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2021年5月22日、パリに新しい現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス/ピノー・コレクション」がオープンしました。1767年に建築された商品取引所(21世紀の初頭まで現役だった)を、世界の安藤忠雄さんが改修設計を担当。
ケリング会長兼CEOでフランスきっての大富豪として知られるフランソワ・ピノーさんが私蔵する現代美術館に生まれ変わったのです。いや〜太っ腹ですね。お金持ちたるや、こういう素敵なお金の使い方をしてほしいものです。
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さて、建物の前に到着。予約はしていませんでしたが、建物の横の券売コーナーで14ユーロを払ってスムーズに入ることができました。今後は観光客が一気に戻ってくると思うので、確実に見たい方は予約したほうがスムーズかと。
私はこの建物に思い入れがあります。今世紀初頭に商品取引所としての機能を終えた後、しばしばイベント会場として使われていて、ファッションショーの会場としても使われてきました。とくにポール・スミスさんはこの建物がお気に入りで、何度もショー会場に選んでいます。阿部千登勢さんのサカイも2016年春夏シーズンにこの会場を使用しました。幾度となく私はこの会場の門をくぐって、スペクタルなショーを拝見してきたのです。
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まるでコロナ禍の全世界の欲望を予言したかのような、人々がビーチ&パーティーを欲しているような絵です。あぁ、早くマスクなしでビーチに寝転がって、夜は爆音で踊りたいですよね。
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ここでふと気付いたのですが、先に説明したようにこの建物の改装は安藤忠雄さんが手がけています。なのに、あの冷たいかんじが皆無なんです。天井がガラスになっていて太陽の陽が差し込むということを差し引いても、私が知る氏の建築としては圧倒的に明るい。そのことにとても驚かされました。
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完璧な形状のものが姿を変えていく儚さや、即興の美を表現しているのでしょうか? ルネッサンス彫刻の一部も落下していたりしますが、それもそのまま展示しているのです。
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Picassoのロゴにも既視感があります。種明かしすると、この作品はシトロエン・ピカソのフェンダーそのもの。フランスのベルトラン・ラヴィエ(Bertrand Lavier)さんの作品ですが、ブルーのボーダーシャツを着て改めて見にいきたいほど気に入りました。
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美術は素人なのであまり大層なことは言えませんが、とにかく彼の作品はどれも見逃せないほど素晴らしかった。アフリカン・アメリカンフラッグや歪んだ自転車、民族楽器の上で眠る猫など、深く心に刻まれました。
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会場を出て、近所のジェラート屋さんでアイスをテイクアウェイし、レ・アール公園のベンチに座って初夏の味を堪能しました。この日(6月17日)の時点では飲食店の営業と外出は23時までに制限されていましたが、Covid-19の感染状況が想像以上に改善されてきていることから、6月20日からは一切の制限がなくなることになりました。パリは以前の日常が戻ってきています。夏休みは人の少ないパリでの観光も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
■ ブルス・ドゥ・コメルス 開幕展
会期/2021年5月22日〜12月31日
住所/2 Rue de Viarmes, 75001 Paris
電話番号/+33 1 55 04 60 60
HP/https://www.pinaultcollection.com/fr/boursedecommerce
開館時間/11:00〜19:00(金、第1土曜日は〜21:00)
休館日/火
料金/一般 14ユーロ、割引10ユーロ、第1土曜日の17:00~21:00は入場無料
● 増田海治郎
1972年埼玉県出身。神奈川大学卒業後、雑誌編集者、繊維業界紙などを経て、2013年にフリーランスのファッションジャーナリストとして独立。メンズとウィメンズの両方に精通しており、モード、クラシコ・イタリア、ストリート、アメカジ、古着までをもカバーする。