2020.03.24
大人なら知っておきたい。ジーンズの歴史【前編】〜なぜデニムはファッションになったのか?〜
ワークウエアとして誕生したデニムが、なぜ世界中で愛されるファッションアイテムになったのか。当時の写真とともにデニムの歴史を辿ります。前編はゴールドラッシュに沸く金鉱から、ジェームス・ディーンなどのムービースター、フラワームーブメントまでを追います。
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文/竹内 虎之介(シティライツ)
デニムは一夜にしてファッションになった!?
そんな生粋のワークウエアたるデニムがファッションアイテムとして広く普及するまでには、そこから約1世紀の時間を要します。しかし、100年の歳月をかけて徐々に日常生活に浸透していったわけではありません。デニムは、まるで自らが生まれた時代のダイナミズムを記憶しているかのごとく、いわば一夜にしてファッションと化したのです。
ウエスタンスタイルという予兆
とはいえ、デュードランチでの時間はあくまでも非日常。ファッション化したデニムもまだまだコスチュームの枠のなか。現在で言えば、野球やサッカーの観戦時に着るユニフォームのような存在だったといえるでしょう。デニムがいまのように日常的なファッションアイテムへと姿を変えるには、その後登場する“彼ら”の存在が不可欠でした。
怒れる“若者”の代弁者となったデニム
1953年、映画『乱暴者』公開。主演マーロン・ブランド。1955年、映画『理由なき反抗』公開。主演ジェームズ・ディーン。1956年、テレビ番組『CBS-TVトミー・ドーシー・ステージ・ショー』。出演エルビス・プレスリー。
白デニはアイビーリーガーの隠れ蓑
新たな世代のアイコンへ
そんななか1969年には、ニューヨーク州ウッドストックで「ウッドストック・ロックフェスティバル」が開催され、エネルギーの出力は最高潮に達します。彼らの叫びを乗せたロックのビートは全米から世界へと伝播。デニムもまた、新たな世代のユニフォームとして世界中の若者たちを虜にしていきました。デニムをはくことが最高にクール…そんな時代がやって来たのです。
そして時代は傷心の1970年代へ。若者の祭典は長くは続かず、ウッドストックから放たれた自由の叫びはかき消されます。しかし、すでにデニムを自らの皮膚と同化させた世代が、その後ライフスタイルのなかからデニムを手放すことはありませんでした。
あくまでムーブメントの象徴であったデニムは、その後最先端のお洒落なカジュアルウエアとして若者たちの間で広がっていくことになります。1970年代からの目を見張るデニムの躍進は続く後編にて。