それに伴いアルコールを含まないカクテルである“モクテル”の人気も出てきているようですが、その動きは日本でも顕著。モクテルをはじめ、低アルコールのカクテルを専門に出すバーなども登場し、お酒の選びの幅も広がってきているようですね。
それでもカクテル文化の根強いニューヨークのバーシーンは賑わっています。パンデミック以降、約2年経った今でも多くのレストランやバーが閉店に追いやられている状況とは以前お伝えしましたが、一方で有名バーなどは夜な夜なお店の外まで行列ができるほどで人気は衰え知らずなんです。
Mezcalに続き、焼酎がカクテルとして飲まれているらしい!
シャンパーニュ地方で作られたスパークリングだけをシャンパン、フランチャコルタ地方で作られたスパークリングをフランチャコルタと呼べる、というような感じでしょうか。テキーラに比べて独特のスモーキーなフレーバーがあるのですが、本当にこの数年でニューヨークのバーでカクテルとしてよく見かけるようになりました。
前置きが長くなりましたが、メスカルしかり、世界中からさまざまな人種の集まるニューヨークはカクテルのトレンドをイチ早く知ることが出来ます。メスカルに次いで最近カクテルとして飲まれているのが、実は私たちも馴染みの深い焼酎なんです。最近ではメスカルのように本格焼酎がスピリッツとして使われ、ニューヨークの人気バーでカクテルとして振る舞われているんです。
「ニューヨークでの焼酎のポジショニングはまだまだ韓国産のSojuと混同されがちで知名度が低いのですが、まったくの別物です。芋や麦、米など厳選された素材を使った本格焼酎のアロマは格別で、素材のクオリティの高さを感じることが出来ます。カクテルにする際も香りを活かして作られ、クセも強くないためとても飲みやすいです。アメリカではもっと伸びていくと思います」
日本酒は和食以外でもレストランやバーで提供されるなど、徐々に市民権を得てきていますが、焼酎はまだまだこれから。でも、日本ではなかなかお目にかかることのないカクテルとしてニューヨークでじわじわと人気が出てきているのは興味深いところ。
ニューヨークのトップミクソロジストも“Shochu”にご執心
コチラ、マンハッタン一高い(値段が!)と言われるバーで、一杯のカクテルは$26〜$28! そもそも物価の高いマンハッタンですが、それだけのお値段には理由があり、味はもちろん見た目に華やかでエンタテイメント性に富んだものばかり。客層もオシャレをしたデート客で賑わっている大人の空間です。
スモークされた香ばしい香りにジンジャービールと焼酎が爽やかな飲み口です。焼酎はあまり飲んだことがありませんでしたが、カクテルはとってもイケる! という感想。
なんでも、このカクテルに使用されているIichiko Saitenという焼酎はカクテル用に開発されたもので、通常の焼酎よりもアルコール度数が43度と高めに作られているということ。
ですので、飲みごたえも十分。もっと前から焼酎を飲んでおけばよかったとさえ思う、焼酎カクテルは全体的にスムースな飲み心地です。
「ニューヨークはメトロポリタンな都市なので、新しいスピリッツに抵抗なく挑戦してくれるお客さんが多いです。常に皆が新しいものを探しています。以前から気になっていた焼酎を初めて使ってカクテルを作りましたが、お客さんの反応もいいので継続予定です。麦焼酎はクリアな味わいです」
ミクソロジストのジョンさんによる焼酎の原酒の説明を聞き、フライトで飲み比べ、同店で提供されている焼酎カクテルを体験するという内容でした。参加者は焼酎を飲んだことがないお客さんもいましたが、焼酎好きでもっと焼酎を知りたい! というお客さんの層も一定数いました。
ニューヨークのトップバーで焼酎がカクテルとしてじわじわと人気が出ているのは日本人からすると面白い現象です。日本人が気が付かなかった焼酎の魅力がカクテルとなって海外で花開いているわけです。
▲ 筆者も参加したBAR MOGAでの焼酎体験会「Shochu Experience」。原酒の飲み比べは素材の違いでこんなにもフレーバーが違うのかとびっくり。
▲ 原酒の次は水割りやロックなど、オーセンティックな飲み方にトライ。焼酎初体験のアメリカ人にも好評。
▲ 山椒を効かせたGINREI SHIROを使ったカクテル「oh Sansho Wow!」に興奮している様子。ブレていますが、臨場感たっぷりのイベントでした。
▲ 筆者も参加したBAR MOGAでの焼酎体験会「Shochu Experience」。原酒の飲み比べは素材の違いでこんなにもフレーバーが違うのかとびっくり。
▲ 原酒の次は水割りやロックなど、オーセンティックな飲み方にトライ。焼酎初体験のアメリカ人にも好評。
▲ 山椒を効かせたGINREI SHIROを使ったカクテル「oh Sansho Wow!」に興奮している様子。ブレていますが、臨場感たっぷりのイベントでした。
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● 菅 礼子
LEON編集部で編集者として勤務し、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住、LEON特派員。ニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆している。