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2022.02.18

【連載】REIKOのNY通信

サーモンの次は“Hamachi”がキテる!? ニューヨークのトップシェフがハマチ料理をモダンに昇華!

コロナ禍で刻々と変化するアメリカの現状をニューヨーク在住の元LEON編集部員、菅 礼子がお届けする本シリーズ。今回は、最近、日本産のハマチがニューヨークとロサンゼルスのレストランシーンを賑わせているというお話です。

CREDIT :

取材・文/菅 礼子

皆さんもご承知の通り、ニューヨークの冬は体の芯まで染み入る寒さ……。さらに今年は例年よりも大規模な寒波に見舞われています。そんな厳しい冬を楽しく過ごす方法のひとつが屋内レストランで過ごす思い思いの時間なのですが、そこでキャッチしたのが日本のとある食材がブームになりつつあるというお話。

それはなんと日本産のハマチ! ニューヨークのみならずロサンゼルスのレストランシーンも賑わせているとのことで、今回はその真相に迫ります。

日本産ハマチがニューヨーカーの間でじわじわ人気?

Japan’s Unique Oceanic Delight “Hamachi”
パンデミックの起こった2020年3月以降は街もゴーストタウン化し、多くのレストランが閉店に追い込まれました。「お気に入りの名店が閉店しちゃった」という事態に遭遇した人も多く、多くのニューヨーカーが涙を飲みました。

ニューヨークベースで食の情報を発信しているメディア「Eater New York」の報告によると、パンデミックから2年経った今でも新型コロナウイルスの影響によるレストランの閉店は続いているといい、 具体的な数は算出が困難なものの、約1000店にも及ぶとされています。多くの店が閉店する一方、with コロナでも徐々に経済活動が活発化しているニューヨークでは、新規のレストランが続々オープン。つくづくこの街の立ち直ろうとするパワーには感心させられます。

新たなレストランが続々誕生する中で、ニューヨークのフードシーンにも新たなトレンドが起こっています。最近気になっているのが我々日本人にも馴染み深い「ハマチ」(Yellow TailやHamachiなんて呼ばれています)をニューヨークの一流レストランでよく見かけるようになったことです。
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Japan’s Unique Oceanic Delight “Hamachi”
▲ 今までは和食レストランで提供されることが多かったハマチ料理。
今までニューヨークでよく見かけるお刺身や生での魚料理と言えばサーモンやマグロが多く、なかでもサーモンは市民権を得ているように感じたところに、ハマチが台頭してきているのです。

最近では日本食以外でもハマチ料理を見かける機会が多くなり、魚がいつでも恋しい筆者としては、馴染みのあるハマチが食べられることにウェルカムなのです。ハマチはカルパッチョやイタリア語で“生”を意味するクルドとして提供されていることも多いようです。そこにはハバネロや雲丹、キャビア、ココナッツソースなどがトッピングされていたりもするのですが、和食ではないため、多くの人々に親しまれています。

人気の背景には人種の坩堝であるニューヨークは他の都市に比べ、新しいものを取り入れるのに抵抗が少ないこと、さらにはハマチの持つオメガ3の上質な脂が、健康志向が高くグルメなニューヨーカーを虜にしているよう。サーモンやマグロとはひと味違ったハマチならではの淡白な味わいも新鮮に感じているのだとか。

財務省貿易統計によると、実際、アメリカはハマチの主要輸出先国でパンデミック前の2019年までの5年で日本からアメリカへの輸出量は右肩上がりに推移し、2019年には159億円(2015年は116億円)に達していたとのこと。

NY&LAのミシュランレストランでハマチの特別メニューが味わえる♡

前述したように、ハマチがじわじわキテいるのですが、このたび「Japan’s Unique Oceanic Delight “Hamachi”」と題した、ニューヨークとロサンゼルスのミシュラン星つきレストランなど、トップレベルのレストランのシェフ10名とコラボして、ハマチの特別メニューが味わえるキャンペーンがあると聞き付け、早速ハマチメニューを食べに行ってきました。
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今回のキャンペーンでは日本産ハマチを使い、ニューヨークとロサンゼルスの計10レストランのシェフが特別メニューを考案するというもの。驚いたのはコラボレストランの豪華さです。

ニューヨークはミシュラン2つ星レストランで女性シェフのエマ・ベントソンさんの「Aquavit」をはじめ、アップカミングな注目の店舗がズラリ。料理ジャンルもアメリカンやスカンジナビア、ペルビアン、和食などなど。コラボしたスターシェフもスウェーデン人やメキシコ人、日本人、アメリカ人シェフもポルトガルやペルーにバックグラウンドを持つなど、国際色豊か! これぞニューヨークの醍醐味です。

ロサンゼルスも全米トップレベルと言われるミシュラン2つ星レストランの「Providence」をはじめ、3レストランとコラボレーションをしています。
Providence Los Angeles
▲ ロサンゼルスにある「Providence」の一品。花のように盛り付けられた料理にはワサビや柚子など、日本の調味料を効かせて。
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錚々たるコラボレストランは記念日やデート、もちろんビジネスディナーにも申し分ないラインナップ。店の選びだけでもセンスの良さをアピールできるだけでなく、そこで振る舞われるハマチ料理は今まで食べたことのないユニーク且つ洗練されたものばかりで日本産ハマチの新たな魅力に気づくはずです。

実際に食べてみたら、今まで想像していたハマチ料理とは別世界!

