2017.10.19
ほぼ誰も知らないメガネのウンチク【2】じつは超高度なワザだった"塗装"のハナシ
メガネの塗装には長い時間と職人のワザが必要だってご存知でしたか? メガネの基本的な塗装方法から、最新の塗装技術を使った1本まで幅広くご紹介します。
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写真/林 敏一郎(FOREST)、蜂谷哲実(hachiya studio) 文/瀧川修平
メガネはこうして"色"がつく
塗装前に糸くず1本でも付いていては美しい仕上がりは期待できません。ゆえにまずはアルカリ水など5つの槽に沈めて、洗浄、乾燥させます。美しい発色は下準備が命。

重機に固定し、ガンスプレーで粒子状の塗料を吹き付けます。簡単そうに見えますが、ペンキ量、速度などすべてが至難の業。「ここまで30年かかったよ」と職人さん。

吹き付けた塗料は熱などを加えることなく、約90日間自然乾燥させます。また、染色のあとには必ずコーティングを行うため、2と3の作業は最低2回繰り返すことになります。

希少な素材×職人技
トレミーフォーティエイトしか行わないであろう、バッファローホーンへの塗装が施された贅沢すぎる「KB-009」。色付いた上部と、極めて素に近いナチュラルカラーのアンダーリムを分かつグラデーションが美しい。


ここがスゴい!
トップからアンダーにかけて、自然に退色していくようなグラデーションを表現。鯖江の職人による塗装技術の賜物です。
"塗装"技術はこんなところにも
Technique 01 1/3ミラーレンズ
ブラジルの名ストライカー、ネイマールをイメージキャラクターに起用したモデル。中抜きされたテンプルにより横顔もひとクセあり。ネイマールのサイン入りケースが付属。


ここがスゴい!
レンズへのミラーコーティングも吹き付け作業で行う一種のペイント。こちらはツートーンのレンズにマスキングをしてミラーコートを施したもの。太陽光の眩しさも効果的にカットします。
Technique 02 七宝でコーティング
金属地に釉薬(ガラス質・鉱物質の粉末を水とフノリでペースト状にしたもの)をのせて焼成することで、ガラス質の輝きを生み出す七宝も塗装の1種。伝統的な技法ですが、この華奢なリムに施すのは技術の進歩の成せるワザ。華奢なテンプルは、軽くて高強度なβチタン製なので美しいだけでなく、掛け心地も上々です。


リムの質感にご注目
模様付きに見えるリムには七宝が使われているのです! メガネは顔の一部ともいえる存在ですからこだわってナンボです。

ここがスゴい!
リムになんと注射器で七宝を流し込み、繊細な表情を具現化。ここまで細やかな七宝は、なかなかお目にかかれません。
Technique 03 "塗る"のではなく"染める"
クリスタル粒子でナノレベルの層を作り、エレクトリックカラーに染色したメタルフレーム。美しさが別格です。


ここがスゴい!
ネジのない蝶番は摩耗しやすく、塗装がはがれがち。ですが、染色されたメタルフレームなら塗装がはがれる心配も皆無なのです。
アイヴァン 7285 トウキョウ 03-3409-7285
アイシー! ベルリン ジャパン 03-6804-2064
デリーゴジャパン 03-6661-9266
トレミーフォーティエイト 0120-484-804
「ロウ付け」は、付け心地も見た目も左右する重要な工程ですから、知って損ナシ! メガネを見る目が変わります。