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2021.07.16

敏腕スタイリストが指南。サンダルの大人な着こなし術【井嶋一雄編】

薄着の夏スタイルを支える重要アイテムであるシューズ。本誌等で活躍する敏腕スタイリストは、一体どんな一足を愛用しているのでしょう? そこでコーディネートとともに愛用の夏靴スタイルを見せていただきました。

CREDIT :

写真/大森 直(TABLEROCK) 文/長谷川 剛(TRS)

変化球ビルケンで足下に絶妙なヌケ感を

本誌をはじめ数々のメンズファッション誌に加え、著名ミュージシャンや俳優などのスタイリングを幅広く手掛ける井嶋一雄(カズ)さん。もうはや伝説のスタイリストのひとりですが、仕事上で見せる着せ付け以上に私服の着こなしもまた一層味わい深いという、非常に希有なクリエイターです。もちろん、足下を軸としたスタイリングも軽妙至極。「その手があったかー!」と思わず手を打つテクニックを、今回も見せていただきました。

この企画用としてカズさんが選んだ一足は、ビルケンシュトックの「ギゼ フリンジ」。いわゆるトング型の定番的な一足ですが、このモデルはメタルのフリンジがストラップにあしらわれているところに特徴があります。
▲ 「ビルケンはサンダルだけどサンダルじゃない」とカズさん。シューズの雰囲気を残したデザインゆえに、あれこれコーディネートする余地があるフットウエアだと評します。(本人私物)
「以前出掛けたキャンプの帰りに、フラッと立ち寄ったショップで偶然見つけました(笑)。ビルケンに関しては昔からボストンやロンドン、チューリッヒなど色々なモデルを試してきました。もちろん、それ以外の(ブランドの)サンダルも履きましたが、ビルケンシュトックは気兼ねなく履き倒せるところが持ち味。

サンダルでありながら、ソックスをカマせば秋冬でもイケるし、なんて言うかクラシック感を残しているので、重めのコーディネートにも耐えうる幅がある。そういう意味でドレッシーな装いにも問題なく合わせられます。とは言え結局サンダルだから限界もありますが、なかでもこのギゼ フリンジは、メタルのシャラッとしたパーツがポイント。色気というほどイヤらしくなく、ギラギラしすぎずヌケ感もある。とにかくすべてにおいて丁度イイんです(笑)」
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ウエスタンを効かせた洒脱なジャケットスタイル

▲ 非常にざっくばらんですが全体的にはモノトーン。色合いにおいてはシックですが、ウエスタンアイテムの導入により、軽妙な印象のジャケット&サンダルスタイルに仕上っています。
そんなカズさんがまず披露してくれたのがジャケットスタイル。絶妙なミックス具合に熟練の腕前を感じます。

「ラルフローレンの白ジャケットはリネン製。リネン自体は夏以外にも活用したい素材ですが、こと白ジャケとなると、夏が良く似合います。麻素材の持つシャリ感と合わせてパンツもアナトミカのリネンパンツ。その上下だけならばモノトーンスタイルですが、差し色というか差し柄というか、アクセントとしてウエスタンなアイテムを取り入れるのが僕の今の気分。そのウエスタンシャツとテンションを揃えるため、ループタイを取り入れており、同時にまとまり感と個性の演出も意識しました」
▲ ループタイは、なんとディースクエアードのもの。そしてウエスタンシャツはビンテージ。この高低差がたまりません!
ループタイを取り入れたのは、足下のビルケンシュトックとのコーディネートも視野に入れたものとカズさんは付け加えます。

「メタルパーツを備えたレザーアクセということで、ギゼ フリンジもループタイも非常にスペックが似ています。テイストも揃っているので、さり気なくまとまり感が演出できるように感じます」
▲ 歩くたびに揺れるメタルパーツが目を引くビルケンシュトックの「ギゼ フリンジ」。“そんなに高くなく、買いやすいところもポイント(カズさん)”
こういったコーディネートに革靴だと少し野暮ったくトゥーマッチな印象になってしまう場合も。しかしフリンジ付きビルケンのお陰で、非常に軽妙かつヌケ感あるジャケットスタイルに仕上っています。

そしてもうひとつ見せていただいたのが、ひとクセありのショーツスタイル。ショーツにサンダルは最早定番のコンビネーションです。しかし大人の装いとして軽く見えすぎてしまうのは少々問題あり。適度に重みを設けて存在感を演出することが大事とカズさんは指摘します。
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シルクの花柄シャツで見せる大人のショーツスタイル

▲ グッチのシルクシャツとパタゴニアのアウトドアパンツ。このアクロバティックな合わせこそカズさんの真骨頂です。
「この花柄シャツはフリーダ(ジャンニーニ)時代のグッチの一枚。シルク製かつプルオーバーがショーツスタイルを軽く見せず、まとまり感を出すポイントです。ショーツはパタゴニア。シックな要素を加えてバランスをとる意味で、ビルケンと同じくブラックで締めてみました。

問題となるのはキャップです。ストリート・スポーツな要素を取り入れたいと思い、赤色ペイズリー柄のニューエラを選んでいます。こういったショーツスタイルには何かとアクセサリーを付けがちです。しかし、このギゼ フリンジは最初からアクセ要素を備えているので特に加える必要もなし。手軽に済むところもこの一足ならではでしょう(笑)」
▲ ちょっと衿を立てて表情をつけてみたり。夏の薄着スタイルは、そういった小技も重要な見せ方のひとつ。
▲ グッチのシルクシャツは裾が切りっぱなし。足下のメタルフリンジとさり気なくリンクしています。
サッと選んだだけのような軽い着こなしにダマされそうですが、これだけの個性派を取り入れつつ自然体に見せるのは、やはり長年の経験があればこそ。コーディネートは一日にして成らずのテクニックです。皆さんもぜひ試行錯誤を繰り返して、オリジナルの夏靴スタイルを構築してみてください!

● 井嶋一雄 (カズ)

スタイリスト事務所「バランス」所属。メンズファッションを中心に雑誌や広告、テレビやCMなどでスタイリングを担当。自身のルーツともなる音楽や様々なカルチャーをベースに作りだされるコーディネートは、大胆かつ繊細。

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