2022.11.13
【第19回】たいめいけん(日本橋)
東京のスタンダード版ラーメンは洋食屋にあった!
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。
- CREDIT :
文・写真/山本益博
「ラーメンは好きですか?」の問いに「はい」が89%、「いいえ」が11%で、「ラーメン好き」の回答からは「匂いはもちろんのこと、映像を見ただけでも瞬時に食べたくなる。私が好きなのは、オーソドックスなネギ、チャーシュー、メンマのラーメン。最近はいろいろなトッピングやスタイルが登場しているけど、誰もが思い浮かべる絵にかいたようなラーメンが一番。あー食べたい」(岡山、48歳女性)。
「ラーメンが好き」の「その理由は?」では「だしの利いたスープ」が圧倒的で、「嫌い」な「理由は?」は「脂っこすぎる」「塩分が多い」が多数を占めた。アンケートに答えた方たちの年齢層が高いことが反映している結果だが、みなさん「しょうゆ」味が好みで「こってりよりあっさり」系を望まれているとのことだった。
誰もが思い浮かべる絵にかいたようなラーメンとは
私は出かけるたびに1階で食べていたのだが、茂出木さんに見つかると、2階へ案内され、そのつど四方山話をしてくださった。この時、必ず飲まれるのが小瓶のビールなのだが、冷えたのは美味くないと、いつも常温のビールをグイとやってらした。
映画『タンポポ』に出てくる「タンポポオムライス」も「たいめいけん」製
そして、また茂出木さんは大のラーメン好きでもあった。ビルにした店の横には「ラーメンコーナー」があって、店に入らずとも、立ち喰いで食べられたのだった。
このラーメンが醤油味の澄んだスープでいただく、スタンダード版の東京ラーメンなのである。何が懐かしいかと言って、チャーシューに食紅を使い、シンプルながら彩りをよくしてある点だ。
私は、昨年オープンしたての室町「たいめいけん」でラーメンをいただいた時、50年前の味を思い出していた。この変わらぬ味こそ、老舗の洋食屋の東京ラーメンの味である。
たいめいけん
住所/東京都中央区日本橋室町1-8-6
営業時間/11:00~21:00(日・祝~20:30)
定休日/月曜
TEL/03-3271-2463
HP/たいめいけん (taimeiken.co.jp)
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique
山本益博さんがYouTubeを始めました!
日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!