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2024.04.28

【第53回】 「麵屋武蔵」のボランティア「あら~麺」

食べたいけど食べられないことが幸せな特別なラーメン「あら~麵」

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(LEON.JP)

山本益博 ラーメン革命! WebLEON
▲ 越後川口にでかけた料理ボランティア。
2004年9月新潟中越地震が起きた時、私が発起人となって「料理ボランティアの会」を立ち上げた。被害情報が伝えられて暫くたって、たまたま銀座の鮨屋「さわ田」を訪れた時、ご主人澤田幸治さんから「被災地へ出かけて行って、鮨、握りたいっす。鮨は誰でも好きですから」と言われた。

そこで、すぐに飯田橋の「ホテルメトロポリタン エドモント」で当時の総料理長だった中村勝宏さんに話を持ち掛けた。「ホテルの料理長に声をかけて、被災地へ料理のボランティア活動するチームを作りませんか?」と。
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▲ 越後川口の体育館で料理を作った。
その第1弾が、翌2005年2月、越後川口に出かけたボランティア活動だった。「さわ田」「青空」「すきやばし次郎」の鮨チームが徹夜で作り上げた「ちらし」を持ち、「ホテルメトロポリタン エドモント」「帝国ホテル」「ホテルオークラ」「ホテルニューオータニ」を始めとするホテルレストランチーム、そして、稲村省三パティシエの声がけで集まったパティシエチーム、さらに、カレーの「中村屋」、ピッツアの「サルヴァトーレ クオモ」、ラーメンの「麵屋武蔵」各チームがバスに乗り込んで、越後川口の体育館に出かけた。
被災後すぐの「炊きだし」ではなく、半年近くたって、被災地のことが忘れられそうになったころを見計らって出かけたものだから、被災地の皆さんに「美味しいもの」がとても喜ばれた。
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山本益博 ラーメン革命! WebLEON
 ▲ こちらは2007年の料理ボランティア輪島の様子。 
山本益博 ラーメン革命! WebLEON
▲ 料理ボランティアのフルコース。
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それから震災があるたびに、出かけられる時に、出かけられるメンバーが集まり、近年では東日本大震災の被災地へ出かけて料理ボランティアならではの活動を続け、「麵屋武蔵」チームが東北の石巻で作ったのが、魚の「あら」をベースにスープにした「あら~麺」だった。

これが大好評で、都内のホテルで、ボランティア活動の資金集めの会を開いたときも、この「あら~麺」は好評で、会が終了すると、都内の各ホテル総料理長はじめ、スタッフ全員が「あら~麺」に舌鼓を打ったのだった。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON あら~麵
▲ 「麵屋武蔵」チームが東北の石巻で作った「あら~麵」。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON 麵屋武蔵

麵屋武蔵 神山

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普段は、行き来のない「鮨屋」「ホテル」「洋菓子屋」が、ひとたび災害が起こると、一致団結してボランティア活動を行う。

この4月23日に「料理ボランティアの会 能登半島地震応援企画」として開かれたのが「麵屋武蔵」と「パティシエ ショコラティエ イナムラショウゾウ」のコラボディナーだった。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON
▲ 麵屋武蔵・矢都木社長(中央)と稲村パティシエ(右隣)。
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場所は、神田にある「麵屋武蔵 神山」の2階の応接室。まずは、「麵屋武蔵」のラーメンの具となる「チャーシューやメンマ、煮玉子」を「獺祭」で一杯やり、そのあとに「甘鯛と鯛のあら~麺」、デザートには「能登育ち能登卵のクレームブリュレ」とお茶うけのプチフールに「珠洲産能登大納言かのこ」が20名に振舞われた。5000円が募金となる、8000円のディナーだった。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON
▲ 振舞われた「能登育ち能登卵のクレームブリュレ」。
「麵屋武蔵」の矢都木社長の説明によると「鶏ガラ・豚肉で取った出汁に甘鯛と鯛のあらを入れてスープにした」とのこと。

災害はあってはほしくないが、この「あら~麺」、いつか多くの皆さんに召し上がっていただきたい、震災がきっかけになって生まれたラーメンである。
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山本益博 LEON.JP  ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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