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2021.07.05

海治郎のパリコレ&ピッティ どす恋(こい)日記【5】

【パリコレ速報】雨の中、ショーが行われたエルメス

2022年春夏シーズンの「パリ・メンズ・ファッションウィーク」の“今”をファッションジャーナリストの増田海治郎さんが日記形式でお届け。5回目は雨のエルメスについてです。

CREDIT :

文/増田海治郎

▲ 写真/FILIPPO FIOR
6月9日、フランス政府は観光客の受け入れを表明し、特段の理由がなくてもフランスに入国できるようになりました。すぐさま思い立ってパリへ飛んだのは、ファッションジャーナリストの増田海治郎さん。2022年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッションウィークを中心に、フランスの今をリポートしていただきます。5回目はエルメス。

今回のファッションウイークは生憎の雨模様でした。期間中は晴れの予想はほぼなし。でも、こっちの天気予報って外れまくるんですよね(笑)。終日雨予報だったのに、意外と日が射す時間帯もあり、ジメジメした気分になることもありませんでした。

地下鉄7号線のレ・ゴブラン駅を出た時、雨は本降りになっていました。会場のモビリエ・ナショナルはゴブラン織の織物博物館で、パリのテキスタイルの歴史を紡ぐ場所です。華やかな雰囲気ではありませんが、エルメスはこの会場を何度も使っており、メゾンの雰囲気ととても合った場所だと思います。今回はこの建物の中庭を使用しました。

5分前に会場に着きました。数十人のフラッシュを浴びます。こんな東洋のメタボオヤジにもシャッターを押さなければならないフォトグラファーに同情しつつも、なんちゃってセレブな気分を味わいます。気持ちいいというよりこそばゆいかんじ。ところがインビテーションがバックの中から見つからず、会場の入り口でアタフタ。その間も容赦なくシャッターの雨は降り注ぎます(泣)。1ブロック前で傘をたたみ、招待状はジャケットの内ポケットに入れておくべきでした。まだまだ修行が足りないですね。
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▲ 写真/FILIPPOFIOR
エルメスのショーでは通常、始まる前にシャンパンが振る舞われます。この時間がとにかく“ザ・エルメス”な雰囲気で、招待された時はこの時間を本当に楽しみにしています。しかし今回の到着はギリギリ。皆が屋根のある場所から移動し、席に着き始めるタイミングで、残念ながらシャンパンタイムは楽しめませんでした。

招待客は100〜150人くらいで、いつもの1/3くらいでしょうか。日本人は自分を含めて3人のみ。会場には5枚の大型のスクリーンが配置されていて、ショーの様子は世界に生配信されます。演出を手掛けるのは、舞台演出家のシリル・テストさん。本降りの雨の中、ほぼオンタイムでショーは幕を開けました。

全体的な印象は、とにかく上品で軽やかだということです。シグネーチャーのレザーアイテムは、起毛したクロコダイルのシャツやジージャン型のブルゾン、色褪せたピンクベージュ色のメティスレザーの半袖シャツとショートパンツのセットアップ、ベロアのパーカやステンカラーコートなどで表現されています。

テーラードジャケットもビジネスライクなものは皆無。ジッパーポケットが多数ついたトラベルジャケットや、ベストと重ね着したようなダブルフロントのデザインジャケットは、今の時流を完璧に捉えていると言えるでしょう。シャツのヘムの片方をパンツインするスタイリングも、リラックス感に溢れていて素敵です。

オレンジが徐々にピンクに変化するカシミヤのグラデーションニットは、春から初夏の海沿いで着たら最高に映えそう。インナーのニットは90年代前半に流行したロールネックで、オヤジさんには感涙モノのディテールになっています。それに合わせるショートパンツは長めの丈のワークテイスト、ってギャップも最高です。
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そして、今シーズンもっとも話題を集めそうなのは、底がスケートボードになったビッグサイズの「ボリード」でしょう。見た瞬間に恋に落ちましたよ。これを欲しくないオヤジさんはきっといないと思います。翌日の展示会で詳しくチェックしましたが、底のボードはかなり本格的なもの。ショーに登場したXLサイズは、鬼カッコイイですが鬼オモいです。何も入れなくても腕が疲れるレベルですが、もうひとつ小さいサイズもあったので、日常使用したい場合はそちらをお勧めします。
これまで幾度もエルメスのショーを拝見してきましたが、ヴェロニク・ニシャニアンさんは年々ストリートのテイストを取り入れるのが上手になっています。上品で軽やかでありながらやんちゃ。やっぱりいつの時代もエルメスは“シュペール”で、オヤジさんの憧れであり続けているのです。

● 増田海治郎

1972年埼玉県出身。神奈川大学卒業後、雑誌編集者、繊維業界紙などを経て、2013年にフリーランスのファッションジャーナリストとして独立。メンズとウィメンズの両方に精通しており、モード、クラシコ・イタリア、ストリート、アメカジ、古着までをもカバーする。

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