2024.05.12
【第54回】 白河「とら食堂」とその弟子たち前編
福島を代表するラーメンの名店! 白河「とら食堂」が一流である証とは?
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。
- CREDIT :
文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)
東京からだと、新幹線で新白河まででて、東北本線に乗り換えて白河まで行く。そこから、さらに、タクシーかバスに乗る。このバスが、「とら食堂」で食べて戻るには、1便ずつのチャンスしかない。タクシーででかけるにしても、往きはよいよい、帰りはこわい、である。
玄関入り口の番号札のシートをとると、すでに10番。ラーメンを食べるのに、何カ月も何年も先になることがない代わりに、行列に並ばなくてはならない。「スープがなくなり次第、売り切れとなります」以外は、並べば目的のラーメンにありつける。ラーメンは、どの料理より「自由、平等、博愛」なのである。クルマの中で待つこと30分。見る見るうちにクルマが増え、開店時間となった。番号で呼ばれ、晴れて一巡目で入店となった。
仲間のIさんが注文した「ワンタン麺」から、ワンタンのお福分けをいただいた。美味しいが、例えば、ワンタンの皮を餡のところだけにして、余分なところを取ったらさぞ美味しかろうと思われた。これだけは、横浜中華街の「清風楼」の「上わんたん」にかなわない。
私が食べた「手打中華そば」は、文句のつけようのない、調和のとれた端麗な味わいの現代を代表する中華そばだった。
次回6店を予告!
▲ 国分寺「孫市」/どんぶりに緊張感なし
▲ 松戸「とら食堂松戸分店」/鶏出汁が乏しい
▲ 横浜「こすが」/小さくまとまっている
▲ 北上尾「賀乃屋」/麺、スープ、チャーシューどれもよろしい
▲ 春日部「法隆」/麺、スープ出色。チャーシュー、のり今一つ
▲ 横浜「白河中華そば」/麺、スープに緊張感乏しい
▲ 国分寺「孫市」/どんぶりに緊張感なし
▲ 松戸「とら食堂松戸分店」/鶏出汁が乏しい
▲ 横浜「こすが」/小さくまとまっている
▲ 北上尾「賀乃屋」/麺、スープ、チャーシューどれもよろしい
▲ 春日部「法隆」/麺、スープ出色。チャーシュー、のり今一つ
▲ 横浜「白河中華そば」/麺、スープに緊張感乏しい
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique
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