それはなんと日本産のハマチ! ニューヨークのみならずロサンゼルスのレストランシーンも賑わせているとのことで、今回はその真相に迫ります。
日本産ハマチがニューヨーカーの間でじわじわ人気?
ニューヨークベースで食の情報を発信しているメディア「Eater New York」の報告によると、パンデミックから2年経った今でも新型コロナウイルスの影響によるレストランの閉店は続いているといい、 具体的な数は算出が困難なものの、約1000店にも及ぶとされています。多くの店が閉店する一方、with コロナでも徐々に経済活動が活発化しているニューヨークでは、新規のレストランが続々オープン。つくづくこの街の立ち直ろうとするパワーには感心させられます。
新たなレストランが続々誕生する中で、ニューヨークのフードシーンにも新たなトレンドが起こっています。最近気になっているのが我々日本人にも馴染み深い「ハマチ」(Yellow TailやHamachiなんて呼ばれています)をニューヨークの一流レストランでよく見かけるようになったことです。
最近では日本食以外でもハマチ料理を見かける機会が多くなり、魚がいつでも恋しい筆者としては、馴染みのあるハマチが食べられることにウェルカムなのです。ハマチはカルパッチョやイタリア語で“生”を意味するクルドとして提供されていることも多いようです。そこにはハバネロや雲丹、キャビア、ココナッツソースなどがトッピングされていたりもするのですが、和食ではないため、多くの人々に親しまれています。
人気の背景には人種の坩堝であるニューヨークは他の都市に比べ、新しいものを取り入れるのに抵抗が少ないこと、さらにはハマチの持つオメガ3の上質な脂が、健康志向が高くグルメなニューヨーカーを虜にしているよう。サーモンやマグロとはひと味違ったハマチならではの淡白な味わいも新鮮に感じているのだとか。
財務省貿易統計によると、実際、アメリカはハマチの主要輸出先国でパンデミック前の2019年までの5年で日本からアメリカへの輸出量は右肩上がりに推移し、2019年には159億円(2015年は116億円)に達していたとのこと。
NY&LAのミシュランレストランでハマチの特別メニューが味わえる♡
▲ 「Aquavit」シェフのエマ・ベントソンさん。繊細なプレゼンテーションの料理が多く、ハマチを使ったクルドの見た目も華やか。
▲ 「Aquavit」で提供されているJapanese Hamachi Crudo with a sea Buckthorn Vinagrette。
▲ デートや特別なオケージョンに相応しいレストランです!
▲ 「Aquavit」シェフのエマ・ベントソンさん。繊細なプレゼンテーションの料理が多く、ハマチを使ったクルドの見た目も華やか。
▲ 「Aquavit」で提供されているJapanese Hamachi Crudo with a sea Buckthorn Vinagrette。
▲ デートや特別なオケージョンに相応しいレストランです!
ニューヨークはミシュラン2つ星レストランで女性シェフのエマ・ベントソンさんの「Aquavit」をはじめ、アップカミングな注目の店舗がズラリ。料理ジャンルもアメリカンやスカンジナビア、ペルビアン、和食などなど。コラボしたスターシェフもスウェーデン人やメキシコ人、日本人、アメリカ人シェフもポルトガルやペルーにバックグラウンドを持つなど、国際色豊か! これぞニューヨークの醍醐味です。
ロサンゼルスも全米トップレベルと言われるミシュラン2つ星レストランの「Providence」をはじめ、3レストランとコラボレーションをしています。
実際に食べてみたら、今まで想像していたハマチ料理とは別世界!
セントラルパークにほど近い「Aquavit」はシックな店内にガラス張りになったオープンキッチンがまるで舞台のようで、シェフたちが忙しく動き回る様子を見ながら食事ができるハイクラスなレストラン。「Llama San」はモダンで感度の高い若い層が集うローワーイーストエリアにあり、それぞれ異なる雰囲気のレストランでした。
「Aquavit」ではリンゴのブリュノワーズ(みじん切り)にビネガーソースで味付けをしたハマチクルドをいただきました。花を形取ったラディッシュにディルとウォータークラストで飾り付けた上品な前菜です。脂の乗ったハマチにビネガーの酸味とリンゴの甘味が口の中で広がります。今まで想像していたハマチ料理とは別世界!
シェフのエマさんに話を伺うことができました。
「今回初めてハマチを使ったメニューを作りました。ハマチの脂はバターのように濃厚でありながら重たすぎず、ハマチはとても料理しやすい魚です 」とのこと。見た目もクールでカリスマ性のある女性シェフが作る日本産のハマチ料理をニューヨークで食べられるとはなんともうれしい限りです。
▲ ふわふわの抹茶フォームにココナッツチップなど、食感も豊かなHamachi Tradito with Uni, coconut, Matcha。
▲ 日系ペルビアンレストランの「Llama San」の料理にもところどころに日本の食材や調味料が使われている。
▲ 日本のルーツも持つシェフのエリックさんは親しみやすい人柄にファンも多いよう。
▲ ふわふわの抹茶フォームにココナッツチップなど、食感も豊かなHamachi Tradito with Uni, coconut, Matcha。
▲ 日系ペルビアンレストランの「Llama San」の料理にもところどころに日本の食材や調味料が使われている。
▲ 日本のルーツも持つシェフのエリックさんは親しみやすい人柄にファンも多いよう。
ハマチと雲丹にココナッツソースの甘味とハバネロソースのスパイシーさが混ざり合った新感覚の味わい。日本人にも馴染みのある素材が使われたペルー料理。これは病みつきになりそう。トップシェフの方たちのクリエイティビティの高さを改めて感じました。
本キャンペーンを体験し、今まで食べたことのあるハマチ料理の想像を超えるバリエーションに驚きました。世界各国からインスピレーションを得たメニューがダイバーシティな都市ならではだなと感じる次第。
その他にもニューヨークとロサンゼルスの各コラボレーションレストランで2月末まで開催中。ご興味ある方、ゆとりのある方は足を運んでみては?
Japan’s Unique Oceanic Delight “Hamachi”
HP/https://seafood-jfoodo.jetro.go.jp/us/index.html
コラボレーションレストラン一覧
■ ニューヨーク
Aquavit (Emma Bengtsson)
Hamachi crudo and a Sea Buckthorn Vinaigrette
Contra (Jeremiah Stone and Fabian Von Hauske)
Oil Poached Hamachi with Radish Broth and Charred Scallions
The Musket Room (Mary Attea)
Japanese Hamachi Crudo with Winter Citrus, Pistachios and Pomegranate
Llama san (Erik Ramirez)
Hamachi Tiradito, Uni, Coconut, Matcha
ODO (Manabu Asanuma)
“Hamachi Daikon”
Simmered Yellowtail Belly and Turnip served with Kuruma Prawn, Taro, Shiitake, Mizuna
Veranda (George Mendes)
Hamachi Confit, Crisped Kombu, Smoked Ginger Butter
WOKUNI (Kuniaki Yoshizawa)
Hamachi Aburi Sushi
■ ロサンゼルス
Citrin (Josiah Citrin)
Japanese Hamachi, Radish, Coriander, Enoki, Yuzu Kosho “Leche de Tigre”
Providence (Michael Cimarusti)
Wild Japanese Hamachi, CremeFraiche, Wasabi, Shiso and Celtuce
Shibumi (David Schlosser)
Marinated and Grilled Hamachi
● 菅 礼子
LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、クリエイティブディレクションや日系企業の米国進出プロジェクトを行っている。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。