2022.05.22
【第8回】「東池袋 大勝軒」(東池袋)「松戸富田麺絆」(東京駅)
ラーメンの常識的概念を破った「つけそば」人気の始祖「東池袋 大勝軒」
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。
- CREDIT :
文・写真/山本益博
「つけそば」は茹で上げた麺を水で締め、温かい濃いめのスープにつけて食べる。「冷・温」を口の中で同居させ、調和をとるラーメンである。ラーメンは熱いものだという常識的概念を破った画期的なラーメン。おそらく原型は、「てんぷら」と「せいろそば」を組み合わせた「天もり」「天ざる」とも呼ばれたりするてんぷらそばではなかろうか。
20世紀最後から21世紀初頭にかけて、一世を風靡したスペインはカタルーニャの「エルブリ」で、わざわざ冷凍したフォアグラを新鋭調理機器で粉砕し、そこへ熱々のコンソメをかけて食べさせる料理に出会ったとき、日本では20年以上前から「つけそば」で冷温料理はやっているとテーブルを囲んだ仲間たちに話題を提供したことを覚えている。
「甘・酸・辛」の味付けをベースにしたスープが特徴
麺は人と人との心をつなぐ見えない糸
山岸さんの言葉で大切にしているのが「麺絆」で、「麺は人と人との心をつなぐ見えない糸」という意味合いがあるという。栄枯盛衰が激しいラーメン界で、東池袋「大勝軒」の仕事を踏襲しながら、独自の味を追求しているのが頼もしい。
東池袋 大勝軒
住所/東京都豊島区南池袋2-42-8
営業時間/11:00~22:00
※スープがなくなり次第終了
定休日/水曜
TEL/03-3981-9360
HP/元祖つけ麺 東池袋大勝軒 オフィシャルサイト
松戸富田麺絆
住所/東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE丸の内 キッテグランシェ内
営業時間/月~金 11:00~22:00 土・日・祝 ~21:00(現在短縮営業のため11:00~21:00(L.O20:30)
定休日/なし
TEL/03-6259-1133
HP/松戸富田麺絆公式サイト (tomita-cocoro.jp)
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique
山本益博さんがYouTubeを始めました!
日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!
● 山本益博はなぜ今、改めてラーメンを食べ歩くのか?
● 素晴らしいスープ! 偉大なる街場のラーメン屋「多賀野」
● 数々の挑戦でラーメン界に革命を起こし続けてきた「麺屋武蔵」