大手広告代理店勤務でクリエイティブ・ディレクターとして活躍しながら、2018年9月より自身2度めの梗塞に倒れたことをきっかけに、”オベンター”として日々のお弁当を作り始めています。同時に友人・知人向けに「広告亭日乗」(言うまでもないことですが、永井荷風の『断腸亭日乗』をパロッております)として夫婦の日常生活を綴る4コマ漫画をSNSで発表。その反響は静かに、でも確実に打ち寄せるさざなみのように広がり、いまもそのファンを増やし続けています。
そこで今回は、その阿部さんが特別に描きおろしマンガを発表。「夫」の立場から、1000日に及ぶ弁当ライフがどんな毎日なのか、綴ります。
「食べても食べても……」
そのために一番変わったのは、食事です。悪玉コレステロールを減らすため、昨年まで続けていた減塩に加えて減脂を開始。揚げ物や脂身の多い肉を避け、鶏や魚を選択することが増えました。さらに最近では、ベジタリアン向けの食材も採り入れはじめています。
妻に任せていたお弁当作りも昨年バトンタッチし、僕が毎朝詰める係に。日常的に減塩減脂を継続するため、マンガに描いたような共同制作体制が続いています。お弁当を介してコミュニケートする日々も五年目を迎えました。その結果、コレステロールの数値も良好です。
ウチにとってお弁当とは、夫婦の健康な生活を維持する装置、単なる食事を超えた何か、あるいは夫婦のかすがい、とも言えるかも。難しいことは何もありません。毎朝決まった時間に起き、20分ほど作業すれば完成です。みなさまもぜひ、つくりおきのお惣菜から初めてみてはいかがでしょうか。
● 阿部光史
神戸市生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒、大手広告代理店勤務。クリエイティブ・ディレクター。Cannes Lions、文化庁メディア芸術祭など受賞。2018年9月よりオベンター。「広告亭日乗」