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2022.11.27

【第20回】旅ゆけば、ラーメン岐阜編

岐阜の絶品ラーメン3軒。なかでも注目は「麺 㐂色」

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(LEON.JP)

岐阜 多治見 うどん 信濃屋 支那そば
▲ 岐阜・多治見のうどん「信濃屋」の「支那そば」。
愛知の名古屋では「きしめん」、岐阜の下呂や高山で「そば」の名品をいただいてきたが、中京では今まで「ラーメン」には縁がなかった。あるとすれば、岐阜・多治見のうどん「信濃屋」の「支那そば」だろうか?

「信濃屋」は、この連載でも「饗くろ㐂」の回で登場しているうどんの名店だが、品書きに「支那そば」が載せてある。麺が平打ちのきしめんを思い起こさせ、スープというよりつゆが甘露のごとき、ユニークな「ラーメン」である。出かけると、「ころかけ」うどんを食べた後、必ず半量の「支那そば」を注文していた。
そのほか、岐阜の鮎料理専門店「泉屋」の「鮎ラーメン」も意表をつくラーメンと言えようか。「鮎の塩焼き」を頬ばったあと、締めにいただく一品で、スープと麺のシンプルな丼の中央に、鮎の塩焼きの開きが盛ってある。さんざん鮎を楽しんだあとなのに、鮎の高貴な出汁がたまらなく、食欲をそそる。
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岐阜 泉屋 鮎ラーメン
▲ 岐阜「泉屋」の「鮎ラーメン」。

東京「饗くろ㐂」出身のご主人が始めた注目のラーメン店

さて今回のお目当ては、「麺 㐂色(めん きいろ)」である。岐阜に「とんかつ」と「ラーメン」にとりわけ強い友人がいて、その彼と選んだ店で一致したのが「麺㐂色」だった。ご主人の分部耕智さんが東京「饗くろ㐂」出身であることが第一の魅力だった。オリジナリティ豊かなラーメンを作り上げる「饗くろ㐂」の黒木さんから何を学び、受け継いだか、興味津々。
ラーメン 麺 㐂色 店構え
▲ 「麺 㐂色」の店構え。お洒落なドライブインといった風情。
店は岐阜の町からクルマで20分ほど、かなり離れた岐南町というところにあった。人通りはほとんどなく、交通の要所のような街道が交差する一角にあり、ひと昔まえの言い方ならば、お洒落なドライブインといったところだろうか。何十台もクルマが止められる飲食店合同の駐車場があり、「麺 㐂色」へやってきた客は、店の前に並ぶことなく、クルマの中で開店まで、もしくは自分の番が来るまで待つことになる。
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ラーメン 麺 㐂色 ご主人 分部耕智さん
▲ 「麺 㐂色」のご主人、分部耕智さん。
さて、券売機の前に立って、迷った。友人は「塩そば」を薦めてくれたが、私は初めて訪れる店での恒例として「醤油そば」を選んだ。

そして、「饗くろ㐂」名物のシューマイ1個ずつと季節のメニューとして「秋茄子の汁なし担々麺」を二人で分けることにした。
ラーメン 麺 㐂色 特製醤油そば
▲ 「麺 㐂色」の「特製醤油そば」。
カウンター席に案内され、目の前のご主人に挨拶し、ほどなくして出てきたシューマイをつまみながらラーメンを待った。そうして「特製醤油そば」と友人の注文した「特製塩そば」が一緒に出てきた。どちらも盛り付けからして美しく、「饗くろ㐂」の流儀がそこから感じられた。
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ラーメン 麺 㐂色 特製塩そば
▲ 「麺 㐂色」の「特製塩そば」。
とりわけ「塩そば」が端的な姿をしている。友人の勧めで、スープをひと口いただくと、その姿から想像できる端麗な味わい。少々未練を残しながら「醤油そば」をいただいた。滋味深いスープとしっかりと小麦の旨味を感じる麺との相性が申し分ない。
ラーメン 麺 㐂色 秋茄子の汁なし担々麺
▲ 「麺 㐂色」の「秋茄子の汁なし担々麺」。
続いて「秋茄子の汁なし担々麺」。これまた盛り付けのセンスは「饗くろ㐂」流だろうか。秋茄子の香りにうま味と辛みの渾然一体感。大満足だったが、次回はかならず「塩そば」と心に誓って店を後にした。
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ラーメン 麺 㐂色(めん きいろ)

麺 㐂色(めん きいろ)

住所/岐阜県羽島郡岐南町上印食9-101
営業時間/土・日・月曜の11:00-15:00と祝日等の不定期営業
TEL/非公開
Twitter/麺 㐂色

山本益博 LEON.JP 荻窪 ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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