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2019.11.08

話題の町ずし「鮨かの」で握り30貫コースに挑戦してみた

季節は晩夏から秋へ。魚には脂がのり、貝も旨味を増すこの季節、楽しみなのは鮨。お手頃なのに技術と食材は一流の“町ずし”に、なんと握りずしだけで30貫出てくるコースがあると聞き……。

CREDIT :

文/秋山 都 

毎回、旬のレストランや話題の新店をご紹介していく連載「美食のネタ帖」。「なんか面白い店ないかなぁ」「最近どこか行った?」と聞かれることが多いLEON.JP食いしん坊担当がガチでおすすめなお店やネタを紹介いたします。
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その、第25回は……の前に、最近、「町中華」なる言葉をよく聞きますね。ラーメンやタンメン、餃子やシュウマイ、酢豚によだれ鶏……みんなが大好きな定番中華料理を中心に、真っ赤なテーブルで床はちょっとペタペタしているような。そこにはアワビやフカヒレはないかもしれないけど、懐にやさしく安心できる味はみんなを幸せにしてくれます。

同じことがお鮨にも言えるでしょう。つまり「町ずし」。昔は家々におなじみのお寿司屋さんがあって、来客やお祝い事には電話でお寿司の出前を頼んだものでした。私は、ちょっと頭を傾けて、少し気取った声で出前を頼んでいた祖母の姿をいまも鮮明に憶えています。

この「町ずし」は入ると近所のおじさんがテレビで野球をみながらビールを飲んでいたりして、「今夜はパパがいないから特別ね」なんて母が中トロを奮発してくれるような。そんな和やかな場所でした。

で、ようやく第25回のお題は、江戸川区の町ずし「鮨 かの」です。
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大将の鹿野亮(かのまこと)とおかみさん。仕事中も、休日もずっと一緒にいるという仲良し夫婦。
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仲のよいご夫婦が営む「鮨 かの」。以前は「すし初」という名前で、出前もやっていたし、テレビもあったというれっきとした町ずしです。大将の鹿野亮さんは、先代から寿司店を受け継いだタイミングでお店を改装し、より鮨好きの舌を満足させるような進化系町ずしへとリノベーションさせたというわけなのでした。
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シャリ切り(酢飯づくり)を見せてもらった。炊き上がった米に合わせ酢(酢と塩)をかけまわし、まさに切るように混ぜていく。
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「鮨かの」の酢飯は群馬県川場村産の「雪ほたか」に赤酢(横井醸造)100%で砂糖は入れない。きりりと酸味のたつ赤シャリ。
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進化系町ずし「鮨かの」

では、進化系町ずしとは何か? あくまで私の解釈ですが、下記の3つの条件があります。

1.技術と素材は一流(たとえるなら銀座並み)。
2.でも代金は銀座×0.7の、明朗かつ財布にやさしいお会計。
3.それぞれの町に散在しているためアクセスはよいとは限らない。


よく高級な鮨を食べることを称して「ザギンでシース―」などと言いますが、このバブリーな言い回しからわかるように、銀座の鮨はもちろん高価です。対して、進化系町ずしは、同じ満足度を味わえながらも、お会計は銀座の7掛け。つまり5万円クラスの店なら3万5000円、3万なら2万円となり、2万なら1万5000円くらい? いずれにせよ、ちょいちょいは無理にしても、ふと思い立ったときに行ける気軽さがあるお店です。
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浜名湖産の青海苔餡をかけた茶碗蒸し。まずはこちらで胃の腑をあたためて……
そこで「鮨 かの」。こちらは、さきほどの3つの条件に鑑みますと、下記のようになります。

1.大将の鹿野さんが毎日豊洲の市場まで足を運び、厳しい目で選り抜いた魚を仕入れ、おまかせコースのみを供する。
2.計20品ほどのおまかせコースで1万3500円。
3.江戸川区で最寄駅からゆっくり歩いて15分。


さらにこの「鮨 かの」には「握りオンリー30貫」というコースもあるんだとか! 通常はカウンター(7~8席)を貸し切ったときにしか供していないというこのスペシャルなメニューを、今回特別にご紹介いたしましょう。
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でも、その前に不安になるのは「わたし(ぼく)、30貫も食べられる?」という胃のキャパシティ。回転ずしに行ったって、お皿10枚以上食べるのはなかなか苦しいものですもんね。ご心配も、ごもっとも。

「30貫といっても1貫ずつのシャリは少量にしているので、トータルでおひとり1合ほど召し上がっていただく感じです。さらに酢飯には砂糖を入れていないので、軽くて、食べ疲れしないとみなさんおっしゃいますね。このコースを始めて1年ほど経ちますが、まだ途中でギブアップした方はいらっしゃいません(笑)」
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なるほど。では安心。ここからは一気に「握りオンリー30貫」ご紹介してまいります。
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ここからは高級食材のオンパレードなので1点ずつ。
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房州産のアワビ。上にのった肝ソースが絶品!
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穴戸は江戸前。ツメと塩で2種。
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これから旬を迎えるイクラ。
このイクラが! 目からウロコが落ちる独自の手法で仕込んでいるため、独特のあの「プチン」という歯切れがなく、どこまでもクリーミーでまろやか。ああ、また食べたい。
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白イカに雲丹乗せ。
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雲丹。この日は道東産。
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ネギトロ巻き。
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あん肝。心からおすすめします。
このあん肝! かつお出汁で煮たあん肝の下に奈良漬けの刻みを忍ばせています。とろり、ふわり、ごっくん……ああ、あたしシャーワセ。勝手に「鮨 かの」スペシャリテに認定させていただきます。
いや~、食べた、食べた。たしかにボリュームはあるけれど、決して苦しくはない30貫。今回撮影できたのは24貫ですが、ほかにも旬の貝やお魚がラインナップしております。難点はこの「握りオンリー30巻」コースは仕入れと仕込みがとんでもなく大変なため、カウンター貸し切りでのみ遂行してくださるスペシャルなメニューだということ。鮨好きな同好の士を募り、ぜひ「鮨  かの」のカウンターを占拠してみてください。

あ、最後に言い忘れたこと。「鮨 かの」は女将さんセレクトによる日本酒ペアリングもすばらしいです。で、そのチェイサーか、ビール代わりの1杯におすすめしたいのが、こちらの「小松菜サワー」。地元の名産小松菜を1杷丸々使って、レモンをたっぷり絞った1杯は、見た目以上にさわやかで美味! なにより「お鮨30貫も食べちゃった!」という罪悪感を少しだけマイナスしてくれるはずです。ま、少しですけれどね(笑)。
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小松菜サワー700円。
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◆ 鮨 かの

住所/東京都江戸川区江戸川4-25-7
予約・問い合わせ/☎03-3652-2704
営業時間/18:00~、金・土・日のみランチ営業(11:30~)あり
定休/水曜
*昼・夜予約制
*都営新宿線「一之江」駅から徒歩15分(隣駅「船堀」からタクシーがおすすめ)
*〝握りオンリー30貫〟は1万8500円。7~8名でのカウンター貸し切りのみ。平日夜か日曜・祝日の11:30スタートのみで、1週間前までの要予約。所要時間3~4時間。
*19年12月に価格改定予定。

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