今回伺ったのは前述した「Aquavit」と日系ペルビアンシェフのエリック・ラミレスさんがシェフを務めるミシュラン1つ星レストラン「Llama San」(店名、ラマさんの“さん”は日本人の◯◯さん、より)です。

セントラルパークにほど近い「Aquavit」はシックな店内にガラス張りになったオープンキッチンがまるで舞台のようで、シェフたちが忙しく動き回る様子を見ながら食事ができるハイクラスなレストラン。「Llama San」はモダンで感度の高い若い層が集うローワーイーストエリアにあり、それぞれ異なる雰囲気のレストランでした。

「Aquavit」ではリンゴのブリュノワーズ(みじん切り)にビネガーソースで味付けをしたハマチクルドをいただきました。花を形取ったラディッシュにディルとウォータークラストで飾り付けた上品な前菜です。脂の乗ったハマチにビネガーの酸味とリンゴの甘味が口の中で広がります。今まで想像していたハマチ料理とは別世界!

シェフのエマさんに話を伺うことができました。

「今回初めてハマチを使ったメニューを作りました。ハマチの脂はバターのように濃厚でありながら重たすぎず、ハマチはとても料理しやすい魚です 」とのこと。見た目もクールでカリスマ性のある女性シェフが作る日本産のハマチ料理をニューヨークで食べられるとはなんともうれしい限りです。
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続いて「Llama San」です。祖母が日本人というエリックさんはハマチの「トラディト」(カルパッチョやクルドに似た生魚を使ったペルー料理)に日本を感じさせる雲丹や抹茶フォームをトッピングしたコラボメニューを考案。

ハマチと雲丹にココナッツソースの甘味とハバネロソースのスパイシーさが混ざり合った新感覚の味わい。日本人にも馴染みのある素材が使われたペルー料理。これは病みつきになりそう。トップシェフの方たちのクリエイティビティの高さを改めて感じました。

本キャンペーンを体験し、今まで食べたことのあるハマチ料理の想像を超えるバリエーションに驚きました。世界各国からインスピレーションを得たメニューがダイバーシティな都市ならではだなと感じる次第。
コントラ ハマチ コンフィ
▲ 「コントラ」のハマチのコンフィは焦がしネギの香りがたまらない!
ヴェランダ コンフィ
▲ セレブリティシェフ、ジョージ・メンデスさんが手がける「ヴェランダ」のコンフィ。仕上げにブラックトリュフやしめじを添えて。
どのレストランもトップレベルなので、舌の肥えた大人たちを満足させること間違いなし。個人的に肉もいいけど、新鮮な日本の魚料理がアメリカで食べられるのはテンションが上がります。

その他にもニューヨークとロサンゼルスの各コラボレーションレストランで2月末まで開催中。ご興味ある方、ゆとりのある方は足を運んでみては?

Japan’s Unique Oceanic Delight “Hamachi”

HP/https://seafood-jfoodo.jetro.go.jp/us/index.html


コラボレーションレストラン一覧

■ ニューヨーク
Aquavit (Emma Bengtsson)
Hamachi crudo and a Sea Buckthorn Vinaigrette

Contra (Jeremiah Stone and Fabian Von Hauske)
Oil Poached Hamachi with Radish Broth and Charred Scallions

The Musket Room (Mary Attea)
Japanese Hamachi Crudo with Winter Citrus, Pistachios and Pomegranate

Llama san (Erik Ramirez)
Hamachi Tiradito, Uni, Coconut, Matcha

ODO (Manabu Asanuma)
“Hamachi Daikon”
Simmered Yellowtail Belly and Turnip served with Kuruma Prawn, Taro, Shiitake, Mizuna

Veranda (George Mendes)
Hamachi Confit, Crisped Kombu, Smoked Ginger Butter

WOKUNI (Kuniaki Yoshizawa)
Hamachi Aburi Sushi

■ ロサンゼルス
Citrin (Josiah Citrin)
Japanese Hamachi, Radish, Coriander, Enoki, Yuzu Kosho “Leche de Tigre”

Providence (Michael Cimarusti)
Wild Japanese Hamachi, CremeFraiche, Wasabi, Shiso and Celtuce

Shibumi (David Schlosser)
Marinated and Grilled Hamachi

● 菅 礼子

LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、クリエイティブディレクションや日系企業の米国進出プロジェクトを行っている。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。

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