッコいい見栄の張り方を教わったよ」
── 若い頃のご自身を今振り返るとどんな感じでしたか?
「向こう見ず、無鉄砲ってところかな(笑)。北野監督に会いたいがために、アメリカにいるって聞いたらなんのツテもないのに単身渡米しちゃうぐらいだから。先のことを考えるより、とにかく行動するタイプだった。まぁ、周りには随分と迷惑もかけたろうな」
「人に愛想よくするのが、苦手だったな。でも結婚してから変わったよ。ある時、嫁さんに「街でファンの方に声をかけられたら、笑顔でありがとうって言いなさい! 俳優ってそんなに偉いのか?」って怒られちゃってね。今では、声をかけてもらうことも素直にうれしいと思えるようになった。家族から、沢山大切なことを教わったよ」
── 10代で神輿保存会に入会したそうですが、日本の伝統文化にどんな思いが?
「保存会に入ったことで、大人の流儀や作法を色々と教えてもらった。そうした伝統って、結局人と人とのつながりの中で受け継がれてゆくんだよね。それって、人間が生きていく上でも大切なこと。どんなことも、ご縁あってのことだから」
── プライベートでは、よく何をしますか?
「奥多摩とか自然が豊かなところに行って、川遊びとかしてる。自然から得られるエネルギーって大きいんだよ」
── お子さんとは、よく遊びますか?
「遊ぶよ。子どもってすごいよね。才能の塊。岡本太郎さんが言ってたけど、子どもが作るものが一番クリエイティブだって。ホントにそう思うよ」
「今、金魚とかメダカとかの世話をさせてるんだけど、命の尊さをちゃんとわかった大人になって欲しい。人の心の痛みを理解できないヤツは、何をやったってダメだよ。インターネットが当たり前になった今、どこから矢が飛んでくるかわからない。いじめだって、簡単には無くならないだろう。でも、どんな時代だろうと、人への尊敬心を持っていればきっとイイ人生になるよ」
● 寺島進
1963年、東京都生まれ。1986年に松田優作監督の「ア・ホーマンス」で映画デビュー。北野武監督の映画では数々の作品に出演し常連となる。
映画「おかえり」(篠崎誠監督)、「空の穴」(熊切和嘉監督)、「幸福の鐘」(SABU監督)などでは主演を務め海外でも高い評価を得ている。
ドラマでは「アンフェア」など話題作への出演が続き、2023年は大河ドラマ「どうする家康」で好演する。また自身が主演を務める「駐在刑事」は今も続く人気シリーズとなっている。
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