その第5回は今年1月に新装リニューアルオープンとなった「東京會舘」。え、まさかご存知ない? 皇居のお堀端で1922年に創業し、戦中はGHQに接収されていた由緒あるレストラン・バンケット・ウエディングの複合施設。2022年に開業100周年を迎える前に、約4年かけて全面リニューアル。その間は休業していたので「うわ、その名前聞くの久しぶり!」な方や、「いま初めて聞いたけど?」という方もいらっしゃることでしょう。
「東京會舘は、去年アメリカから返してもらって、昔のように――と言っても、本当は昔のようなわけにはいかないんですが――魚や牡蠣の料理を看板に、開店しました。帝国ホテル系統ですから、大体料理も、ホテルの式です。魚は流石に、よく揃えてあります。僕は魚食いじゃないんで、東京會舘のプルニエへ行くと(略)フィレ・ソーレのボン・ファムを、終戦後初めてここで食ったときは、ああ美味い!と思いました」
(「ロッパ食談」河出文庫)
1.「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」
2.東京會舘ローストビーフ
3.東京會舘カレー
4.ダブルコンソメ
5.ダブルコンソメを使った「ブルショット」
6.東京會舘風ジンフィズ
7.マロンシャンテリー
東京會舘の伝統の味を7つご紹介しました。すべて数十年前に当時の最高の人材と叡智を結集して開発され、現在に受け継がれてきたメニューばかりです。でも少しも古びた味はせず、どれも新鮮な驚きと感動をもたらすものばかり。
1953年に古川ロッパ氏が「美味い!」といったひと皿を、2019年の私が「おいしい!」という。もちろん材料や調理法はより洗練されているけれど、そのひと皿に込められた思いや時間の価値は不変なのでしょう。まさに温故知新の“ニュークラシックス”を味わいにおでかけください。
■ 東京會舘
住所/東京都千代田区丸の内3-2-1
予約・問い合わせ/03-3215‐2111
URL/www.kaikan.co.jp