2019.03.15
京都の舞妓はんがおちょぼ口で食べる「オムライス」
京都の花街が育ててきた洋食カルチャーには、東京とはまた違う趣が。京都在住の作家、柏井壽さんが案内します。
- CREDIT :
文/柏井 壽 写真/高嶋克郎
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その一番の理由は、都人の新しモノ好き。一見、保守的にみえる京都人は、いち早く新しいものを取り入れることに熱心だ。それは食の分野でも例外ではなく、文明開化と時を同じくして、京都には次々と洋食屋が店を開いたのである。
1863年、長崎において『良林亭』と名付けた日本初の西洋料理店を開いた草野丈吉はその後、1876年には京都に、洋食レストランを備えた西洋式のホテルをオープンさせる。場所は祇園界隈。となれば、当然のごとく花街遊びを愉しむ旦那衆の人気を集め、やがてそれは〈花街洋食〉と呼ばれるようになった。
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◆ 洋食の店 みしな
住所/京都府京都市東山区高台寺二年坂畔
予約・問い合わせ/075-551-5561
営業時間/12:00~14:30(L.O.)、17:00~19:30(L.O.)
定休/水曜日と第1・3木曜日
*夜のみ要予約
『グリル富久屋』は、1907年創業というから、百年を超える歴史を誇る老舗洋食店だが、ビフカツ定食やタマゴサンドなど手軽なメニューも揃っている。
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そんな京都の洋食の核となるのは牛肉である。とんかつよりビフカツが一般的なのも、古くから京都に牛肉文化が深く浸透しているからこそだ。
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◆ グリル富久屋
住所/京都府京都市東山区宮川筋5-341
問い合わせ/075-561-2980
営業時間/12:00~21:00
定休/木曜、第3水曜日
店の名物はもちろん〈ビフテキ〉。レモンスライスとバターを載せただけのシンプルなステーキは文明開化の味がする。ハンバーグやカニクリームコロッケなどの定番洋食の人気も高く、長く京都人に愛され続けている洋食のお手本を示す店。京都の店は客が育てるという典型が京の洋食なのである。
◆ 柏井 壽(かしわいひさし)
1952年京都市生まれ。作家。
柏木圭一郎名義で京都を舞台にしたミステリーを多数発表する傍ら、本名柏井壽名義で日本各地の旅行記やエッセイなどを執筆。『おひとり京都の愉しみ』『極みの京都』(ともに光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)『おひとり京都の春めぐり』(光文社知恵の森文庫)など、京都の魅力を伝える著書多数。小説『鴨川食堂』(小学館文庫)はテレビドラマ化も。