食べ始める時に、いつも迷う。そばから行くか、わんたんから食べるか。わんたんの皮がとろけないうちに食べたいが、そばも延びないうちにつるっといきたい。
「八雲」にはメニューに「スープワンタン」があって、わんたんのみ存分に楽しめる。わんたんが先か、そばが先か迷うこともない。
「横浜、中華街は、いまやすっかり観光名所と化し、平日でも人の波は絶えず、どこの店の前にも人の列が出来ている。その中にあって、昔と変わらぬ味を保ち、いや、それ以上の美味しさを楽しませてくれる一軒が『清風楼』である。『清風楼』といえば、まず名前が挙がるのが“シウマイ”だが、それに並ぶ知る人ぞ知る一品が”上ワンタン“。澄みきったスープの中に、雲呑がそれこそ数えきれないほどゴロゴロと入っている。トロリとする皮に肉がわずかに入っている雲呑ではなく、肉が透けて見えるほどの薄皮に練り肉がくるまっている。雲を呑むというより、龍を呑む、そんな感じである。
口に含むと、まずツルンと薄皮が溶け、歯ごたえ十分の練り肉が姿を現す、噛めばジューシーな肉の味がこぼれ出す。これが化学調味料に頼らぬ、練り肉の滋味に溢れたもの。ここへ淡いスープを流し込むと、まるで竜宮城へでも誘われたみたいになる」
支那そばいしはら TEL /03-3395-8450
はつね TEL/03-3333-8501
共楽 TEL/03-3541-7686
麵や 維新 HP/https://ishin-ramen.co.jp
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八雲 TEL/03-6303-3663
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清風楼 HP/https://www.chinatown.or.jp
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique
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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!